店長兼ユニットリーダーとして、人を育てることに情熱を注ぐ日々
現在はアシスタントグループマネージャーとして複数店舗を担当していますが、私の考え方の土台になっているのは店長時代の経験です。
店長として一番大切にしていたのは、「楽しく働ける環境」をつくることでした。自身のアルバイト時代、社員や店長がいつも職場を楽しませてくれていたんです。その経験から、「今度は自分がそんな店長になりたい」と思うようになりました。もちろん、忙しい日には「しんどいな」「疲れたな」と思うこともあります。でも、そう言っていても何も変わらない。どうせ働くなら楽しまないと、人生楽しんだもん勝ち。そんな空気をつくることも店長の役割だと思っていました。
その想いは、「世の中の体温をあげる」という理念を店舗でどう実践するかにもつながっています。店舗では効率や優先順位を考えながら仕事を進めますが、私が一番優先したかったのは、お客さまや誰かの体温をあげる行動でした。だから、アルバイトパートナー(以下パートナー)の面接や雇用契約面談では「困っている人がいたら、周りに声をかけて動いていい」と必ず伝えていました。本気でそう思っていることを知ってもらうために、お客さまや仲間のために行動した人は、みんなの前で賞賛することも大切にしていました。
ルミネ新宿店で働いていた頃、高校生のパートナーが、お子さま連れのお客さまに気づき、「座って待っていてください」と椅子を用意したことがありました。その行動によって、お客様は涙を流して喜んでくださいました。 その姿をみんなで賞賛したのは、その子を褒めたかっただけではありません。「世の中の体温をあげること」を最優先にしていいという文化を、チームみんなで育てていきたかったからです。
社員になるつもりはなかった私が、「このチームをつくりたい」と思えた日
実は、正社員として働くことは人生で一度も考えたことがありませんでした。前職では約8年間ファストフード店のアルバイトとして働いていましたが、「社員になりたい」と思ったことは一度もなかったんです。
Soup Stock Tokyoとの出会いも、とても個人的な出来事がきっかけでした。かみ合わせの手術で入院し、しばらく流動食しか食べられない時期があり、そのとき何度もSoup Stock Tokyoに助けられました。「こんなお店があるんだ」と感じたことが、アルバイトとして働き始めるきっかけでした。
転機になったのは、おだし東京(Soup Stock Tokyoの和食店、2021年閉店)でアルバイトパートナーとして参加したSoup Stock Tokyo Grand Prixです。各店舗が、お客さまや地域、仲間のために工夫を重ね、「世の中の体温をあげる」をそれぞれの形で表現している姿に衝撃を受けました。
「この理念って、本当に店舗で実践できるんだ。」
そう感じた瞬間、自分もこんなチームをつくってみたい、いつか自分のチームでGrand Prixの舞台に立ちたいという想いが生まれました。そのとき初めて、「社員になりたい」という気持ちが芽生えたんです。
その後、内部登用で社員となり、おだし東京、Soup Stock Tokyoで経験を重ねてきました。コロナ禍という大きな変化も経験しましたが、どんな環境でも「世の中の体温をあげる」を大切にする仲間と働く中で、自分自身も少しずつ成長してきたと感じています。
「私にもできた。」そう思えたから、今度は誰かの背中を押したい
「人を育てたい」というより、「一緒に働く仲間が成長するお手伝いができたらいいな」という感覚なんです。実は私自身、人に何かを教えたり伝えたりすることは得意ではないと思っていました。「私なんかから学べることなんてない」と感じていた時期もあります。
そんな私が変わるきっかけになったのが、アルバイト時代に経験したSSTグレード(理念実現のためのスキル習得プログラム)でした。一つひとつできることが増え、自分の成長を実感できるようになって、自信も少しずつ持てるようになったんです。「自分にもできた」「自分でも変われた」と思えたのは、周りで支えてくれる人がいたからでした。だから今度は、自分も誰かにとってそんな存在になれたらと思っています。
店長時代は、学生や主婦、フリーターなど、さまざまなパートナーと働いてきました。学生の皆さんには、「社会に出る前の準備ができる場所」になれたらという想いもあります。SSTグレードも、「教えるため」ではなく、自分の成長を実感できる機会として積極的に活用してきました。グレードが上がれば手当もつく。「みんなが成長すると、お店もよくなるし、みんなもうれしい。Win-Winじゃない?」そんなふうに、一人ひとりの成長がお店の力になることを大切にしてきました。
ルミネ新宿店で一緒に働いた学生たちが卒業後、「Soup Stock Tokyoで経験したことが今の仕事で役立っています」と話してくれたことがあります。その言葉を聞いたとき、店長をやっていて本当によかったと思いました。誰かの成長を支えることは、特別なことではありません。私自身がそうしてもらったように、ほんの少し背中を押すこと。その積み重ねが、誰かの自信につながっていくのだと思っています。
店長のその先へ。経験を広げ、誰かの可能性を広げていきたい
現在は、店長や店舗を支える立場になりましたが、これから特に力を入れていきたいのは、若い店長たちのサポートです。店長になると、店舗運営だけでなく、人との関わりや判断など、これまで経験したことのない壁に出会います。だからこそ、店舗の外にも目を向けてほしいと思っています。
私自身、新宿で店長をしていたときには、地域の福祉施設でつくられているはちみつと出会い、そのはちみつを使った商品開発にも携わりました。ほかにも、お米と麦のビールのプロジェクトや、生産地を訪れる機会など、店舗を飛び出してさまざまな経験をしてきました。ひとつの商品が、どんな人の手で、どんな場所で生まれているのか。そこまで知ることで、商品を見る目も、お客さまに伝えたいことも変わっていきます。店舗で働きながら、地域やつくり手と出会い、新しい価値を生み出していける。そんな経験も、スープストックトーキョーで働く面白さのひとつだと思っています。
そうした経験があるからこそ、お客さまへの一言や商品の伝え方にも自然と思いが乗るようになります。ただ商品を提供するだけではなく、その背景まで伝えられる人が増えたら、店舗もブランドももっと魅力的になると信じています。
私自身も、Soup Stock Tokyoで働く中で、自分を好きになり、人をもっと好きになりました。社員になるなんて考えたこともなかった私が、挑戦したいと思えるようになったのも、この会社だったからです。「世の中の体温をあげる」という理念は、忙しい店舗では簡単なことではありません。それでも、誰かのために一歩踏み出そうとする仲間がいるから、店舗の空気は少しずつ変わっていきます。
これからも、一人ひとりが自分らしく挑戦できる環境をつくりながら、その先で誰かの体温をあげられるチームを増やしていきたいと思っています。
