20代最後の年、もっと早く、高みへ行きたいと思った

article image 1

私が新卒で入社したのは、素材メーカー。顧客ニーズに応じてさまざまな形に変化させることのできる素材を商材として扱うことで、最終製品メーカーより広く世の中に新たな価値の提供ができるのではないかと考え入社を決めました。

文系学部の出身で営業をやるのかなと漠然と想像していたのですが、配属されたのは経営企画部。会社全体の予算や中期経営計画を作成し、毎月の実績を追いかけていました。その後、原料部で主原料の購買やデリバリーを兼任するようになり、原料を扱う商社やほかのサプライヤーと価格や納期の交渉をしたり、自社の工場と納期・デリバリーの調整を担当しました。ふたつの業務を3年半ほど兼務した後、再び経営企画部を専任で担当。この時年齢は29歳になっていました。

30代になればキャリアの選択肢も変わってくる。今後の社会人生活が今のままでいいのか、それともほかの道を考えるのがいいか、自分自身と向き合いました。以前の会社に不満があったわけではなかったのですが、会社の規模や風土、成長性などを鑑みたときに、同じ専門領域でもより早く自分のキャリアを高められる場所がほかにあるかもしれないと考え、まずは可能性を探ってみようと転職活動を開始しました。

転職エージェントに登録し求人の紹介を受けたのですが、コンサルティング業界が多く、事業会社でのやりがいを知っている自分としてはピンとくるものがありませんでした。そんな話をたまたま友人に打ち明けた際、「うちの会社はどう?今、募集しているんだけど」と。その友人が勤めていたのが、ソフトバンクの経営企画本部でした。正直まったくイメージしていなかった業界であり会社でしたが、友人の話を聞く中で、おもしろいかもしれない、自分の求めているものが得られるかもしれないと思い、選考を受けることにしました。

面接を通じて、ソフトバンクは数多くの企業に投資をしていて、キャッシュやリスクマネジメントに相当こだわりがあることや、複雑な会計のスキームを活用していて、財務・会計のプロフェッショナルが多く在籍していることを確認しました。興味があった出資やM&Aに関われるチャンスがあることも後押しして、入社を決意しました。

全社の計画と実績を管理し、経営層の意思決定をサポート

article image 2
▲第33回定時株主総会 事業戦略説明資料より

2017年4月に入社し、経営企画本部の中で、事業計画部という全社の利益管理を行っている部署に配属されました。コンシューマ事業や法人事業、新規事業や子会社などがそれぞれ作成した事業計画の情報をすべて吸い上げて、ソフトバンク全社の計画と実績を管理する役割を担う部署です。

その中で私は各事業の予算・計画の取りまとめを担当しています。入社初年度は損益計算書を、現在はキャッシュフローの作成を担当しています。週次の経営会議、月次の取締役会議で報告し、経営層の意思決定をサポートする責任ある仕事です。

ソフトバンクではIFRS(国際会計基準)を導入しています。株主からすれば同じ業態なら同じ基準で比較したいのは当然ですよね。ソフトバンクのようにグローバルな株主が多い場合は特に、グローバルスタンダードに適応する必要があります。私は日本基準の会計しか経験が無かったため、ゼロから必死にIFRSを勉強して、管理会計に落とし込めるようになりました。

今後、日本の企業がIFRSを採用していく流れは加速していくのではないでしょうか。ソフトバンクでは、定期的に更新されるIFRSを毎年のように適用するので、変化に適応する力も養われますし、時代の流れに適したスキルが身につくメリットは大きいと思います。

新規事業が続々と立ち上がるため、同時進行のプロジェクトが多いことも特徴のひとつです。経営会議の前日など直前のタイミングで新たな案件の検討が始まり、影響額を試算して翌日に経営陣に報告することも往々にしてあります。そうした状況にも、「間に合いません」「できません」ではなく、できる範囲で最善を尽くすことを、皆当たり前のように楽しんでやり遂げる文化が根付いています。

今年5月の決算説明会ではヤフーの連結子会社化の発表がありました。私がそれを明確に知ったのは決算説明会をもってとなりましたが、その直後からヤフーとのシナジーを生むためのプロジェクトがスタート。実務オペレーションとして、連結決算処理や予算策定・中期経営計画の結合などを短期間で手掛けました。前職でも合併・吸収の経験はあったのですが、スピード感がまったく異なります。一般的には1年くらいかけてやる作業を、2~3カ月でやっているのではないでしょうか。改めてソフトバンクの強みとおもしろさを体感しています。

チャンスは入社2カ月で巡ってきた。出資案件への志願

article image 3

入社直後のことを振り返ると、ソフトバンクのカルチャーに驚くことが多かったように思います。たとえば、経営層へのメッセージの出し方。経営企画では若手からベテランまで幅広い経験値の人が活躍していて、皆年次に関わらず、メッセージの打ち出し方にこだわっている。

業務では膨大な情報と数字を扱いますが、その本質を見抜いて、シンプルにまとめ上げているんですね。数字から何を伝えたいのか、という意思が明確です。経営層への報告も、吸い上げた膨大な情報を数日間で10枚程のシンプルなスライドにまとめあげて、5分〜10分で発表しています。

前職では、伝えたいことを、その場の空気に合わせながら発表することもあったように思います。しかしソフトバンクでは周囲の顔色を伺うような風土はありません。経営企画本部が主導して「こうすべき」というメッセージを明確に打ち出している。自分たちが手掛けた資料やメッセージが、経営に影響を与えているという手ごたえはやりがいにつながっています。

社歴に関わらず手を挙げればチャンスをつかめることは、友人から聞いていた通りだなと実感しています。入社して2カ月くらいのころ、経営企画本部内で新プロジェクト担当者の公募がありました。希望していたM&Aや出資に関するスキルを身に付ける機会。通常業務との平行になりますが、迷わず志願しました。

出資の検討先は、創業間もないベンチャーで、先方の代表や経営企画メンバーとコミュニケーションを重ねて、数カ月間の調査・検討を行いました。最終的にはその企業が保有するビッグデータに大きな価値があるという結論にいたり、実際に出資も行いました。自分のやりたいことが入社後2カ月というスピードでひとつ実現したことが、とても印象に残っています。

漠然とした「成長したい」は、明確な「CFOになりたい」という想いへ

article image 4

年次や経験によらず希望した案件に関わるチャンスがあるので、意欲次第で圧倒的なスピードで成長できると思います。特に近年はソフトバンク・ビジョン・ファンドの出資先企業などと協業して、新規事業をものすごいスピード感で立ち上げているため、大企業からベンチャーまで、幅広い企業の経営管理にアサインされるチャンスが増え続けています。

たとえば新会社を設立し、新たにCFOが必要となれば、まず私たち経営企画本部のメンバーか、ほかの財務メンバーが就任することになります。新会社のCFOや、実質CFOと言える管理部長などに就任する過程や就任後の業務を通じて、会計・財務のあらゆる経験を積んで、プロフェッショナルになる道が開けています。

私は幸運にも損益計算書からキャッシュフローの計算まで、CFOに必要な一通りのスキルを業務を通じて吸収できる立場。これらの経験を通じて、小規模の会社での一通りのCFO業務ができるレベルに成長することを今は目指しています。

入社してすぐに担当した出資案件は事業計画のチェックがメインでしたが、今後はデューデリジェンスにも挑戦したい。チャンスがあれば積極的に出資案件に手を挙げて、経験の幅を広げていきたい。そのためにも、目の前の仕事で成果を出して、信頼を勝ち得たいと思っています。

ソフトバンクは従業員数で17,000人超、営業利益は7,000億円を超える大規模な企業ですが、当然ながら、社員一人ひとりの成果がすべて積み上がって、全体の数字につながります。財務側の人間が一番気をつけなければいけないことは、各事業部門に対して計画した数字の根拠を的確に示すこと。全員がゴールから逆算できる目線を持って臨んでいないと、数字への責任感も醸成できません。

単に数字を積み上げてほしいというメッセージにならないように、会社をどうしていきたいのか、そのために各事業部門に何を実現してほしいのかということを伝えていきます。各事業部門が納得感を持って計画の達成にコミットできるよう、ロジックと情熱をもって、泥臭くコミュニケーションを重ねていきます。この毎日を全力で走り続けることでソフトバンク全体の底上げに貢献しつつ、自分自身のスキル・キャリアも高めていきたいと思います。