内定がなかった就活生を救った、物流業界

article image 1
▲学生時代のサークルでの1枚 / 右が浦野

2020年卒としてSLGに入社した浦野。しかし、元々彼女は物流業界での就職を考えていたわけではなかった。

浦野 「大学では、ずっとマーケティングの勉強をしていて、マーケティング研究会という100人ほどのサークルの幹事長も勤めていました。また、人工知能系のスタートアップなどで長期インターンもしていました。ここでやっていたことも、主にはウェブマーケティングです。

就職活動にあたっては海外での就職も考えていて、フィンランド大使館で働くことも考えていたのですが、それらが決まり切らない内に新型コロナウイルス感染症が本格的に蔓延したため、国外での就職が難しくなってしまいました。

その結果、2020年の3月に内定がない状態になってしまっていました。そこで、昔就活イベントのゲームでご縁があったエスプールに連絡をして、なんとか内定をもらえたことで、4月1日から働くことになったんです」

海外での活動やウェブマーケティングといった勉強をしていた浦野。物流業界であるSLGを選んだ決め手は、新しさだった。

浦野 「面接の時に、『海外発送にも取り組んでいて、海外展開への伸びしろも大きいし、もっとSLGに投資をした方がいいと思います』と話したんです。 すると非常に興味を持っていただいて、小林さん(小林 正憲:SLG社長)と話してみようかというお話になり、内定をもらえることになりました。

大学時代にはまったく学んだことのない分野ではありましたが、大学でやっていないことに挑戦してみたいとは思っていたので、むしろ良い機会だと思い、入社を決めました」

「そんなことも紙でやっているのか」──アナログ業務に衝撃を受ける

article image 2

物流業界に足を踏み入れた浦野。最初の配属先は、既存顧客との窓口となる物流統括部でした。

浦野 「物流統括部での仕事は、請求書の作成や、定例会への参加です。また、出荷ミス等でお客様に損害を与えてしまったら謝罪をして、現場と話し合って原因の特定と改善を行っていました。

ただ、やはり現場と違う部署が顧客対応をすることによって、現場と既存顧客との距離感が離れてしまう課題もありました。その結果、1年目の12月に物流統括部が解散になり、私も現場に配属されることになりました。とはいえ、引き続き担当の顧客対応を主に行いながら、現場作業や事務の仕事を覚えていきました」

現場と顧客の間に直接入って仕事を行っていた浦野。その最初の1年間は、自身で思っていた以上に大変だったと振り返ります。

浦野 「自分で『これくらい勉強すればいいかな』と思っていた以上に、身につけなければいけない知識がたくさんありました。

また、アナログな作業が多いことにも衝撃を受けました。例えば見積書などをエクセルの手作業で一から作っていたり、現場への指示出しにも多くの紙が使われていたりしていました。自分がIT系のスタートアップでインターンをやっていたので、余計にアナログな部分が目についていたところもあると思います」

その後、入社2年目の6月。浦野はSLGから、エスプールの親会社である「はたらぼ」に出向することになる。

浦野 「はたらぼは、ITを用いて全社的に業務改善を進めていく組織です。私はそこに、SLG向けに開発されていた『Synapse(シナプス)』というシステムのマネタイズをミッションとして配属されました。現場にいると、こういった長期的なプロジェクトを進めていくことが難しい。そこで、現場から離れて別組織に出向することになり、はたらぼで働くことが決まりました」

独りよがりにならないように。現場の生産性を上げるため、現場の声を聞く

article image 3

浦野 「元々のミッションは、『Synapse』のマネタイズでした。『Synapse』は物流のデータを荷主ごとに蓄積し、そこからどの地域に多く売れているのか、なにがよく売れているのか、在庫がどのように移動しているのか、などを見える化していくシステムです。これを荷主に向けて売れるようにしようと動き始めました。

ですがそれだけではなく、ITを通じてコストの削減や生産性の向上につながることをやっていきたい、という思いも持っていました」

実際に現場を見てきた経験を活かして、会社のIT化という大きなプロジェクトに挑み始めた浦野。現場にいたからこそ思うこともあるという。

浦野 「私が物流統括部にいた時から、誰の仕事か曖昧なことや、中長期的に取り組んでいかなければならないけどやる人がいない、といった仕事を巻き取って進めていくことがありました。そういった重要だけれど緊急ではない、現場で進めづらい仕事をどんどんと巻き取っていきたいと思っていました。

また、現場の人の残業を減らしたいという思いもすごく大きいです。現場に携わってきた私がはたらぼに来た意味は、新しい取り組みをしていく以前に、社内体制のフロー作りやルール化をしっかりして、現場の生産性を向上させていくことだと思います。

そのために、見積管理を手作業からシステムに移行したり、現場作業の動画マニュアルを作ったりして、現場の生産性を上げていきたいですね。ただ、どうしてもこういうことを1人で進めていると独りよがりになり、実際の現場で使えない仕組みになってしまうことが怖いんです。なので、定期的に現場で使う人に話を聞いて、どういう段取りで誰がいつどのタイミングでどう使うのか、を考えています」

ロジ女子の未来を開く──物流業界の中で、IT人材として働くということ

article image 4

学生時代の長期インターンで培ったITの知識を活用して働いている浦野。だが、元々はシステムの開発などができたわけではないという。

浦野 「私は人工知能のインターンシップをしていたけれど、開発をしていたわけではありません。出向後に独学で学んだり、はたらぼや本社の情報システム部の社員からフィードバックをもらったりしたことで、今では『システムツールを作る』こと自体にはそこまで苦労はありません。プロジェクトも私1人で進めらるようになりました」

システムの開発自体は特に問題なく進められたという浦野。しかし導入にあたっては苦労がありました。

浦野 「私も物流統括部にいたので分かるのですが、システムを導入していくタイミングはミスが起きやすいんです。システムを使える人と使えない人、新しいフローでやっている人と古いフローでやっている人とが混じっている状態になったら必ずミスが起こる。それでも、物流というのは頼んだ商品が届くことが当たり前で、ミスは許されません。なので、こういうシステムを使いますよというのを、ちゃんと影響のある全員に共感して、納得してもらわないといけないんです」

一見地道にも見える根回しの仕事。しかし浦野がそれをおろそかにはすることはありません。

浦野 「私が現場にいた時に、システムでこういうことできないかな、と思うことや聞くことがありました。けれどもそれをシステムにしていくなら、ちゃんと定義を決めていかないと実現できない。それを決める上で、きちんと現場の意見を聞かないと、意味のあるシステムにはならないと思います。フローをつくっていても、キーマンが忙しすぎて手が回らないなど、障害となることは多いので、そこは実際に現場を見てみないとわかりません。そういった意味での根回しも、プロジェクトを進めていくうえで必要不可欠だなと思います」

「ITに強い」「システムを作れる」だけでは意味がなく、現場での声を聞いてみないと意味のある仕事にならないという浦野。そんな彼女には、目標があります。

浦野 「物流業界って、現場のアルバイトは女性が多く活躍しているんですが、管理職はほとんどが男性です。SLGもそうですけれど、セミナーやメルマガで見る人も男性ばかりで、女性がいないんですよね。そういった中で、ロジ女子のロールモデルになりたいと思っています。今まで現場の改善に向けて働いてきた中で、いろいろと提案ができるようになってきました。そういう武器を元に、どんどんセンターを変えていくロジ女子になっていきたいですね」

2022年の4月からは入社3年目になった浦野。彼女が行ってきた改善、そしてデジタル化は今確実に実を結び始めている