きっかけはコンビニのアルバイトで出会った常連さん

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▲声をかけてもらってなかったら、ズルズルとコンビニで働いていたかもしれません

本当は大学で心理学を学びたかったんです。でも経済的な理由で叶わず、僕の社会人生活はコンビニのアルバイトからスタートしました。いわゆるフリーターというヤツです。そのコンビニには、いつも同じような時間に来て、同じ商品を買われる常連さんがたくさんいました。そこでお客さんが来る前に「いつもの商品」を先に準備するようにしていたんです。お客さんのためというより、そうしたほうが自分がラクだからという理由で、ですけど。

すると「気が利くね」「いつも、ありがとね」と喜んでくれるお客さんが続出。中でもある50代の男性のお客さんには可愛がってもらいました。レジに来られた瞬間に、準備しておいた「いつもの銘柄のタバコ」を差し出す僕を気に入ってくれたようで、ドリンクをおごってもらったり、一緒に喫煙所でタバコを吸ったり。そんな関係がしばらく続きました。

そしてある日、「うちの会社で働かないか」と誘われたんです。コンビニの仕事も丸2年になり、「このまま続けていてもなぁ」と思っていましたし、せっかく声をかけてくださったので、話を受けることにしました。社員10人ほどのイベント施工の会社でしたが、僕はそこでいろんな経験をすることになります。今思えば本当に良い機会をもらえたと感じています。

任されたからには、やらなきゃいけない

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▲実は、当時はものを作る仕事に興味があったわけではないんです(笑)

2014年に入社した「常連さんの会社」では、大学の学園祭ステージ、入学試験会場、オープンキャンパスのテント設営などをメインで担当しました。とはいえ社員みんなで協力していろいろなイベントをこなしていくため、実にさまざまな現場に携わりました。珍しいところでは舞台の大道具・小道具の制作、ビル建設の前の地鎮祭の準備、幼稚園の餅つき大会などもありました。どれも僕らがきちんと準備をしないとイベントが開催できないわけですから、「任されたことは、なんとしてもやらなきゃいけない」ということを学びました。

会場の多くは手づくりで、いつの間にかCADで設計図を引くようになりました。展示会で急遽パーテーションが必要となれば、現場でベニア板を調達して素早く組み上げられるようにもなりました。気がつけば壁、扉、柱などさまざまな木工の設計・製作から設置・撤去まで、一通りのことができるようになっていました。とにかく大変でしたが楽しさもあり、ここでの「ものづくり」の経験は、その後の自分にとって大きなプラスになりました。

ただ小さな会社だったので、働く環境としてはハードだったと思います。イベントは土日の開催が多いので日曜の休みを返上したり、準備が遅れたときは現場に泊まり込んだり、深夜にイベントが終わって明け方まで撤去作業に追われたり……。それでも他の会社を知らない僕は「まぁ、こんなものかな」と受け止めていました。それに、「せっかく誘ってもらった会社だから、必要とされる人にならなきゃいけない」「最低5年くらいはやらないと、キャリアとして認めてもらえない」という想いも強く、しんどいから辞めるということは考えませんでした。

勤続5年のタイミングでスタッフサービス・エンジニアリングへ

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▲木工と使う工具は同じでも、精密機器の扱い方は全然違うので勉強になりますね

最終的にイベント施工会社には丸5年勤務。誘ってくださった「かつての常連さん」の恩にも応えられたかなと思い、そのタイミングで転職することにしました。とはいってもとくに「これがやりたい」という仕事があったわけじゃありません。

そこで転職エージェントに相談したところ、最初に紹介されたのは携帯販売の仕事でした。希望職種はないと伝えていたので仕方ないものの、自分に向いているとは思えませんでした。そして次に紹介されたのがスタッフサービス・エンジニアリングでした。まず惹かれたのは、前職で培った「ものづくり」の経験を活かせそうだということ。未経験からエンジニアに挑戦できる会社だというので、試しに受けてみることにしました。自分では経歴やスキルに自信を持てなかったんですが、面接を通じて木工の経験を評価してもらえたのが嬉しかったです。そうして、2019年6月に入社が決まりました。

配属されたのは「自動錠剤分包機」のメーカーで、仕事はその納品・メンテナンス・検査検証を担当するサービスエンジニアです。自動錠剤分包機とは、複数の種類の錠剤を1回の服用分に個包装し、そこに「○○様、○月○日、昼食後分」と自動で印字する機械です。病院や薬局に設置されていて、処方の手間や人為的ミスをなくし、患者さんの飲み忘れ・飲み間違いを防ぐ役割も果たします。医薬に貢献するだけでなく、機械の仕組みとしてもおもしろくて、すぐに興味を持ちました。

でも最初は機械の種類が多く、専門用語も複雑で大変でした。配属後3カ月ほどは先輩に教えてもらいながら、その仕事ぶりを見て学ぶことばかり。4カ月目あたりでようやく「これは先輩から教えてもらったことに加え、自分でいろいろ試してみることで未経験からでも覚えていける仕事なんだ」と実感できました。その頃には自分専用の車と携帯も用意されて、「認めてくれた」「任せてもらえた」という喜びも感じました。

求められる人材であり続けたい

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▲照れずにいうと、今仕事もプライベートもこれまでで一番充実しています

サービスエンジニアは、機械の不調などで連絡をもらったお客様先に出向いて、そこで分解・チェック・修理などを行います。基本的に外勤で1日の訪問は5〜6件。もちろん呼ばれたらすぐにでも駆けつけます。一人で大変と思われるかもしれませんが、逆に僕は「一人で自由」だと感じています。なかなか機械の動作が改善しない場合は週2〜3回ほど集中して訪問したり、しばらく訪問していないお客様先に挨拶がてら顔を出したり。自分の裁量で仕事を進められます。どう修理を進めるか。いかにお客様が機械を使いやすいように調整するか。創意工夫を通じてお客様に喜んでもらい、距離感が縮まっていくことに、やりがいを感じます。

また就業先の社内でも自分なりの提案ができます。たとえばメンテナンスや修理にはきちんとマニュアルがありますが、それで解決しない場合は上司に連絡します。さらに上司もわからないときは社内の技術者に聞くことになるんですが、これには結構な時間と手間がかかります。そこで「この機械なら開発部の○○さんに」「この問題なら設計部の○○さんに」という連絡先一覧を作れば便利ではと提案。実際に一覧表ができて、仕事がスムーズに進むようになりました。

ただ技術的な部分では、常に新しい知識・スキルを身につけていかないといけません。あまりカッコいいことをいうのは得意じゃないんですが、会社にもお客様にも必要とされる人材であり続けるには、努力も不可欠。その点、スタッフサービス・エンジニアリングでは、eラーニング、講習、書籍購入補助など、学ぶ機会が豊富に用意されています。これらを活用すれば、プログラミングや3次元CADなども入門レベルから勉強できます。今後はハード面だけでなく、システムやソフトウェアなどの知識も習得し、もっと自分の価値を高めていきたいと思っています。

それともう一つ、就業先メーカーの正社員になれたら、という目標もあります。スタッフサービス・エンジニアリングは、就業先での直接雇用を積極的に応援してくれるので、僕もさらに「必要とされる人材」になって、そこを目指したいと思ってます。木工の経験しかない僕を一人前のサービスエンジニアにしてくれたスタッフサービス・エンジニアリングと就業先には感謝しかありません。残業も減り、しっかり休みも取れて、いまはダーツという新しい趣味にも出会えました。僕のように「まったくエンジニアの経験がない」「とくにやりたい仕事もない」というみなさんでも、ここならきっと確かなスキルを身につけ、次の目標を持てるようになると思います。