「夢は調理師」から一転。大学へと進学し、働き方より安定を求めた就職活動
2020年1月、中途採用でエスプールリンクに入社した27歳の髙木 哲也。
彼の経歴は、調理の専門学校に通う所から始まる。
髙木 「私には、調理師になりたいという夢がありました。ただ、今思えば、両親が教師、親戚も全員公務員という家系で育ったため、そういった環境から逃れたいという気持ちもあったのかもしれません」
2年間専門学校に通い、晴れて調理師になった髙木は、そこで調理師の給与面の問題や労働環境の現実に直面することになった。そこで、改めてこれから先の人生を考えた彼は、21歳で大学への進学を決意する。
髙木 「一言で表すなら、陽気な大学生でしたね」
周りの同級生とは3歳の差があったが、髙木の明るい性格からかギャップを感じることはなかった。地方創生系のゼミでフィールドワークを行う傍らで、軽音楽部でドラムにも挑戦した。
髙木 「せっかく入学のチャンスをもらうことができたので、大学は自分の道を決めるための4年間にしようと決めていました。そのため、部活や勉強に全力で取り組みながらも就職活動は大学2年生のときから意識していましたね」
同じ歳の人よりも3年遅れている。その不安からか、髙木が就職活動で志望したのは「安定」している会社だった。中でも惹かれたのが、会社の根幹たる「ヒト・モノ・カネ」に関わることができる金融と人材系の企業だった。
髙木 「重要性が高く、社会全体の課題に貢献できる仕事がしたいと考えて業界を選びました。調理師を目指して挫折した経験からか、働き方よりも安定性を意識して規模の大きい会社ばかりを受けていました」
人並みに自己分析などの準備をして挑んだ面接。持ち前のコミュニケーション能力を生かし、見事3社から内定を勝ち取ることに成功した。その中から髙木が選んだのは、金融系の企業。3社の中で最も安定している会社という理由で決断したと言う。
髙木 「入社したら、いろいろな人と関わりつつ、自分の考えを発信しながら活躍したいと考えていました。安定を求めて選んだ会社だったので、長く働けたら良いなと考えていましたね」
しかし、髙木はこの後、転職を繰り返すことになる。大学2年生のうちから入念に就職活動の準備をしてきたはずの彼に、何が起こったのだろうか。
自分自身に感じた仕事のギャップ。思い描いていた理想の働き方とは
金融系の企業に入社して、髙木はすぐに自分の就職活動の「間違い」に気が付いた。
髙木 「就職した会社自体には、とくに大きなギャップは感じませんでした。入る前に聞いていた内容と実務はほぼ一致していたと思います。ただ、私がギャップを感じたのは、自分自身についてでした」
安定を求めた就職活動。しかし、働き始めてから、本当に自分がやりたいことは安定とは離れたところにあると感じるようになった。彼の理想の働き方は、「自分から発信しながら行動すること」。挑戦できる環境で、自ら起こしたアクションが評価されるような職場が合っていると気が付いたのだ。
髙木 「自己分析が足りなかったことを痛感しました。当時の自己分析では、会社へのロイヤリティが高いという結果が出ていたんです。しかし、それはどんな会社でも良いということではありませんよね。自己分析をしたことに満足してしまって、それが具体的にどんな働き方につながるのかまで考えられていませんでした」
新人の裁量権が少なく、年功序列のある環境で働くことに不満を感じ始めた髙木。そんな中で、彼が転職することを決意した出来事があった。
髙木 「営業の仕事をしていたときに、売上目標を50%しか達成できていなかったエリアに配属されました。そこで、2カ月間で売上を目標の120%にまで伸ばすことに成功したんです。ところが、達成感はほとんどありませんでした」
結果を残したのにも関わらず達成感がない。それは、髙木が評価されたいことと仕事で残せる成果がずれていたことに起因する。
髙木 「当時私が任されていたのは、ルート営業と呼ばれる、決まった取引先にあいさつ回りをしながら次のサービスを提案する仕事でした。そうした仕事内容だったこともあり、ここで売上を伸ばすことができたのは、持ち前のコミュニケーション能力が評価されただけだと感じました」
もっと自分発信の能力が評価される環境で働きたい──そんな想いを抱いた髙木は、より自分の力を試せる会社を探すことにした。
やっと見つけた“3つの軸”。それが実現できる会社で見せた目覚ましい活躍
2つの職を経験した髙木は、自分がどんな環境で何の仕事をしたかったのかをようやく掴むことができた。
髙木 「主体性が発揮できる場所であること。さらに、その行動による成果がしっかりと評価される仕組みがあること。そして、一緒に働く人が良いこと。この3つが、私にとって大切な軸だとはっきりしました」
自分を知った上で転職活動をしている中で髙木がたどり着いたのが、エスプールリンクだった。
その一次面接を担当したのは、入社3年でエスプールリンクの執行役員になった原 慎之介。髙木は、原との話の中で、仕事に対する熱量を感じると共に、理想の働き方を体現している人だと直感した。
髙木 「この会社でなら、自分らしく働くことができる。会社との価値観の一致を感じ、入社を決意しました。やはり、自分の軸が会社の軸と一致していること、そして入社前から一緒に働いていく人と関われたことが大きかったと思います。入る前と入った後で、会社に対しても自分に対してもギャップを感じることがなく働けています」
エスプールリンクに入社した髙木は、研修から続々と成果を残した。その結果、2020年11月現在、主に3つの業務を任されている。エスプールリンクの提供しているサービスである「OMUSUBI」の新規営業と、新卒の営業チームのマネジメント、そして採用市場に関するウェビナー配信だ。
髙木 「やっている業務はバラバラに見えるかもしれませんが、すべてが組織として目標を達成するためのプロセスなのでやりがいがあります。新卒のマネジメントでは一人ひとりの個性に合わせて関わり方を考えるのが楽しいですし、ウェビナーも新しい事業のきっかけになるので刺激があります」
髙木は、エスプールリンクでの働き方についてこう話す。
髙木 「なんでも思ったことが言いやすい環境です。積み上げてきた年次に関係なく、行動を起こして組織を良い方向に動かすと称賛してくれる文化が根付いているのが、他の会社と比べても良い所だと思います」
失敗したからこそ感じる自己分析の本当の意味。新たに芽生えた目標に向けて
自身のキャリアを振り返って、髙木は自分を知ることの大切さを強調した。
髙木 「いろんな経験を通して、自分を深く知ることができたと思います。ただ、学生のときにしっかりと自己分析していたら、最初から自分に合う会社を見つけられたのかもしれません。今は転職が当たり前の時代になってきましたが、選べる会社の選択肢は新卒が一番広いので後悔があります」
就職活動時の自己分析に対し、不十分だったという認識を持っている髙木。では、当時の自己分析には何が不足していたと感じているのだろうか。
髙木 「学生が自分で正確な自己分析を行うことは難しいと思います。かといって、周りの友達に他己分析を頼むこともお勧めできません。経験からして、社会を知らない人が自分を分析して働き方を模索するのは不可能だと思うんです。私の場合も、社会を知らないまま『安定』という耳触りの良い言葉に飛びついてしまいました」
学生同士の自己分析を避ける。そこで髙木が勧めるのは、社会人との対話やツールを活用した自己分析だ。
髙木 「とにかく多くの社会人に話を聞くべきだと思います。とくに、興味がある会社ではそこで働いているさまざまな層の人と会うことが大切ですね。そうすれば、会社や社員の人と価値観が合っているのかどうかを判断することができます。
ただ、一歩手前の段階では、自己分析のツールを使用して自分を知ることも有効です。仕事で適性診断について知る機会がありましたが、客観的で正確な診断が出ると感心した覚えがあります」
回り道をしながらも、自分に合った職場にたどり着いた髙木に今後の目標を聞いた。
髙木 「今は新規営業の新卒チームをまとめる役割を担っていますが、ゆくゆくはもっと上のポジションの責任者となって組織を背負って立つ存在になりたいです。チームをまとめて、目標達成に向けて組織力を高められるようなリーダーになることが目標です」
入社して1年も経たないうちから確固たる目標に向かって突き進む髙木。彼の目標が実現する日はそう遠くないかもしれない。
(2020年12月1日追記)取材をしてから約一か月。髙木が営業グループのグループ長という役職に任命された。有言実行で早くも目標を達成した髙木は、次なる目標に向かって邁進する。