不動産に関わらない人はいないーー田中の不動産人生が始まる

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▲学生時代(写真中央)

不動産業界に身をおいて、来年の2021年でちょうど30年になります。私の就職活動時、時代はまさにバブル時代。

不動産が注目をされていたことも影響はありますが、それよりも土地や建物って何をするにしても必要で、全ての根幹にあってすごく大事なものだと感じたんです。生きている以上、不動産に関わらない人もいない。そういう意味で、不動産業にとても興味がわきました。

そんなわけで新卒から大手マンションデベロッパー会社に入社し、私の不動産人生がスタート。ここでは、土地の仕入れ業務から販売営業、マーケティングなど、多岐にわたって担当し、不動産に関する一通りの仕事を学びました。

その過程で、ある方と出会ったんです。その方は、今ではよく知られるようになった定期借地権を法制化してつくったチームのひとりで、パイオニア。震災復興のための定借バンクのプロジェクトで一緒に仕事をしました。たまたま出身大学も同じで、同じ業界にもいることから、それからよく交流するように…。

この方が、のちにRE/MAX JAPANオーナーとなる池添 吉則氏です。

そして、新卒入社して15年程経ったとき、池添氏が立ち上げた会社に執行役員としてお誘いを受けました。その会社では、不動産取引をするのではなくインターネットでの不動産オークションの運営を任されたんです。新しい試みだったので、視野が広がり、不動産をより多角的に捉えられるようなりました。

その後の2008年、私も法人を設立し独立。株式会社コミュニティ・ラボの誕生です。ここではこれまでの経験を生かし、不動産事業者向けのコンサルタントを始めました。

独立して良かったと思うことは、地元に近い暮らしができるようになったこと。会社勤めだと、働く場所と住む場所に乖離ができやすいですが、今は京都の町家に作業場を設け、プライベートと仕事がうまくミックスされています。地元の友人から仕事が発生したり、仕事で出会った方とプライべートでお付き合いするようになり、地元志向の運営が私にはとても気持ち良いですね。

 

当たり前に忠実に。お客様と真摯に向き合うことで辿り着いた境地

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▲町屋オフィスの前で

元々のメインの仕事は事業者向けの不動産コンサルティングでしたが、今はいろいろ幅広く行っています。個人の不動産資産の管理、行政関連の相談員、不動産コンサルティング協会の理事。それ以外にも、セミナー講師や執筆のご依頼もいただいていて、起業してからのお仕事には恵まれていますね。


 コンサルティングの内容としては、個人様には資産の入換提案やそれに伴うテナント付や建物管理等、単なる売り買いだけでは全体的なサポートを、不動産事業者様にはウェブサイトのディレクションや顧客へのフォロー体制の構築、販売戦略や研修の実施など、不動産会社を運営するにあたって大事なことをサポートしています。相談員としては、行政に寄せられた空き家の悩みや、伝統的な町家の活用等、地域活性化につながるお仕事。

メインの仕事がコンサルティング業務なので、実は開業してからしばらくは宅建業免許を取得していませんでした。なので数年間、実際の不動産取引からは離れていて、取引が発生しても周辺の不動産会社に紹介。でも、これが私にとっては良い結果になりました。

それは不動産取引を当事者ではなく、その周辺の立場からみることで、客観的にいろいろなものが見えるようになったということです。

わかりやすい例で言うと、この業界には悪そうな人がやっぱりいること(笑)。もちろん誠実な方もたくさんいますが、不動産業という業界では、なぜか悪目立ちしてしまいます。

本来ならば、お客様から「ありがとう」をいただくべき仕事を、会社からの「ありがとう」を得るべく仕事をしている営業マンがやはり目につきます。

また、一般的な不動産会社では何ができて何ができないのか、営業マンやお客様が本当に求めていることは何か、これが見えたことは私のキャリアではとても大きい収穫でした。現場の実情を知って、じゃあ自分なら何ができるか、何をしたら良いかが鮮明になり、開業してから5年後、宅建業免許を取得することにしたんです。

取得後、私が心がけたことは普通であること。当たり前のことを普通に提案し、会社目線ではなくお客様目線に立ってプラスになることは何かを常に考えました。

これがあるべき本来の姿だと思っています。でも結果的には、それはきちんと対価として返ってくるんですよね。

亡き友の想いを受け継いで、RE/MAXに参画

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▲RE/MAXオフィススタッフと

RE/MAXとの出会いは不動産仲介業を始めてから、1年程経ったときでした。交流が続いていた池添氏から、「RE/MAXというアメリカの不動産フランチャイズのビジネスモデルが日本全国に広まれば不動産業界は良くなる。一緒にやらないか?」と連絡が来たんです。

このときは詳しい話を聞いていませんでしたが、かねてより先見の明を持っておられた池添氏の考え。これはおもしろそうだと直観的に思いました。

ところが、そのお仕事をお受けしよう決めたその日に、池添氏が突然他界。彼が生前残した「ひとりで見る夢はただの夢 みんなで見る夢は現実になる」──この想いも受け、2015年7月からCommunity LaboとRE/MAXの兼業を始めたんです。

参加するからには詳細を把握しなければならなかったので、すぐにアメリカ本国のオフィスオーナーに話を聞きに行きました。そこでRE/MAXのビジネスモデルから実際のオーナーやエージェントとしての役割などの話を聞き、これが日本でも浸透すれば間違いなく業界は良くなる、と確信。

同時に、私が現場から離れていた時に感じた「こうだったらいいのに」が、私個人レベルではなくRE/MAXなら全国レベルで実現できると思ったのも大きな原動力になりました。

私は、店舗開拓やセミナー講師、オーナーやエージェントに向けたトレーニングを担当。少ない人数だったので、皆がなんでも屋さん状態でした(笑)。ただ、すぐに事業が軌道に乗るかといったらそうではなく、難しい状況が続きました。

しかし、風向き変わる出来事が。RE/MAX JAPAN現CEOの佐久川 靖行氏がジョインしたんです。これまで積み上げきたものと佐久川の本格的な活動により、良い風が吹き始めます。そこで、私は新しい一歩を踏み出すことにしました。

RE/MAXならではの「幅」を生かして

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▲RE/MAX JAPAN コンベンションにて

2020年現在、私はフランチャイザー側ではなく、京都でRE/MAX Community Lab のオフィスオーナーとしてメンバーの一員でいます。

本部の仕事をしているうちに、オフィスを運営したくなって……(笑)。だってRE/MAXのビジネスモデルの良さはとてもよくわかっていますからね。

 所属エージェントは現在5名。副業や兼業の方が多いですね。皆さんベースのお仕事のプラスになるようにと、活動されています。「プラス」というのは、収入はもちろんですが、各々のビジネスの質を上げる意味もあり、これはすごく良いことだなと思っています。

私のオフィスでは毎週1回、強制ではないのですが、オンラインミーティングを開催。そこでは、近況報告の他に、皆さんの各業界のホットな情報を共有しています。全員違う業界に携わっているので、とても刺激になります。営業活動する上でそういった情報は「幅」になるんです。RE/MAXならではですね。

そういう意味でいうと、不動産取引の「幅」においてもRE/MAXならでは。物件種別、エリアの指定はなく、なんでもできます(笑)。といっても、ひとりのエージェントがなんでもできるわけでも、私がなんでもできるわけでもありません。わからないことを聞ける人間がまわりにたくさんいるんです。

極端なことを言うと、利益の出ないもしくはマイナスのお仕事でも、エージェントさんがそこになんらかの価値があると考えれば、取引できます。雇用されていたらこれは難しいかもしれません。

オフィスをオープンして2年程になりますが、嬉しいことにエージェントさんはひとりも辞めていません。いい意味で私が「存在感の薄い」オーナーであるからかなと感じています。私自身の色はあまり出さず、エージェントさんが必要な時に、彼らが求めるカラーで支えるようにしています。つかず離れず、そんな関係をこれからも保ち、いろんな経歴を持つエージェントさんが不動産を通じてそれぞれが思い描く生き方をしてもらえたらなと思っています。

「こうだったらいいのに」を今はひとりではなく、仲間と一緒に実現できているのが、とても嬉しいです。それも、ここ京都だけではなく、北海道から九州まで、同じ想いを持ったオーナー、エージェントが日に日に増えています。

「皆で見る夢は現実になる」──まさに今、それを肌で感じているところです。