エスプールグローカル──真の地方創生を目指すエスプール8つ目の会社の使命

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2021年12月1日、エスプールグループに8つ目となるグループ会社が設立された。会社名は「エスプールグローカル」である(以下、SGC)。

「グローカル」とは、「グローバル(Global:地球規模の、世界規模の)」と「ローカル(Local:地方の、地域的な)」を掛け合わせた造語で、「世界規模に展開・通用する考えで、地域の文化や慣習に向き合い、社会のニーズに合った貢献をする」という意味の言葉である。

SGCは「地域が抱えている課題を地域の力で解決する」というコンセプトのもと、地域にコールセンターや事務センターなどの拠点を新設し、自治体の仕事を受託する形で雇用の創出に取り組んでいる。

このSGCで事業牽引の一役を担うのが、新卒入社10年目の高橋である。

高橋は2022年11月現在、SGCの地域創生BPO事業部にて営業部長として、「ス窓」営業グループと広域営業グループのマネジメントを行っている。各グループ長が新卒2年目と若いこともあり、営業の進め方や企画、商談同行を行いながら人材育成にも励んでいる。

高橋自身も地方へ足を運びながら問題解決の提案を行っているが、とくに印象に残っている案件がある。

高橋 「SGCの前進となる部署で自治体から受託した新型コロナワクチン接種の相談窓口・予約受付コールセンター業務が最も印象に残っています。

自治体としてもどう対応したらいいのか、今までに前例のない出来事かつ開始まで時間がないという状況でした。住民の不安がどこにあるのか、職員の課題は何なのかを洗い出し、そこにエスプールの人材アウトソーシングノウハウを活かして、なんとかコールセンターをスタートさせました。これは今も続いている業務です。あの時自治体で手が回らなかった部分をしっかり掬い上げることができ、力になれたと思っています。

その仕事がきっかけで他の業務でもご依頼いただくようになり、仕事の幅が広がっていきました。拡大に伴い、2021年12月にはエスプールから事業承継し新会社としてSGCを設立することもできました」

高橋は業務受託する際に、最終的に地域の課題を解決することを見据え、その地域が抱える本質的な課題と向き合い続けている。

高橋 「ただその瞬間に需要がある業務だけを受託するのでは意味がないと考えています。地域で今何が起きているのか、問題の原因は何か、何が必要なのか、どうすることが本当の意味で地域のためになるのか?を常に問い続けていくことが、僕らの使命です」

地域の人で業務を回していくことに重きを置き、地域の人を採用し育てる。そこで経済的な循環を創り出す──。未来を見据えた「業務の継続的な地産地消」こそが真の地域創生であると高橋は言う。

挫折がキャリアのターニングポイント。エスプール入社の決め手とは

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▲学生時代に熱中したサッカー部での1枚

山形県で生まれ育った高橋は高校卒業後に東京の大学に進学し、サッカー部に入部した。大学時代の大半を部活に捧げるほど、ひたむきにサッカーに打ち込んでいたという。

就活期を迎え、周囲の部員たちが就活を理由に部活の引退や休部を選択する中、高橋だけはサッカーを続けた。

高橋 「正直、サッカー以外にやりたいことが見つからなかったんです。社会人としての目的や目標も明確ではなかったので、当時は就職活動にまったく身が入りませんでしたね」

最終的にやりたいことが最後まで見つからなかった高橋は、就活はせず大学院への進学を選択した。大学院でも体育に関わる学問を専攻した高橋だったが、自身の選択に葛藤や後悔の念もあったと言う。

高橋 「半ば逃げるような形で大学院進学を決めてしまったので、やりきれなさはありました。周りはどんどん就職していって、取り残された感覚もあって。そこで自分の経験を活かせる仕事を本気で探そうと思い、体育の教員を志すことにしたんです。

ただ、教員採用試験を受けようとした矢先に、運悪くアキレス腱を切ってしまって。体育の先生なのに、こんな状態で採用されるわけないって思いましたね(笑)」

ケガをきっかけに再び自身の進路について悩んだ高橋。出した答えは「民間企業で経験を積む」というものでした。

高橋 「いろいろ考えているうちに、このまま教員になるべきではないと思うようになりました。

そこで、まずは民間の会社で経験を積んで、子どもたちに広い視野をもって接することができる人間になろうと思い、教職課程で学んだ経験を活かせて人と関わる機会も多い人材系の会社にアタックしました」

そんなとき出会ったのがエスプールだった。

高橋 「一番早く内定をくれたのがエスプールでした。ここまでだらだらとやりたいことだけをやってきた自分を評価してくれる会社は、なにか縁のある会社なんだろうなと思ってすぐ入社を決めました。

さまざまな経験を積み、広い視野を身につけたいと考えていたので、あえて希望職種を決めずに何でもいいですって答えたのを覚えています」

新規事業の立役者に。エスプールで見つけた自身のワークスタイル

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入社後、彼のキャリアはグループ内の物流事業部(現在のエスプールロジスティクス、以下、SLG)の現場の立ち上げから始まった。当時はまだ、分社化もされていない新規事業であり、体制が構築されていない状況のなか体力的に厳しい日々が続いたと言う。

高橋 「当時は立ち上がり期ということもあり、仕事がハードで体調を崩してしまうこともありましたが、あの時頑張れたのは、社長の小林 正憲や当時の上司がとても良くしてくれたおかげだと思っています。

“この人たちのために”という想いが辛い中でも頑張るモチベーションでしたね」

SLGにてひたむきに業務へ打ち込み、社内外ともに信頼を獲得していった高橋。そんな高橋の取り組みが評価され、当時のSLG役員が管掌していた顧問派遣事業部(現在のプロフェッショナル人材バンク事業部、以下、PJB)に、営業として参入することとなる。

この事業部もまた新規事業という立ち位置であった。

高橋 「現場業務へひたむきに取り組んだ姿勢を評価してもらえたのだと思っています。まったく知見のない業種でしたが、やるべきことをやるだけだという、ただその一心で取り組んでいました」

その後はプロフェッショナル人材バンク事業部の営業兼マーケティング担当として、事業部の中核を担っていた高橋。担当として5年が経ったとき、高橋自身にまたしても転機が訪れた。当時事業部を管掌していた佐久間から、高橋自身は事業部に残りたいのか、新しいことをやりたいのか選択を迫られたのだ。

高橋 「当時は次の配属先が用意されているわけではなく、漠然と僕自身の純粋な気持ちを問われました。自由な選択を許される中、“安定を捨ててでも新しいものに挑戦したい、関わりたい”という気持ちが大きかったです」

こうして高橋は再び新規事業への参画を果たし、現在のSGCとしてのキャリアへ至る。

等身大の社員でいたい──目の前の仕事に真摯に向き合えばチャンスは掴める

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▲(株)エスプールグローカルのメンバーとの1枚

高橋は自身のキャリアについてこう語る。

高橋 「エスプールでの経験を振り返ると、新規事業の立ち上げという厳しいところに突っ込まれて、何とかやり切ってきた気がしますね。

だから、とりあえずやってみる、とりあえず考えてやる力は備わっていると思います。ただ僕自身、管理職として組織をマネジメントする力はまだ身についていないし、これからだと思っているので、今後も試行錯誤を続けていきます」

新規事業の立ち上げのタイミングの要所要所でアサインされてきた高橋だからこそ、言えることがあると言う。

高橋 「僕はやりたいことを明確に描いてスマートにキャリアを作っていくタイプではないんです。僕のように、本当にやりたいことが見つからず、悶々とする人はとても多い気がしています。でも、それは必ずしも悪いことではないと思います。

まず大切なのは、自分に与えられたミッションに対して真摯に向き合うこと。その繰り返しでそれぞれの事業の先に見える顧客の喜びや自分の介在価値を感じ、自分にとってのやりがいとか楽しさを見出していける。それが僕の持論です」

今後なりたい姿について多く語らない高橋は、「いつまでも等身大の社員でいたい」と口にする。泥臭く、新しい環境に身を置き続け、目の前の仕事にまっすぐ取り組むことで新しいチャンスをつかみ続けてきた高橋。新しい事業の中で、等身大の社員として活躍する高橋に注目していきたい。