「バスケに関わり続けたい」その一心で、スポーツ健康科学を専攻
福田 「すべてのきっかけは、バスケットボールにあるんです」
そう語る福田のキャリアストーリーの原点は、学生時代にまでさかのぼります。
福田 「私は中学・高校とバスケ部に所属していて、とにかくバスケが大好きです。将来もバスケに関わる仕事がしたいと、高校時代から漠然と思っていました。でも、将来プロになれるかといったらそれは厳しいことは当時からわかっていて。だから、バスケをプレイする人たちを『支える側』の仕事ができればいいなと考えたのです」
そこで福田は、意図的にスポーツ系の学部を選んで大学に入学。スポーツ健康科学を専攻しました。そのおもしろさに魅了され、大学院にまで進みます。
福田 「大学院では、バスケに特化した研究を始めました。たとえばバスケでシュートを決めるときに、足のどこの筋肉が使われるのか、それがジャンプの高さとどう関連するのかなどを、バイオメカニクス的な観点で研究したのです」
学問の傍らで、サークル活動でもバスケをしていた福田。まさにバスケ漬けの日々を過ごしていました。就職活動の時期を迎えても、気持ちのブレはありません。当然、バスケに関われる仕事を探し始めます。
福田 「シグマックスという会社を知ったのは、このときです。きっかけは、スポーツサポーターのブランド『ZAMST』。ZAMSTはバスケ界隈で結構認知されているブランドで、このサポーターはどこの会社が作っているのだろうと思って調べてみたら、シグマックスにたどり着いたというわけです。この会社であれば、自分の研究開発のスキルを活かしつつバスケに関われるのではないかと思いました」
こうしてシグマックスへ入社し、初任配属で開発部門に配属。1年目からOJTをメインに色々な先輩の手伝いをしました。製品に使われる生地の特性を学んだり、サポーターの装着試験をしたり、ミシンの操作研修を受けたり。これまで経験したことのない、新しい学びの連続でした。
福田 「スポーツ関連の知識は大学時代に学んでいたものの、繊維や資材に関する知識は何も持っていなくて。1年目は、勉強することだらけでしたね。ミシンを踏む研修など予想外の業務がたくさんあり苦労もしましたが、おもしろかったですよ」
苦労の中で大きく成長。「会社からチャンスを与えてもらった」
学びの多い1年目を終え、ついに2年目。このタイミングで新型コロナウイルスが大流行しました。会社はテレワークになり、業務環境がガラリと変わります。
福田 「コロナ禍は当社の販売にも大きな影響がありましたが、ひとつの機会と捉えようと思いました。当時はとにかくマスクの需要に供給が追い付かず、注目を集めていましたよね。そこで、開発のメンバーでマスクに関する新商品のアイデア出しをし、5~6月頃からマウスカバーを作ろうと動き出しました」
スポーツ時の息苦しさを軽減するような、通気性の高いマスクを作る──そんな企画が走り出したのです。少しでも早く市場に出せるよう、チームで一丸となって集中して業務にあたりました。結果、出社制限がある中でもチームワークを発揮し、短期間で製品化に成功。「ZAMSTマウスカバー」として売り出すことができました。
福田 「急ピッチで挑んだ分、大変でした。でも、1人では絶対にできないようなこともチームワークを発揮すれば達成できるんですよね。若手のうちにそれを体験ができたのは、ラッキーだったと思っています。おかげさまでマウスカバーは多くのお客様に好評をいただき、ヒット商品になりました」
こうして経験を積んだ福田は、新しいチャンスを手に入れます。
福田 「2年目の冬頃に、インドで立ち上げたスポーツ用サポーターのプロジェクトチームへ参加しました」
プロジェクトは、インドの市場に向けた計8つの新製品を発売するというもの。福田は、そのうちの2製品の開発を担当しました。
福田 「この仕事も、マウスカバーと同様にかなり短期間で進めました。とくに苦労したのは、インドとの技術レベルや感覚の違いです。そういったズレを調整しながら、なんとか製品化まで走り抜けました」
短期間での業務で成果を出した本プロジェクトのメンバーは、年度の貢献者として社内表彰も受けています。
福田 「振り返れば、入社して3年のうちに、短期間でゴールさせるような難しい案件をたくさん与えられました。苦労もしましたが、大きく成長できたと感じています。会社からチャンスを与えてもらったように思っていますね」
初めてメイン担当でプロジェクトを進行。先輩の手厚いフォローに感謝
難易度の高い業務にも果敢に取り組んできた福田が3年目の後半に任されたのは、既存の商品を特殊仕様にアップデートすること。1から開発をしていたこれまでの仕事とは毛色の違う業務です。
福田 「既存のZAMST製品に手を加え、『暑さ対策アイテム』というシリーズで新発売したのです。私が担当したのは、先輩が担当し1年前に発売したフード付きポンチョの第2弾と、定番製品である『ZAMSTアームスリーブ』を冷感仕様で新発売するというテーマでした。
この仕事には、私がメイン担当として関わりました。これまではサブ担当でやってきたので、急にメイン担当になってしかも一気に複数製品も走らせるとなると、しんどい部分もありましたね。開発だけでなく、社内関連部門、外部業者とのやりとりなど、これまでは先輩が担当してくれていた部分も、自分が主導しなければならない立場になったたので余計に大変で……。先輩方が親身になってフォローしてくださったおかげで、なんとか成功できたと思っています」
こうして暑さ対策アイテムを無事完成させた福田。中でもとくに思い入れが強いのは、「ZAMSTクールシェイダー」というフード付きポンチョだと語る福田。形自体は既存のものを踏襲したものですが、デザインや色、ロゴの配置を大きく変更しました。
福田 「デザインという分野は、大学ではもちろん、これまで学んだことがなかったので、考えるのに苦労しました。まずは自分がカッコいいなと思うものを作って、それを先輩に見てもらいながらブラッシュアップ。その後スポーツ事業部に持っていってプレゼンをして、互いに意見を交わしながらさらに磨き上げていく。そうやってようやく最終形態に行き着くというかたちでしたね。
自分がいいと思うものが必ずしもいいとは限らないし、変にこだわりすぎても、周囲から納得してもらえません。そのあたりのバランスを、社会人として勉強させてもらいました」
無事リリースされた商品は早くも好評。市場では品薄状態になっています。
福田 「メイン担当としてやった分、市場に出回ったときの達成感はひとしおでした。もしSNSなどで見かけたら、『あ、これは私が作ったものだ』と思うこともあるんだろうなと思います。夏の暑さが厳しくなる中、多くの人の役に立つように期待しています」
目指すのは、プレイヤーのあらゆる不安を取り除くような商品
開発で経験を積んできた福田ですが、2022年からは企画課に異動することになりました。開発で学んだことを企画に活かし、開発・企画の両部署の橋渡しになることが期待されています。
福田 「開発だけでなく幅広くいろいろな経験をしたいと思っていたので、今回の異動は良い機会に恵まれたと思っています。企画課は、モノを作るというより、モノをどういうふうに世の中に出していくのかを考えるセクションです。市場分析をしたり、アイデア出しをしたりしながら、どんな製品であれば売れそうかを考え提案していくのです。
もちろん感覚的な『売れそう』ではダメで、ビジネス的な部分も踏まえて提案をしなくてはなりません。柔軟な頭で、多角的な視点で物事を見なくてはならない部署です。企画は、プロジェクトの最初の部分なので、ここがブレてしまえば、その後の製品づくりもブレブレになってしまう。かなり重要な部門だという認識を持って働いています」
さらに福田は今、プロジェクトマネジメントも同時に担っています。全体を把握し各部門をまとめながら舵取りを行うという、責任重大なポジションに立っているのです。そんな福田が描くこれからのビジョンとは──。
福田 「自分の経歴を活かして、専門性の高い仕事をしたいですね。たとえば大学時代に一緒に研究をしていた仲間の中には、医療の道に進んだ人や、今でも研究を続けているという人がいます。そういう人たちとコラボレーションして製品開発ができればと思います。
でも、やっぱり1番は、バスケのアイテムを企画したい。自分発案のものが実際に開発されて、世の中に出ていって、いろいろなバスケ選手たちが使ってくれるのを見られたら、こんなに嬉しいことはないです。スポーツを長くやっていた身としては、なんの不満も不安もないコンディションでプレイをできるというのが1番大切なことだと思っています。
当社の商品を使ってくださるお客様のあらゆる不満を排除するためのサポートやアシストをしたい。不安を取り払ってあげられる存在になりたい。そんな想いで『支える側』として開発をしていけたらと思います」
スポーツ健康科学の知識とバスケットボールへの愛を武器に、シグマックスを盛り上げる福田。スポーツをする人たちを「支えたい」という長年の想いを胸に、シグマックスのこれからを創っていきます。