一人ひとりの個性に向き合う教育の仕事に就きたい
社会学部の国際観光学科で、国際観光について学びながら教職課程を履修しています。将来は教育に関わる仕事をしたいと兼ねてから考えていたのですが、同時に国際交流にも興味がありました。それなら社会学部で学びながら教職課程を履修するのが一番だろうと、この道を選びました。
自分がどのように教育に関わりたいのかを思い描くとき、いつも中学でお世話になった先生のことを思い出します。多様な個性を持った生徒が集まる教育現場において、一人ひとりの個性を尊重しつつ、クラスをまとめていくことは本当に大変なことだと思います。その先生は生徒一人ひとりの話しをよく聞き、理解を示した上であらためるべきところはきっちりと叱る方でした。
当時の自分だったら、クラスメイトとしてその子のあらためるべき点ばかり見てしまうか、逆に共感できるところばかりを探してしまうかどちらかだったと思います。にも関わらず、生徒の気持ちにいつも寄り添いながら、違うことは違うとはっきり伝えてくれる先生がいる学校生活に、私はいつも安心感と居心地の良さを感じていました。
私も先生のように、一人ひとりの個性としっかり向き合い、そこにいる人たちが居心地良く過ごせる場をつくることができたらいいなと考えています。
企画に臆病になっていた自分を、いつも全力のメンバーが変えてくれた
ダイバーシティ共創センターには、とある先生からお声がけをいただいて参加することにしました。「こんなセンターができるから、立ち上げイベントに参加してみない?」という内容だったのですが、「ダイバーシティ共創センター」と聞いても、私はどんな組織なのかイメージができませんでした。一体どんなことができる場所なのだろう?と、不安と期待が入り混じる気持ちでした。
最初の説明会に参加してみると、センター長の三木先生がセンターのことについてたくさん説明してくださいました。「あなたたちが、これからセンターのファシリテーターとして参加者を引っ張っていくんですよ」と言われて、考えていたよりも責任重大な立場であることに行ってみて初めて気がつきました(笑)。でも、その分充実した経験ができそうで、楽しみな気持ちも沸き上がってきました。
最初に私が担当したのは、セッションの前のアイスブレイク。センターでは、参加者同士が対話を通じて互いの違いを理解しながら課題や新たな価値を見つけ出す場として「共創セッション」を開催しているのですが、その前に参加者同士が打ち解けるために必要なのが「アイスブレイク」です。教職課程の授業の中で、アイスブレイクの手法について学び、実践したこともあったのですが、企画する側になるのは初めてのこと。
学生の安藤さんを含めた2人のファシリテーターと相談しながら分担して準備を進めました。考えながら、「参加者たちは退屈しないだろうか、その場がしらけてしまわないだろうか」と常に不安がつきまといました。
不安の原因は、同じようにレクリエーションの企画を行った小学生の頃の経験にありました。一生懸命、自分なりに室内の遊びを考えたのですが、いざ実行してみるとあまり盛り上がらず。振り返ると、室内よりも外でたくさん遊びたい子たちの気持ちを汲めていなかったと反省しているのですが、このことは自分にとってほろ苦い経験となり、以来、企画を実行することについて臆病になって少し遠ざかっていました。
ですが、その臆病な気持ちを、ダイバーシティ共創センターのメンバー・経験が見事に払拭してくれました。初めてのアイスブレイクを実施する日も私はとても緊張していました。でも、いざ始まってみると参加者の方々が全力で楽しんでくれていて。本当にホッとしたのを覚えています。
センターには何でも主体的に取り組んでくださる方が多く、周りのみんながいるからこそ自分も安心して挑戦することができました。いろいろな人の助けがあって自分は日々成長できているのだとあらためて実感しました。
助けてほしい人と、助けたい人をつなぐ場をつくりたい
その他に、学内にカフェをつくるプロジェクトにも関わっています。セッションの中で上がってきた「2号館でもご飯が食べられる場所がほしい」「学内でくつろげる居場所がほしい」などの声から生まれたプロジェクトです。プロジェクト自体はまだ進行中ですが、居場所を必要としている人の心を満たせる企画になればいいなと思っています。
私が入学した当時、新型コロナウイルスの影響により入学式は執り行われず、授業もすべてオンラインでした。初めてのことばかりで、とにかく何をするにも不安でした。でも、自分の不安を誰に相談したらいいのかわからない。わからないのは自分だけなのかもしれない、とますます不安になりました。
このままではいけないと、オンラインの授業後に先生に相談してみたり、オンラインで学生が集っているバーチャルラウンジに自ら飛び込んでみて知り合いを増やすなど、自ら行動して解決を試みました。
そこで気づいたことは、「待っていても誰も助けてくれない」のではなく、「誰が助けを求めているのか、助けたい側はわからない」ということです。
これから私がダイバーシティ共創センターのファシリテーターとしてできることは、助けたいと願っている人と助けを必要としている人が出会う場所をつくることです。私も3年生になるまでたくさんの人に助けていただいてここまでこられたと本当に感じています。
今度は助けられた人が別の人を助けることができるかもしれません。助けを必要としていても誰に相談したらいいのかわからず悩む人の声に耳を傾け、セッションを通じてその人を助けることのできる人が出会うことができるような場を生み出せると良いなと思います。
多様な個性との出会いが自身のモチベーションに
ダイバーシティ共創センターに参加して気づいたことは、一人ひとり本当に多様な考え方があるということです。また、その多様性に気づくためには対話が不可欠であるということも知りました。コロナ禍のオンラインで、リアルな対話の機会が少なかったからこそ、その重要性を実感することができました。
多様な考え方に触れる中で、とくに印象に残っているのが、同センターに所属する職員の浅野さんとの出会いです。ご自身もトランスジェンダーとして、LGBTQ+についての理解を広めようと学生の頃から取り組んでいらっしゃり、私もとある企画でご一緒したこともあります。
浅野さんに出会うまで、私はLGBTQ+の方々について「どう配慮したらいいのだろう?」ということばかり考えていました。ところが、浅野さんと話していく中で、私の考えは的外れであったことが次第にわかってきました。個性は人の数だけ存在するのだから、「LGBTQ+だから」と一括りにできる配慮は存在しないということ。目の前にいる一人ひとりと向き合ってその人に合った思いやりや気配りが必要なのは誰に対しても同じということに気づくことができたのは、浅野さんのおかげです。
ダイバーシティ共創センターに関わることで、先生や職員の方、他の学部の学生など今まで関わることのなかった方々に出会うことができました。授業の合間にセンターに顔を出すなど、今では私の落ち着く居場所の一つになりました。
あとは授業中に、センターで会った仲間が同じ授業を受けているのを見つけたり。そうすると、「自分も怠けていられないな」と、気が引き締まります(笑)。挑戦により出会った方々のおかげで、自分の成長やモチベーションにもつながっているからこそ、声をかけていただいたことはこれからも全部チャレンジしていきたいと思っています。
「参加者」として関わり始めたセンターですが、これからは「ファシリテーター」として、人と人とをつなぐ役割を意識して担っていけるよう、ますます頑張ります!