薬局事務は薬局の顔。入社当時、処方箋に書かれたカタカナを読むのに四苦八苦した

article image 1
▲日々の仕事で大切にしている考え・コトバ

廣澤さんが担当する薬局事務は、処方箋受付や事務作業、調剤補助などを行うことが主たる業務です。

廣澤 「患者さんが処方箋を持って薬局へ来店されたとき、薬局の顔として受付で対応するのが私たち薬局事務職です。処方箋を受け取り、処方箋の情報を入力した後、薬剤師の調剤補助に入り、できた薬をお渡しします。月初と月末には事務作業があり、月初は調剤報酬のレセプト作成、月末は月ごとのお金の精算業務を行います」

薬局事務の仕事の一環として、一般用医薬品等の相談・販売があります。これは、処方箋がなくても販売できる薬やサプリメントを患者さんに紹介する接客業務のこと。廣澤さんが薬局事務に魅力を感じたのも、接客があったからです。

廣澤 「医療事務の仕事もはじめは検討していましたが、デスクワークが多いイメージがありました。もともと販売の仕事をしていたので、今の薬局事務の仕事は、接客ができることにも、楽しさややりがいを感じられます」

 薬局事務職に就く時点では、特別な資格は不要ですが、廣澤さんはあえて転職活動時に医療事務の資格を取得しました。

廣澤 「転職活動に臨む際、何らかの資格を持っていた方が活かせるはずと思い、取得していました。しかし現場ではイレギュラーな対応が多く、資格試験の教科書通りではありません。一番良いのは長年の経験を持つ先輩に直接聞き、学び、実践することです」 

入社したての廣澤さんを悩ませたのは、処方箋に書かれたカタカナ文字でした。

廣澤 「自分自身、これまで薬局とは患者としてしか関わったことがありませんでしたから、慣れるまでは処方箋に書いてあるカタカナを目で追うのが大変で、最初は読み取れませんでした。1年経った今でも、初めて対応する内容がまだまだあるほどです」

廣澤さんが働く薬局は、薬局事務1人の店舗。業務で分からないことがあった際は、同じエリアにいる別の薬局の先輩にアドバイスを仰ぐと言います。

廣澤 「薬を扱っているので、間違いは許されません。分からないことはそのままにせず、同じエリア内にいるOJTの先輩に相談します。毎回先輩に聞くときは、まとめて電話で聞くようにしています。月末の忙しいときに聞くのは、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいにもなりますが、先輩からの、遠慮せずになんでも聞いてという言葉に甘えさせてもらい、納得するまで確認をしています」

医療は人に必要とされ続ける業界。医療により近いところで、関係者を支えたい

article image 2
▲処方箋の情報入力を行う廣澤さん

大学卒業後、廣澤さんはアパレル業界に新卒入社しました。大好きなブランドを扱う会社だったこともあり、本社で働くよりもお客様と接する現場に立ち魅力を伝えようと、販売員になりました。接客を好きになったのは大学時代のアルバイトの影響があります。

廣澤 「大学時代、靴の販売を経験しました。私は人と話をしたり、人前で話したりするのは得意ではないと思っていますが、接客は、お客様に与えた分だけ感謝していただけます。当時のアルバイトで、そういった接客の楽しさを学びました」

前職のアパレルで廣澤さんは4店舗を回り、最後、丸の内店では副店長を務めました。副店長の仕事はどのようなものでしょう。

廣澤 「後輩の育成、後輩と店長をつなげる仕事をしていました。悩みを聞いているうちに、後輩に寄り添いすぎることもありました。引っ張っていく、というよりはどちらかというと、一緒に頑張ろう、同じ方向を目指していこうという感じで接していましたね」

転機が訪れたのは2020年。新型コロナの影響で環境が一変します。丸の内エリアからも会社員と外国人観光客の姿が激減しました。

廣澤 「将来を考える時間が増えました。当時、医療従事者の奮闘ぶりがマスコミで取り上げられていましたし、姉が看護師をしていることもあり、自分もできることならば医療に近いところで働きたいと思うようになりました。医療は人に必要とされ続ける業界だと思います」

 廣澤さんはアパレル業界を退職した後、転職サイトに登録しながら仕事を探しました。

廣澤 「医療事務の勉強中に、この薬局事務という仕事を知りました。それまでは、薬局で処方箋を受け取っているのは、薬剤師だと思っていましたから」

薬局事務に魅力を感じた理由を聞くと、お客様との接客が医療事務より多い気がした、との返事がきました。薬局事務の職種に絞り込み、調べているうちに、総合メディカルに出会います。

廣澤 「自分が役に立てる仕事を真剣に考えたとき、総合メディカルを見つけました。ウェブサイトには、パソコンスキル不要、9割が未経験と記載されていて、すべて私が不安を感じていたことだったので、一気に不安が払しょくされた気がしました」

人の顔と名前を覚える接客スキルに皆が驚く。前職で培った経験が役に立った

article image 3
▲一緒に働く店舗スタッフ

採用面接の際、廣澤さんは運命の出会いがあったと言います。

廣澤 「業務説明をしてくれた薬剤師の方がとても熱意を持って働かれている様子が伝わってきて、ぜひこの方と働きたい、この方をサポートしたい、と直感的に思いました。薬剤師の仕事は全くの畑違いで詳しくは知らなかったのですが、この人から学びたいと心の底から思えたんです」

総合メディカルは中途採用に力を入れており、採用後の教育研修も実施しています。

廣澤 「同じ時期に入った全国の人たちと話し合う機会があり、いろんな体験談を共有しました。私と同様、全く違う職種から転職した人もいて心強かったです。年齢層も幅広い印象だったのですが、意外と自分と同世代の若い人もいるんだなと感じました」

直接会ったことがない人でも、同じ会社で働く仲間意識を持つと、親近感がわきます。廣澤さんは、前職の経験は無駄ではなく役に立っていると言います。

廣澤 「薬剤師さんに『今〇〇さんが病院を出られました』と話すと『なぜ名前を覚えているの』と驚かれたことがあります。受付で接客していると自然に覚えてしまいます」

名前と顔、お客様の特徴を覚えるのが得意な廣澤さんは、“接客”で患者さんと信頼関係を築いています。

廣澤 「アパレルのお店では、一度来られたお客様の顔と名前、購入した商品を必ず覚えるようにしていました。来られたとき、『この前買った商品はどうでしたか』と聞いて、次のご案内につなげていきます。薬局は処方箋がありますし、患者さんのお名前と顔も一致しやすいですね」

廣澤さんはひとつ、印象的なエピソードを紹介してくれました。

廣澤 「いつも薬局へ来るたびにブルーベリーのど飴を必ず買ってくれるおばあちゃんがいます。その方の娘さんが来店したとき、ブルーベリーのど飴を探しているようでした。おばあちゃんのために買うのだと思い、『のど飴でしたら、まだ入ってきていないんですよ、ごめんなさい』とお声かけしたとき、『どうして分かったの!』と驚かれましたが笑顔にもなっていただきました」

廣澤さんは、いつも来られる患者さんの購入する品物だけでなく、その家族のことも記憶していたわけです。

廣澤 「前職での接客経験が活きています。職種が違ってもコミュニケーションスキルは同じだと実感しました」

薬局事務は毎日が学びの場。経験値が増えると自信につながり、もっと輝ける

article image 4
▲調剤補助をする廣澤さん

総合メディカルに入社して1年が過ぎました。廣澤さんの当面の目標は、OJTの先輩の等級になることです。

廣澤 「総合メディカルでは、薬局事務も等級が細かく分かれています。私は2022年10月現在、一番下の等級です。OJTで教えてくれている先輩の等級に、自分も早くなりたいですね。そのためには現場で場数を踏み、経験値を増やすことが大切です」

アパレル業界からやってきた廣澤さんは、薬局での接客に新しい風を吹き込んだのと同時に、前職で積んだキャリアは無駄にならないことを証明しました。

廣澤 「現場では、毎日イレギュラーなことが起きていますが、働くスタッフ数も少ない薬局なので決してミスは許されません。うまく対応できたか、不安や焦りを感じることもありますが、日々の小さな発見を楽しみながら仕事をマスターしたいです」 

今後のキャリアについて、廣澤さんは自分の性格に合ったステップを考えています。

廣澤 「先にお話ししたように、私は先輩になっても、後輩をリードしてグイグイ引っ張っていけるタイプではありません。だからこそ、現場での学びは多ければ多いほど自分の今後の自信につながると思います。今教えてくれるOJTの先輩のように自信を持って教えられる立場になり、後輩に寄り添いたいです」

薬局事務に向いている人について、廣澤さんにたずねるとこんな答えが返ってきました。

廣澤 「いろいろな経験ができるので、チャレンジ精神のある人におすすめです。未経験でも不安を感じることはありません。全く違う業種から転職する人も多いため、支え合いながら教わる環境が整っています」

さらに廣澤さんは次のように続けます。 

廣澤 「今の働き方に不安があるような人や、より長い目で見て働きやすい職場を探している人にもおすすめできます。体力的にも負担は少なく、定期的な休みもあります。年齢を重ねても働ける職場で、医療業界は人に必要とされていると実感できます。転職して本当によかったと私も思っています」 

廣澤さんは今日も薬局の受付に立ち、優しい笑顔で対応しています。