11月某日──。高知県北川村に、柚子の収穫作業に勤しむ学生達の姿があった。

一見すると農家の手伝いをしているだけかのようにも見えるが、彼らが参加しているのは、株式会社エスプールが開催する最終インターンだ。

実は、全国の柚子の生産量のうち10%を担っている北川村は、人口不足という大きな問題に直面している。現在の北川村の人口はわずか1000人。この村でたくさんの柚子が実っても、それを収穫する人手が足りないのだ。

学生たちに課された課題。それは、4日間のフィールドワークを通して、エスプールの執行役員3人に対して「地方創生」をテーマに新規事業を提案すること。北川村を訪れたのは、困難に直面している現地の声を拾うためであった。

この「SDGsインターンシップ」に参加する学生たちには、新規事業開発のための充分な土壌が提供される。フィールドワーク前には、新規事業開発担当者から直接レクチャーを受ける。インターンシップに参加するための費用はすべてエスプールが負担。その後も、収穫された柚子がどのように販売、発送され、エンドユーザーの手に渡るのかまでを施設見学を通して学ぶことができる。そして、その期間中はいつでも執行役員とコンタクトが取れるというフォロー体制が整えられている。

なぜ、ここまでするのか。それはエスプール社長、浦上壮平の信念を体感してもらうためだ。

浦上 「新聞やニュースを見て情報を仕入れても、本当の課題は見えてこない。実際に現場を見て体験し、生の声を聞く。肌で感じる課題と、それを解決したいというパッションこそが何よりも大切だ」

常に社会問題をくみ取り、新規事業というカタチで解決を目指す。エスプールでの事業開発で大切にされている「原体験」を積むことが、このフィールドワークの狙いだ。

SDGsインターンに参加できるのは限られた学生だ。挑戦はグループワーク型の一次インターン「Discovalue」から始まる。そして、2日間に渡って開催される二次インターン「Integraise」にてリーダーシップを発揮し、入社後に活躍が期待できると判断された者だけが進むことができる。SDGsインターンに参加すると、選考においても最終面接までの全過程がスキップされることからも学生への期待値の高さがわかるだろう。

実際にSDGsインターンシップに参加した杉井 龍一君は、北川村での経験についてこう振り返る。

杉井 「フィールドワーク参加前から、北川村での課題を聞いてはいました。でも実際に足を運んで出会ったのは、その問題を本気で解決しようと動いている村の人たちです。自分のためではなく地域のために動く姿は純粋にかっこよくて、自然とそういった人たちの助けになるような事業をつくりたいという気持ちが湧きました」

まさに、百聞は一見に如かず。現地から得られる情報量は、ネットや紙媒体の比ではない。

杉井 「人とのつながりが強かったことも印象に残っています。コロナの影響で現地の小学生と交流するプログラムは消えてしまいましたが、代わりに僕たちへの質問をまとめて届けてくれました。地元の方がつくってくれた食事を食べ、他の学生とも絆を深めながらのインターンは他社では味わえない、新鮮な体験でした」

こうして積んだ経験を基にして、新規事業開発に取り掛かった学生たち。しかし原体験をビジネスというカタチに転換することは、易しい作業ではなかったようだ。

杉井 「ビジネスにはお金が絡んできます。課題解決をマネタイズする所から考えるのはとても難しい作業でした」

さらに、この提案では「社会課題を解決する」というエスプールらしいコンセプトが求められる。通常のビジネスコンテストと比べて難易度は桁違いだ。それでも、今まで数百の新規事業を立案し、社会課題にアプローチする仕組みを生み出してきた執行役員たちから直接フィードバックを得られるのは貴重な経験となる。学生たちは一、二次インターンで学んだこと、そしてフィールドワークでの体験を生かした新規事業の案をぶつけた。

杉井 「僕の案が執行役員に『おもしろい』と言ってもらえたことがとても嬉しかったです。しかしその一方で、なるほどなと思う指摘もたくさんいただきました。今回の『現地で課題を吸収する』経験は入社後や、まったく別分野の事業でも生かしていきたいと思っています」

エスプールが大切にしているのは、現場に赴いて本当の意味で課題解決をするアウトソーサーであること。今までに子会社として独立した5つの事業も、その根幹があったからこそ現在まで存続している。杉井君の話からは、このインターンシップを通してエスプールの真髄といえる原体験を積むことができたことが伺える。

今年度このインターンシップに招待されたのは5人。来年度以降は参加人数、開催数を増やし、また別の地域でフィールドワークをすることが検討されている。就活の枠にとどまらず、自身を成長させる機会として有効なエスプールのインターンシップ。次にそのチケットを手にするのは、あなたかもしれない。