自分の軸と重なった、スープストックトーキョーとの出会い
私が学生時代に一番力を入れていたのは、チームスポーツです。バスケットボールではキャプテンを務め、ハンドボールにも取り組みました。一人で成果を出すことよりも、仲間のために動き、チームで成果を出すことに喜びを感じる。その感覚は、今の仕事にもつながっています。
アルバイトも飲食店で続けていました。そこで出会った先輩たちは、自分の好きなことや信じていることを、自分の言葉で語り、お互いを認め合って働いている人たちでした。なかでも印象に残っているのが、観光で来店されたお客さまに、店内の観光情報誌を持ってきて行き先まで丁寧に案内していた先輩の姿です。「そこまでしていいんだ」と、お客さま以上に私が感動したことを覚えています。その経験から、「こんな人たちと一緒に働きたい」という想いが、就職活動の軸のひとつになりました。
もうひとつの軸は「食」です。東日本大震災を経験し、当たり前の日常が失われる怖さを知りました。さらに、大好きな地元の食材が風評被害によって選ばれなくなっていく姿を見て、食を通じて地域の魅力を伝え、人と地域をつなぐ仕事がしたいと思うようになりました。
就職活動では、飲食店だけでなく、スーパーマーケットや酒屋、物流、広告など、食に関わるさまざまな業界を見ていました。その中で、東京でエントリーしたのはスープストックトーキョーだけでした。きっかけは、フェイスブックで偶然目にした創業者・代表取締役会長 遠山正道の記事です。「店舗をつくることはアートだ」「伝えたいメッセージがあり、それに共感した人が集まる場所が店舗だ」という言葉に、一気に引き込まれました。「売れるからやる」ではなく、社会へのメッセージを起点に店舗をつくる。その考え方が、自分のやりたいことと重なったんです。
実は、選考では一度、一次面接に落ちています。面接では自分の夢ばかりを熱く語ってしまい、「それはスープストックトーキョーでなければ実現できないことですか?」という問いに答えられなかったんです。
ただ、そこで終わりにはなりませんでした。当時の採用担当から「もう一度考えてきて」と声をかけてもらったんです。なぜそう言ってくれたのか、そのときの採用担当の真意までは今となってはわかりません。でも、スープストックトーキョーには、選考そのものを「その人が自分自身と向き合い、働くことを考える時間」として捉える空気があるように思います。
もう一度、自分は何がしたいのか、なぜこの会社なのかを考えました。そこで気づいたのは、私が本当にやりたいのは、仲間とチームで成果を出すこと、お客さまの体温があがる瞬間に立ち会うこと、そして誰かの行動が前向きに変わるきっかけをつくることだということでした。
それが自分のやりたいことなら、スープストックトーキョーでどう実現できるのか。そこまで考えたことで、初めて「この会社で働きたい」という自分の意思がはっきりしたんです。
今振り返ると、あの選考は、会社から一方的に「選ばれる」ための時間ではなく、自分自身が「ここで働きたいのか」を考える時間でもあったのだと思います。
そのとき気づいたのは、自分が本当にやりたいのは、仲間とチームで成果を出すこと、お客さまの体温があがる瞬間に立ち会うこと、そして誰かの行動が前向きに変わるきっかけをつくることだということ。その想いを実現できるのが、この会社だと確信しました。
採用担当が話してくれた「スープを売る会社じゃなくても、私はここに入っていた」という言葉も、今でも印象に残っています。入社から7年が経った今、その言葉の意味を、以前よりずっと実感しています。
さまざまな経験を通して気づいた、店長という仕事の本当の役割
入社後は、ブランドや店舗運営の基礎を学ぶ研修からスタートしました。同期と切磋琢磨しながら過ごした時間は、今でも大切な思い出です。内定から入社までの間、地元・仙台のSoup Stock Tokyoでアルバイトをしていたので、店舗の雰囲気は知っていたものの、研修を終えて社員として店舗に立ったときは、「ここからが本番だ」という気持ちになったことを覚えています。
入社後は八重洲店、新業態のYELLOW(スープストックトーキョーが展開するカレー居酒屋、2021年閉店) 、ルミネ新宿店での物販専任、仙台店での店長を経て、現在は都内の店舗で店長を務めています。さまざまな店舗や役割を経験できたことは、自分の視野を大きく広げてくれました。なかでも印象に残っているのが、ルミネ新宿店での物販専任の経験です。それまでのお客さまとの接点は、店舗で食事を楽しんでいただくことが中心でした。しかし物販では、「大切な人への贈りもの」としてスープストックトーキョーを選んでくださるお客さまと出会い、ブランドの新しい価値を知ることができました。チームで売場や提案を考えながら形にしていく経験も、今につながっています。
そして、実際に働いてみて大きく変わったのが、店長という仕事の捉え方です。入社前は、店舗運営とは目の前のお客さまやオペレーションを支える仕事だと思っていました。でも実際は、それだけではありません。仲間に目指す姿を伝え、一緒に未来をつくっていくことこそ、店長の大切な役割なのだと気づきました。目の前の営業を支えることと、チームが向かう先を示すこと。その両方があってこそ、店舗は前に進んでいく。さまざまな経験を重ねる中で、そのことを少しずつ実感するようになりました。
「このチームにいる自分が好き」と言える場所を、仲間とともにつくる喜び
現在は2店舗の店長を務めながら、ユニットリーダーとして営業部全体のチームづくりにも携わっています。店舗に立ってお客さまをお迎えするだけでなく、社員やアルバイトパートナー(以下、パートナー)との関わりを通して、営業部全体の「体温」をあげていくことが今の役割です。その中で私が何より大切にしているのは、仲間の声にできるだけ早く向き合うことです。
仙台店へ異動して間もない頃、私の立ち振る舞いや新人育成の進め方が原因で、既存のパートナーに大きな負担をかけてしまったことがありました。勇気を出して声をあげてくれたパートナーがいて、その翌日には本人と、その声を届けてくれたパートナーを交え、3人で話す時間をつくりました。そこで痛感したのは、仲間の声を聴くことも、自分の考えを伝えることも、どちらも足りていなかったということです。すぐに向き合えたからこそ乗り越えられた経験であり、今でも店長としての原点になっています。
店長になってから、自分の役割の捉え方も変わりました。以前は「みんなの意見を聞く人」だと思っていましたが、今は「チームが目指すゴールを示す人」だと考えています。店長がどこへ向かいたいのかを言葉にすることで、仲間は安心して意見を出し、自分らしく挑戦できる。そのためにも、自己開示と傾聴を意識するようになりました。
やりがいを感じるのは、仲間が自分の得意を活かして生き生きと働いている姿を見るときです。「ここで社員になりたい」と手を挙げてくれるパートナーや、「働く人に憧れて入社しました」と話してくれる仲間が増えるたびに、自分たちがつくりたいチームに少しずつ近づいていることを実感します。もちろん、学生スタッフが中心の店舗では卒業や就職で仲間が入れ替わります。思い通りに伝わらず悩むことも少なくありません。それでも、卒業したパートナーが「ここで働けてよかった」と声をかけてくれたり、数年後にもう一度戻ってきてくれたりすることがあります。
スキルを身につけたり役職が上がったりすることもうれしいですが、それ以上に、「このチームにいる自分が好き」と思える場所を仲間と一緒につくれたと感じられる瞬間が、私にとって何よりの喜びです。そして、その積み重ねこそが、この仕事を続ける理由になっています。
「自分でいたい場所を、自分でつくる」ために
今、一番大切にしているのは、一緒に働く仲間が「ここで働く自分が好きだ」と思える環境をつくることです。そのためにまず意識しているのは、自分自身の立ち振る舞いです。複数店舗を担当しているため、一人ひとりと関われる時間は限られています。自分から挨拶をし、以前話した内容を覚えて次の会話につなげるなど、小さな積み重ねを大切にしています。「この人は自分のことを覚えてくれている」と感じてもらえることが、安心して話しかけられる関係づくりにつながると思っているからです。一方で、今の自分の課題は、何でも一人で抱え込もうとしてしまうことです。だからこそ、仲間それぞれの得意・苦手を理解し、互いに頼り合えるチームをつくることを意識しています。誰もが自分の強みを活かし、自信を持って働ける環境をつくることが、今の私のテーマです。
そして、中長期的に目指したいのは、「自分がいたい場所を、自分でつくれる人」であることです。この会社で働く中で、地元に帰らなくても、自分の軸を大切にしながら働ける場所はつくれるのだと気づきました。産地やつくり手の想いを知り、それをお客さまへ届けること、お米を使ったビールの開発プロジェクトのように、自分から手を挙げて新しい挑戦をすること。店舗に立つだけではないさまざまな経験を通じて、自分の世界は少しずつ広がっています。これからも、仲間がそれぞれの強みを活かして活躍できる場をつくりながら、自分自身も挑戦を続けていきたいと思っています。
最後に、これから入社を考えている方へお伝えしたいことがあります。「選択を正解にするのは、自分自身」ということです。会社に何かを与えてもらうのを待つのではなく、自分から働く場所をつくっていく。やらされるのではなく、自分の意志で動き、仲間と一緒にブランドを育てていく。そんな想いを持つ人と、一緒に働けたらうれしいですね。
