柔軟な働き方を受け入れる仲間たち。育休取得を機に感じたインクルーシブなカルチャー

2021年3月にサノフィに入社した遠藤。HRBPとして、主にスペシャリティケアの事業の成長を人事面からサポートしています。採用、評価等の支援や研修トレーニングの実施、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(以下DE&I)の取り組み促進の傍ら、制度改定や業務プロセスの効率化といったプロジェクトにも携わる多忙な日々。そんな中、昨年12月に待望の長男を授かります。

遠藤 「さいわい、子どもが生まれた年末は休暇も奨励されており、計画的に休みが取りやすい時期。上司が『有休を使って早めに育児休業に入ったらどうだろう』と提案してくれ、フレックスの制度もあったので、生後しばらくはそこまで負担なく育児に時間を割くことができました」

そのため、当初は育休を取得せずとも、そうやって社内の制度を活用しながら乗り切れるかもしれないと考えていた遠藤。やがて、それが難しいことに気づきます。

遠藤 「サノフィでは、有休やフレックス以外にも福利厚生がとても充実しています。また、所属する部署は休みを取ることに寛容で『ちょっと子どもが……』といえば、理解を示してくれる雰囲気もありました。ウェブ会議で、「耳だけ参加してくれたらいいから!」と言ってもらい、子どもを膝に乗せながら会議に参加したこともあります。この雰囲気の職場では、うまく制度を使いこなせば、育休取得の必要はないかもしれないと思っていたんです。

ところが、育児の大変さは想像をはるかに超えていました。一日中バタバタして、ただ疲れ果てて終わる毎日。サノフィはコロナ禍で在宅勤務を積極的に取り入れていたため、在宅で仕事をしていたとはいえ、隣の部屋から泣き声が聞こえても、なかなかすぐに駆けつけられないことが多いんです。

育児と仕事を両立させるためには、まずしっかり生活のリズムを作らなければいけないと痛感し、育休を取ることを決めました」

サノフィでは、制度上 「子どもが満2歳の誕生日以降、最初に到来する4月末になるまで」育休を取得することができますが、遠藤が取得を申請した期間は2カ月でした。

遠藤 「育休を取得した目的はふたつありました。ひとつは、生活のリズムを整えること。もうひとつは、今後の家族のあり方について、妻ときちんと話し合う時間を作ることでした。

ずっと忙しくしていたせいで、たとえば保育園のことや住まいのこと、その後の教育のことなど、本来であれば子どもが生まれたらすぐに考えておくべきことについて、まったく話し合えていなかったんです。育休期間を、将来のプランについて検討する時間に充てたいと思っていました」

一方、職場復帰への不安もあったという遠藤。

遠藤 「あまり長く休みを取りすぎると、キャッチアップに苦労するのではないかという懸念もありました。これについても上司がよく相談にのってくれて、今後の会社の動きなども考え合わせながら、最終的に育休期間を2カ月とすることに決めたんです。会社の制度上、2歳までの間であれば育休をもう1回分割取得できることも知っていたので、まとまった休みが必要になったらその時に改めてどうするかを考えようと思いました」

育休を取得することに対して、周囲に否定的な反応はいっさいなかったと振り返る遠藤。

遠藤 「『育休を取ります』と伝えたら、決まって『いいね、何カ月取るの?』と返ってきました。『2カ月です』と答えると、『それだけまとまって取れればなんとかなるね』と言ってくれる人もいれば、『短いね』と驚く人もいて。育休を取ることは大前提で、期間やどう過ごすかという話に自然と流れていくのが印象的でした。

実は、もしひとりでも育休についてネガティブなことをいう人が周囲にいたら、取得を考え直そうと思っていたんです。自分が普段接している一人ひとりが、風通しの良いカルチャーを作っていることを改めて実感する機会にもなったと思います」

「子育て中はトイレに行く暇もない」は本当だった。充実した福利厚生制度を知ってほしい

2022年6月現在、まさに育休の只中にいる遠藤。夫婦が“同じ目線で、同じ体験をする”ことの重要性に気づいたと話します。

遠藤 「24時間、ずっと子どもを見ているからこそわかったことがたくさんあります。たとえば育休に入る前は、妻が『子育て中はトイレに行く時間もない』というのを聞いて、『そのくらいの時間はさすがにあるだろう』と思っていたんです。

ところが、実際に自分がやってみたら、トイレにいく暇がないということが本当だとわかりました。抱っこして寝た子どもをベッドに置こうとすると、“背中スイッチ”が作動してたちまち起きてしまう。そこでようやく、『起こしたくない』『(トイレを我慢してまで)抱っこし続けなければ』という親心が働くことがわかったんです。そのために肩と腰に痛みが出て、最近、生まれてはじめて整形外科にもかかりました。

夫婦間でも同じ目線で時間を過ごし、同じ体験をしないとわからないことがあると改めて感じました。性別に関係なく、育休は必ず取るべきだと、今は思っています」

また、育休取得前に感じていた職場復帰への不安が、的外れなものであったと話す遠藤。育休を取ることで、失うよりむしろ学ぶことのほうが多いといいます。

遠藤 「たとえば、ウェルビーイングやインクルージョンといった、書籍で読んでもいまひとつピンとこなかった概念が、すっと腹落ちする感覚がありました。

また、36協定や時短制度といった、法律や制度への理解も深まりました。近年育児に関する法改正も進んでおり、イクメンを応援するようなサイトもたくさん見つけました。そうした社会の流れを自分事として捉えられるなど、法律や制度の背景への学びも深まりました」

そんな遠藤が今課題だと感じているのが、サノフィの充実した制度の周知。

遠藤 「たとえばサノフィには、子育てをサポートするさまざまな規程があり、育児休業中でも給与の一部を支給*してもらえます。ところが、このようなサポートが受けられることを知らない人が多いという印象です。

ほかにも、先ほど話した育休を分割して取れることとか、子どもが小学3年生の3月末になるまで時短勤務できるとか。そうした制度に関する情報がもっと浸透すれば、個々のニーズに合わせてますます柔軟な働き方ができるようになるのではないかと思っています」

*基準内給与(基本給+住宅手当やMR/CSA手当など)の30%を最高1年間支給するというもの。育休に入ると、ハローワークから育児休業給付金(非課税)が支給されるが、これまでの給与額に比べれば低いため、その補填として、給与の30%をサノフィが支給(課税)。育児休業給付金の支払いは、このサノフィからの補填分を控除した形になるとはいえ、サノフィではこのファミリーケアサポートがある分、 ない会社と比べると育児休暇中も収入減の幅が低い。

復帰後の新たな発想と意欲。ワークライフバランスを充実させ、キャリアの幅を広げたい

同じ会社の仲間の活躍を支援できるところに魅力を感じ、人事畑でキャリアを築いてきた遠藤のやりがいは「社員のチャレンジや活躍を後押しできた」と思えたとき。

育休に入る前も、新しいポジションに挑戦したいという意欲的な方がいると聞き、その方のキャリア観を聞きながら、採用を検討していた社内ポジションへの応募を勧めたという遠藤。実際その方が社内公募に挑戦し、合格し、今そのポジションで活躍していると聞いて、大きな喜びを感じています。

遠藤 「それぞれいろいろな考えを抱いて会社に集まってくる人たちに、いきいきと働いてもらいたい。そんな想いでこれまで取り組んできました。人事は、社員の活躍を純粋に支援できる立場。会社の財産でもある“タレント”に対してフォーカスできる、数少ない仕事だと思っています」

職場復帰後は、ワークライフバランスの充実を図っていきたいと話す遠藤。

遠藤 「仕事に充てる時間と、勉強や家のことをする時間を効率よく配分できたらと考えています。育児の時間も良い学びになると体感できたので、ワークライフバランスも意識しながら、キャリアアップにもつながるような働き方をしていきたいですね」

また、生活の基盤が安定していることが、人の成長には欠かせないことを育休中に再確認したという遠藤。社員が安心して働ける制度作りに取り組んでみたい、と意欲を見せます。

遠藤 「企業で人材が活躍するためには、土台の安定が不可欠だと改めて思いました。家庭のこと、メンタル的なこと、経済的なこと、そして上司との関係など、いろいろな条件が揃って、ウェルビーイングな状態で、はじめて思いっきり挑戦できる状態になると思うんです。

いずれは、制度企画のようなポジションで、社員が安心して働くための土壌を作る企画立案業務に携わっていけたらいいなと考えています」

育休取得ではじめて得られた学びや気づき。自身の成長機会と捉えてほしい

育休に入る際、チームメンバーから「休みの間のことは何も気にすることはないよ」という言葉とともに送り出された遠藤。育休取得を希望する社員が近くにいたら、上司や同僚はぜひ同じように背中を押してあげてほしいと言います。

遠藤 「プライベートなことに踏み込みにくい時代かもしれませんが、『自分の話を聞いてくれる人がいる』と思うだけで、助けになるものです。育休について相談を持ちかけられたら、ぜひオープンな態度で受け止めてあげてほしいと思いますし、周囲の人もどのような制度があるのかということにぜひ関心を持ってもらいたいと思います」

他方、育休の取得を迷っている社員に対しては、次のようなメッセージを伝えたいと言います。

遠藤 「仕事から距離を置くことでしか得られない、学びや気づきがあると思っています。それは、ずっと仕事だけをしていたらきっと見えなかったもの。いつもの仕事の延長線上にはないもの。違う角度から仕事を見つめ直す時間、といえるかもしれません。『制度企画をやりたい』という発想が私の中に生まれたのも、育休を取ったからこそ。皆さんにもぜひそんな感覚を味わっていただきたいと思います」

育休を「子育てのための期間」だけでなく、「自身の成長機会」と捉え、日々新たな学びを重ねている遠藤。柔軟な働き方を受け入れるサノフィのカルチャーの中で、新たな価値を創り出していくことでしょう。