どちらかを選ぶのではなく、ふたつやるという選択
大学時代は、教職を目指していたこともあり、ShoProにも教育に関係する部署を志望し、入社した高野。実際は経理部に配属となり、2年間所属した後、人事部法務文書課(現法務部)に異動しました。
高野 「法務文書課が法務部になるまで、約十数年間、法務部2課に所属し、その間に課長としての経験も積みました。当時の上司の影響から、在籍中には法律知識を深めるために働きながら大学院の法学研究科に入学し、法学修士を取得しました。両立はとても大変でしたが、取得したことは、自分の自信につながったと思います」
その後、シンガポールの関連会社に約3年間出向した高野。
高野 「シンガポールでは、仕事における諸々の決定がとにかく早く、迅速な意思決定がいかに大切かを知る機会にもなりました。一方で、メンバーが協力しながら組織として活動を進める、という意識は日本ほどには強くないな、と感じることも多く、ShoProという会社を客観的に見ることができ、新たに感じる良さにも気付きました。
また、帰国後はシンガポールでの経験も生かし、グローバル事業部海外ビジネス開発課課長として国際ライセンス業務も担当するなど、ShoProではさまざまな経験を積める会社という意味でも働きがいを感じています」
“入社から産休に入るまでの期間は、とにかくがむしゃらに働いていた”と語る高野ですが、現在、仕事には目標を持って集中し、家庭では家族との時間を大切にしています。
高野 「どちらも大切で、どちらかが欠けてしまうとバランスが悪くなります。大事なものが増えたときに、どちらかを選ぶのではなく、ふたつやってみようと思いました」
そんな自身のさまざまな経験も生かし、高野は社長室室長として働き方改革の業務に携わっていくことに。
社員一人ひとりの人生をより前向きに、より豊かに
ShoProの働き方改革は、経営戦略のひとつとして位置づけられているため、総務や人事部門の管轄ではなく、経営(社長)直轄部署の社長室が担当しているのが特徴です。2017年より働き方委員会を立ち上げ、働き方改革を進めています。
高野 「ShoProの経営理念は『エデュテインメントを通じて、人生をより前向きに、より豊かに!』ですが、これを世に発信するためには、ShoProで働く人たちが自らそれを実践し、体感していることが重要です。
社長の想いである『私たちが仕事を効率的にこなして、時間を創出することによって、個人の生活を豊かにし、本来持っている感性を磨く。そこから生まれる新しい発想がShoProを活性化させていく、そして、ShoProで働く人が働きやすく、働きがいのある会社づくりを考える、そのためにも、自由に論議し合える文化をつくりたい』ということを実現するため、働き方委員会が2017年に立ち上がりました」
発足時より、基本的に委員会の参加メンバーは、ShoProの働き方をより良くしたいという志を持った社員からの立候補。委員会では、若手社員から課長までがひとつになり、いろいろな課題を検討し、案を出し合います。そして最終的には経営陣に委員会メンバーが直接提案をする、ボトムアップ式で働き方改革を進めています。
高野 「1年目は、全社の施策を組み立てることにフォーカスし、2年目には部署別施策としてフレックスタイム制度と在宅勤務制度を段階的に導入。3年目にはそれらの制度の全社導入の実現を目指すことになりました」
しかし、フレックスタイム制度と在宅勤務制度というふたつの施策の導入についてはかなりの苦労がありました。
制度に魂を入れることが大事
高野 「経営陣から施策の承認がおりた後、実現に向けて総務や人事部門と連携し制度設計を進めました。社内制度として運用を実現するには法務、経理、システム、デジタル関連など各分野からの知見が必要になります。そのため、それぞれの専門分野の方に趣旨を説明し協力体制を整えることから始めました。
しかし、事業部制を敷いている組織において、横連携をしていくことは一筋縄ではいきませんでした。また、オフィスにとらわれない働き方を望む声が多くある一方で、業務上フレックスタイム制度も在宅勤務制度も導入が難しい状況にある事業部もあり、課題が山積していました」
制度に魂を入れることが何よりも大事と語る高野。この課題に対して、人事、法務、経理、総務、システム、デジタル関連部署のメンバーで構成し、働き方改革を推進する役割を持つ、働き方改革推進チームを別途立ち上げることで、連携強化を図りました。
その他にも、さまざまな利害が対立する中で理解を得るために、委員会メンバーと共に趣旨を丁寧に説明し、部署ごとに柔軟な運用ルールをつくることができるようにしました。こうした改革をポジティブに受け止められるような工夫をし、制度を根付かせる取り組みにも力を入れます。
高野 「フレックスタイム制度を導入したことで、メリハリをつけた働き方ができ始めていると思います。何よりも嬉しいのは、全社でのフレックスタイム制度の導入が9割以上となったことです。社員一人ひとりが、活用次第で、時間をつくり出せる仕組みを導入できたことは、ShoProの働き方改革にとって、大きな一歩になったと思います」
ふたつの施策に取り組んできた働き方委員会。現在はどんな状況なのでしょうか。
目指すのは100年企業!
高野 「今期は、部署から挙げられた課題が実は、全社共通のものであったことがわかったため、それらを重点的に、対策の検討を進めています」
検討するためにつくったチームは以下の7つ。
1.RPA推進チーム
エクセルでの処理などを用いた定型・反復業務をロボットにさせて効率化をはかることを目標にしています。
2.副業制度導入チーム
副業を通じ、より豊かな経験やセカンドキャリア充実を目指します。
3.人材活用チーム
部署を超えた人材活用ができないかを検討します。
4.エデュケーション事業本部業務効率化チーム
5.メディア事業本部業務効率化チーム
エデュケーション事業とメディア事業にそれぞれ委員が分かれて、各事業本部での横断的な効率化を検討します。
6.全社施策チーム
テレワークやデジタル環境整備、会議削減推進、休暇取得推進などを進めています。
7.評価制度チーム
ShoProで働く人の育成や納得感のある評価制度にするためにどうするかを考えます。
高野 「30名を超える委員会メンバーが集まり、それぞれのメンバーが取り組みたい課題を選び、チームに分かれて積極的に議論を重ね、すでに(2020年1月現在)RPA推進、副業制度の段階的導入、会議削減、デジタル環境整備などの施策について基本的な社内の承認がおりており、今後の実現に向けた具体的な検討に入っています」
働き方委員会のやるべき仕事は、これからも続くと高野は語ります。
高野 「業務の効率化を図り、多様な働き方を実現させることで、働く人が仕事もプライベートももっと充実させられると思います。そして、豊かな人間力の成長をサポートできる職場環境をつくることで、会社も発展していくこと。それがゴールだと考えています。目指すのは、100年企業です」
しかし、目指す道にはまだまだ課題が多く残っています。
高野 「たとえば在宅勤務をしやすくするためには紙の書類のデジタル化や、外から業務系システムにアクセスできる環境を全社的施策として進めないといけません。固定電話対応などへの課題も含め、さらなる環境整備が必要だと感じています。
今期承認された提案も、提案するだけではなく、実現されなければ意味がありません。やりたいことと、やらなければならないことはいっぱいですね。
でも、ShoProは経営陣が社員に近い場所にいて、一緒に考えながら、いろいろなことにチャレンジさせてくれる会社です。なので、自分の人間力を上げて、私もライフとワークをともに充実させながら、『エデュテインメントを通じて、人生をより前向きに、より豊かに!』を世に発信できるよう、目標を持って仕事に取り組んでいきたいと思います」
働き方改革の業務以外にも社長室の業務は、経営企画の役割も担っているため、会社の管理会計での損益管理なども見ている高野。働き方改革が進むことによる社員一人ひとりの人生の充実を願うのと同じだけ、会社の発展を思い今日も働き方改革制度の実現に向けて歩みを進めます。