事業や組織において大切なのは「人」──営業代理店でのリーダー経験から学んだこと
小さいころの私は、とても恥ずかしがり屋でした。人前で話すのが、とにかく苦手。それでも子どもながらになんとか克服しようと思い、勇気を振りしぼっては、運動会の運営委員に立候補するなど試行錯誤していた情景が思い出されます。そうしていくうちに、案外まわりは自分の話を聞いてくれるものだと気づき、引っ込み事案だった性格はいつしか影を潜めていきました。
大学時代は、とにかく旅に夢中でした。47都道府県をすべて回ってみようと意気込み、旅の資金を作るためにアルバイトにいそしむ毎日。そしてその中でめぐり合ったのがインフラ・ネットワークを扱う営業代理店での仕事でした。家電量販店にいらっしゃるお客様に声をかけ、自社サービスの紹介から、契約締結までを行う仕事です。覚えることも多く大変なこともありましたが、思った以上にこの仕事が向いていたようで、学校卒業後にそのまま入社しました。
経験を積み、数年後にはリーダーを務めるようにもなりました。その中で、「人にはそれぞれ、得意・不得意がある」ということをあらためて実感。たとえば、契約獲得は苦手でも、データをまとめたり、資料をつくったりすることが上手な人もいれば、逆の人もいます。メンバーの性格や特徴をよく理解して柔軟に采配することが、組織で成果を出すためには重要だと感じました。
また、営業代理店という特性上、月末には1件でも契約を増やそうと、誰もが前線に立たなくてはいけない場面もありました。もっと効率よく人を配置できたら……。「事業や組織は人次第で変わる。だからこそ、人の価値を最大限高められるような働きかけが企業には必要」ということを強く感じたんです。
そしていつしか、自分自身がそんな仕事に携わってみたいという想いが強くなり、ヒューマンリソースに関わる業界へ転職することを決意しました。
入社の決め手になったのは、先輩社員が体現した「仕事に対する誇り」
数ある企業のなかでもリクルートスタッフィング(以下、RS)を選んだのにはいくつか理由があります。RSのBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)事業はまだ業界最大手とは言えない立ち位置ですが、これまで派遣事業で培ってきたナレッジや関係性、またリクルートグループの強みを活かして、まだまだ成長余地があると確信したことがひとつ。
またRSで働く人たちが持つ強い想いにも、感銘を受けました。何かの読み物で見たエピソードなのですが、その中にとても印象的な話がありました。かつてある社員が人材派遣の営業中に、あることで派遣先企業のご担当者様を怒らせてしまったことがありました。
そのとき、派遣先企業の方から「人材派遣なんて、ただマージンを取るだけの事業だろう」と言われてしまったそうなんです。そのときに、社員はミスをしたのは自分の責任だと認めつつも、「当社は自信を持ってサービスを提供しています。マージンを取るだけのビジネスという表現は、今この場で訂正してください」と食い下がったそうなんです。
自分だったら同じように感じたとしても、派遣先企業の方にそんな風に言えないだろう。それだけサービスに自信があり、自社を誇る熱い想いにグッときましたし、自分もRSで同じ気持ちを持って働いてみたいと感じました。
こうして、2019年にRSに入社し、以来、BPOの仕事に従事しています。異業種からの転職ですが、BPOは業務委託型のサービスという点で、前職の営業代行に近い部分もあると感じていました。どんなことを学べるのだろうとワクワクしていましたね。
BPOだからこそ提供できること──「企業の第3の目」として業務に向き合う
2023年現在は、BPO部でスーパーバイザー(SV)をしています。あらためてBPOとは、ビジネスプロセスアウトソーシングの略で、企業の業務プロセスの企画・設計から運用までを一括して受託するサービスのことを指します。SVとして委託元企業であるクライアントのオフィスに常駐し、スタッフの方が円滑に業務を遂行できるように交通整理をするのが、SVとしての僕の役割です。
実際にBPOの仕事をしてみて思うのは、BPOとは企業にとって「第3の目」だということ。自社目線でもお客様目線でもない、第3の目です。そこでいかに介在価値を発揮できるか、それが仕事のおもしろさであり、やりがいだと感じています。
そのときに大切にしているのが、「目の前のクライアントだけでなく、その先の顧客を見る」ということ。ある医療機器メーカー様を担当した際、そのカスタマーサービス部門で自社商品を検品し、海外の製造元に戻すという業務がありました。
RSのミッションとしては、決められたフォーマットでレポートを作成し、問題なく出荷できればOKなのですが、「本当にこのフロー、サービスでその先のカスタマーに満足しきっていただけるか」を問うたとき、まだ改善できることがありそうだと気づいたんです。
そこで、出荷後の荷物の動きを徹底して調べました。すると、配送にかなりの時間を要するケースがあることがわかったんです。輸送会社に問い合わせ、時間がかかっている理由を突き詰めた後、いくつかのフローの見直しを行いました。その結果、サイクルは平均して4日ほど短縮できました。
ただ契約上のミッションを遂行するだけでなく、クライアントの先にいるカスタマーまで満足していただけているかを考えて、仕事をする。そんなスタンスはクライアントからもお褒めの言葉をいただくことができました。同時に、企業の方が目を向けない部分に焦点を合わせたことで、介在価値を提供することが私たちの価値のひとつであることを再確認できた貴重な学びになりました。
派遣先企業が求めている期待の「1cm上にある価値」を提供したい
RSの魅力は、役職や年次に関係なく発言できる、フラットな雰囲気です。さまざまなバックボーンの人がいて、積み重ねてきた経験も、気がつくポイントもそれぞれ違うので、日々さまざまな発言が飛び交います。現場と管理者の間に距離が生まれないような風土は、とても気に入っています。
これまでBPOの仕事に携わる中で、クライアントが求めているもの以上のものを提供できるように、コツコツと努力を積み重ねてきました。私は有言実行よりも不言実行というか、静かに闘志を燃やし、黙々と実行し、期待値以上の成果を出していきたいタイプです。依頼者の希望を1cmでも2cmでも高く超えて、成果を還元できるところまで徹底的に伴走していきたいと思っています。
そのために、これからは介在価値を発揮できる役割をメンバーそれぞれに担ってもらい、高い品質で価値を提供できる組織を作っていきたいです。慎ましく努力を重ねつつも「当然ですよ」と涼しい顔をして成果を出せると最高ですね(笑)。
その先で個人として描いている展望は、プロジェクトデザインに携わること。かつて一度、プロジェクトの新規立ち上げをしたことがあり、サービス開始までの必要なステップやスケジュールを立てていくのがおもしろいと感じたんです。目の前の仕事を一つひとつ大切に積推進しながら、新しい領域も視野に入れていけたらと思います。
当社は、やりたいと声を上げる人にはすごく門が広い会社です。BPOは、あらゆる業種・業界の、あらゆる経験が役に立つ仕事。さまざまな経験が組織の糧になります。一緒に挑戦してくれる仲間がさらに増えると嬉しいですね。