「縁の下の力持ち」のような存在として、本社で薬局運営のサポートを担う
薬局運営推進部は、2023年4月現在9名が所属しています。
甲斐 「薬局運営推進部は薬局運営全般のサポートをはじめ、薬局の価値向上に向けて、さまざまな施策の立案と推進をしています。健康サポート薬局やかかりつけ薬剤師の推進企画、薬局教育に関する項目など業務は多岐にわたります」
多岐にわたる業務を円滑に行うために、どのようなことを心がけているのでしょうか。
甲斐 「部のメンバーが福岡本社と東京本社の2拠点に分かれて仕事をしているので、報告や相談はできる限り早めにするように心がけています。こまめに連絡を取り合っているので、話しやすい雰囲気が醸成されており、和気あいあいとした雰囲気。でも、いざやるときは一丸となって取り掛かる環境ですね」
また、本社で業務を行う薬局運営推進部は、基本的に患者さんと直接顔を合わせる機会がないため、あえて意識を強く持たなければならないこともあると言います。
甲斐 「実際に薬局で勤務をしていないからこそ、今自分がやっていることが本当に患者さんのためになるのか、という視点を常に持つよう意識しています」
管理栄養士という資格を活かして、自治体の保健事業で栄養指導に携わることもあると言う甲斐さん。管理栄養士という資格と薬局を結びつけたのは、「未病」への興味でした。
管理栄養士として未病にアプローチできる場を求めて、調剤薬局に就職
中学から高校時代までバスケットボールに打ち込んでいた甲斐さんは、健康な身体づくりや、家族が健康でいられるようにと考えるなかで「食」に興味を持ち、管理栄養士の資格を取得しました。
甲斐 「管理栄養士の就職先には病院や介護施設、学校などがあるのですが、『未病』について、より多くの人にアプローチできる場所はどこだろう、調剤薬局なら幅広い層の方と接することができるのではないかと考えました」
こうした想いのもとで就職先を探していたところ、調剤薬局で管理栄養士職の求人が見つかり、地元の福岡を離れて関東圏で勤務することになりました。
甲斐 「前職で薬局勤務をしていたときは、店舗内での栄養指導や調剤補助をメインに、患者さん向けの健康イベントを開催したり、病院が主催するイベントの講師をしたりと、管理栄養士としての業務を中心に従事していました。最後の1年は店舗責任者として、店舗運営やマネジメントに携わることができたのは貴重な経験でした」
さまざまな経験を積む中で、甲斐さんの中で芽生えていたのは、これまでの経験を地元で活かしたいという想いです。2020年にパートナーが転職で福岡に引っ越しをするタイミングに合わせ、転職を決意しました。
甲斐 「それまで働いていた会社が関東圏限定で薬局を出店していたので、地元の福岡を拠点として、さらには全国にも活動を広げているような企業を探しました。そこで出会ったのが総合メディカルです」
最初に目にした「わたしたちは、よい医療を支え、よりよい社会づくりに貢献します。」という総合メディカルの社是が印象的だったという甲斐さん。
加えて、ダイバーシティを推進しており、子育てサポートについて高い水準で取り組んでいる指標となる「プラチナくるみんプラス」や、女性社員の活躍推進の認定である「えるぼし」などの認定を取得しているという企業姿勢も、今後、仕事と家庭の両立をめざす上で働きやすい会社ではないかと魅力的に感じました。
甲斐 「薬局店舗だけではできないことに取り組んでみたくて、本社勤務の薬局企画部に入社しました。店舗に立ち、一人ひとりの患者さんとやり取りする充実感や、栄養指導で患者さんの健康状態が良くなることにやりがいを感じていましたが、その経験をベースに、より広い視野で健康支援に携わりたいと考えたのです」
入社半年後に現在の薬局運営推進部に異動になり、さらに薬局の運営に重点的に携わるようになりました。
オンラインを活用したイベントを開催し、地域の健康サポートの可能性を実感
甲斐さんは職種転換審査に合格し、2022年4月にオフィススペシャリスト職から総合職に職種転換を果たしました。
甲斐 「入社当初から、いつかは総合職にチャレンジしたいと思っていました。オフィススペシャリスト職は、ルーティン業務がメインになってくるので、総合職として、企画など運営の部分に重点を置いて携わりかったのです。審査の概要がわかってから上長にもアドバイスをもらいながら準備をしました。総合職になり、自分が担いたい業務に向き合って仕事ができると実感しています」
さまざまな業務の中で、甲斐さんが印象に残っているのは、コロナ禍で行った他社との協業イベントだと言います。
甲斐 「メーカーさんから当社に声を掛けていただき、イベントの企画から実行まで通して関わることができました。当日はメーカーさんのブースをお借りして、体組成測定や、ロコモ度チェック、目の健康チェックなどを行いました。
加えて、イベント会場にいる参加者と薬局にいる薬剤師をビデオ通話でつなぎ、健康チェックのフィードバックや健康相談をオンラインで行うという新しい形式のイベントにもチャレンジしました」
初めてのイベント形態かつ新しいシステムも導入したので大変だったと振り返る甲斐さん。メーカーの担当者や、薬局側の担当薬剤師などの関係者も多く、打ち合わせや調整にも多くの時間を要しました。
甲斐 「初めての企画で戸惑ったことも多かったですが、同じ部署の先輩や上司に相談し、アドバイスをもらいながら進めていきました。無事開催できたときは、心底ホッとした記憶があります」
参加者からは、身体の状態を知ることができて良かったという好意的なフィードバックを多くいただきました。
甲斐 「イベント参加者の中に、目の健康チェックで『病気の可能性あり』と結果が出て、薬剤師が受診勧奨をした方がいらっしゃいました。後日、その方が眼科を受診し、検査をされたところ異常が見つかり、病気の早期発見につながりました。
対面とあわせて、オンラインを活用することで、今まで薬局に来られていなかった方の健康もサポートできるきっかけになったと大きな手ごたえを感じています」
気軽に立ち寄れる健康拠点としての調剤薬局を、地域の人に広めていきたい
これまでに開催したイベントを通して甲斐さんが感じたのは、管理栄養士になったときから意識している、未病への取り組みの可能性です。
甲斐 「今後は、普段あまり薬局に来る機会がない地域のみなさまの健康もサポートをしていきたいと考えています。前回のイベントでは、薬局から少し離れた場所で薬剤師とオンラインでつないでの健康相談を実施することができたので、店舗以外の場所でイベントを行うことの可能性を感じました。これからもこういったイベントをどんどん企画していきたいですね」
全国に拠点がある「そうごう薬局」がそれぞれの地域に根差した薬局をつくり上げるにあたり、それを下から支えられるような存在になっていくのが甲斐さんの目標のひとつです。さらに甲斐さんが頭に描いているのは、企業や地域に限定しない将来の調剤薬局のあるべき姿です。
甲斐 「健康サポートを行う上で、“食”は切り離すことができません。調剤薬局=お薬をもらう場所というイメージを払拭し、“薬”と“食”の2つの面で健康のサポートが受けられる場所にしていきたいです。
さらには薬局に行けば測定機器を用いた健康チェックができたり、体調不良時に相談できたりするなど、敷居の低い場所になっていくと良いなと思います。そのためにも、薬局で健康相談ができることを周知していきたいです」
管理栄養士が常駐している薬局は少しずつ増えてきていますが、世間一般にまだ広く知られてはいません。薬局での管理栄養士の採用はまだまだ少ないため、管理栄養士が活躍できる場だということも広めていくのが、将来を見据えた甲斐さんの目標です。
甲斐 「管理栄養士が薬局で活躍できる機会をもっと増やせたらと考えています。薬局で薬剤師・管理栄養士・事務がそれぞれの専門分野を持ち寄り、一丸となって患者さんを支えていくことで、より一層、薬局を地域のみなさまの健康をサポートできる場所にすることがきると信じています」
高齢社会が進み、地域での在宅看護などが広まっていく中、地域に密着した医療拠点の役割はますます重要性を増していきます。そのためにも、甲斐さんがめざす将来の調剤薬局の姿が当たり前になることが待ち望まれているのです。