コミュニケーションを密にとって、多様なメンバーとの作業をスムーズに

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▲2023年現在の神谷

PR Tableが開発・運営しているPRプラットフォームサービス「talentbook」。プロダクトがどう進化していくかはPdMである神谷にゆだねられている、といっても過言ではありません。

神谷 「僕のメインの仕事は、今後のtalentbookの方向性を見据えて、開発する機能を決定すること。また、営業担当などお客様と直接やりとりするメンバーから現場の声を吸い上げて、開発での対応方針を決めていくことです。

プロダクトチームのメンバーは、常時5~6名ほどで、うち当社の社員は僕と上司の2人だけ。残りは外部委託パートナーです。要件や仕様を固めたら、実際の設計から開発は外部のメンバーにお願いしています」

委託先はオフショア開発を取り入れているため、メンバーの半数以上がベトナム人エンジニアという国際的なチーム。コミュニケーションはことさら丁寧さを意識すると言います。

神谷 「日本語が通じるベトナム人エンジニアもいますが、どうしても細かいニュアンスが伝わりにくいことがあります。ですから、仕様やデザインはかなり詳細まで詰めて、あとはコーディングするだけでOKくらいの状態にして渡します。また、リモートワークなので、コミュニケーションのスピード感も重視していますね。チャットなどでの質問にはすぐ回答して、メンバーの仕事が止まらないように心がけています」

リモートワークのコミュニケーション不足解消のため、毎日オンラインで朝会を実施していると言う神谷。前日の作業報告や当日の予定を伝え合うのが主目的ですが、会の最後に休憩がてらWeb会議ツールに紐付いている簡単なゲームをする時間も設けています。

神谷 「単純に楽しいですし、コミュニケーションを促進する効果も生まれると思っています。エンジニアや開発チームには、どこかクールなイメージもあるかもしれませんが、僕たちのチームは雑談を含めて何でも気軽に話せる雰囲気ですね」

今後はさらにプロダクトの成長を加速させるために、社員を増やしていく意向です。

神谷 「人数も多くない組織なので、自チーム以外とのコミュニケーションも多くあります。それに対して前向きに取り組める人がいいですね。あとは、PdMのような立場でマネージメントができる人、あるいは今はできなくても将来的に挑戦したいと思えるような成長意欲のある人にもぜひ加わっていただきたいです」

前職でタレントとして取材を受けたtalentbookに転職活動で再会

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▲いつかのイベントでの一枚

神谷がPR Tableに入社したのは2020年3月。キャリアとしては3社目です。1社目は人材会社で法人営業を担当。2社目はデジタルマーケティング会社で営業として、Web広告やSNS運用、サイト制作といった顧客のWeb施策を支援しました。

「そろそろ、次のステップにチャレンジしたい」と転職を検討し始めたとき、エージェントに紹介されたのがPR Tableだったと振り返ります。

神谷 「1社目では仕事柄、ベンチャー企業の資金調達のニュースにはアンテナを高く張っていたので、PR Tableのことは知っていました。なんだかおもしろい会社が出てきたなと。さらに2社目では、タレントとしてtalentbookに取材される機会があって。

転職活動でエージェントからPR Tableを紹介されたときは、これも縁だと思いましたし、面接で話した経営陣の人柄にも惹かれて入社を決めました」

入社当初は、それまでの経験を活かして営業職へ就きますが、入社3カ月でカスタマーサクセス(以下、CS)へ異動します。これは、前職のデジタルマーケティング会社での経験を買われての人事でした。

神谷 「ちょうど弊社がマーケティングオートメーションを使った新しい施策を始めようとしていて、その担当としてCSへ異動しました。ただ、当時のCSは何でも屋のような部署で、talentbookの取材も担当していましたね」

営業やCSはお客様との接点が多い部署。そのときの経験が今も役立っていると言います。

神谷 「お客様がどういうことに困っているのか、何を求めているかを、肌感覚で知れたのが大きいですね。この経験から、単純な開発者視点ではなく、サービス全体を俯瞰してどんなプロダクトにするべきかを考えられるようになりました。talentbookの記事制作の流れを把握できたことも、結果的に現在のプロダクト開発に役立っています」

1年近く停滞していた開発チームを再生し、メディアのデザインを一新

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▲全社員が集まったキックオフイベントにて

それから半年ほどして、プロダクトチームへ異動になった神谷。当時は、前任のPdMやエンジニアの退職が重なり、チームの再建が必要な状況でした。そこで前職でIT関連の業務を担当していた神谷に白羽の矢が立ったのです。

神谷 「前職でWebサイトやアプリなどいろいろなプロダクトに触れてはきたものの、プログラミングもできないし、そこまで深いIT知識もないし、PdMをやれる自信はまったくありませんでした。ただ、社内に他に現在の業務を手放すことができて、かつ適任な人材がいなかったのも背景としてありましたね」

誰かやらなければならない、それなら……。とPdMになることを決意した神谷。

神谷 「実はそれまでの開発チームは、傍から見てもあまりうまく回っていませんでした。私が入社してから、とくに新しい機能もリリースされず、開発は半ば止まっていた感じだったと思います。社内からのプロダクト開発に対する期待値も、ゼロどころかマイナスだったかもしれません」

マイナスからのスタート。それでも外部委託のエンジニアたちによる技術的なサポートもあり、神谷はプロダクト開発を再び活性化することに成功します。

とくに2022年春のtalentbookのメディアリニューアルは、神谷にとっても印象深いプロジェクトになりました。それまでCMSへの機能追加や改修はしていたものの、メディアのサイトデザインをガラリと変えるという大きな取り組みはこれが初めて。しかも上司は育休中で、社員は神谷一人でした。

神谷 「とくに苦労したのは、サイトデザインの検討です。以前のサイトデザインも悪くはなかったものの、メディアとしてのターゲットが不明確で導線もスマートではない部分があって。実際にお客様から『talentbookのデザインって、どんなユーザーを想定してるの?』という声をいただくこともあったし、私自身もそう感じていました。

インパクト重視のサイトを作りたいなら、ユニークなフォントや原色系の配色を使えばいい。でもtalentbookは、決してサイト自体を印象付けたいわけではありません。読後に残ってほしいのはあくまでタレントのストーリーであり、導入企業の社員たちが主役なんです。

そのためにはどんなデザインが良いか検討を重ね、最終的には以前の原色系から、黒と白を基調としたデザインへ変更。より多くの企業のイメージに沿いやすく、使いやすいデザインにしました。外部パートナーに助けてもらいながら、無事リリースにこぎつけられたときは心底ホッとしましたね」

デザインが大きく変わったため、リニューアル直後は「前のほうが個性的で良かったのでは?」というクライアントの声があったのも事実。しかし、しばらくすると「見やすさが向上した」との声が多勢に。検索流入数も増加するなど、具体的な数値としても結果が表れています。

PdMは山下り、リリース時は麓につくようなホッとする瞬間に。今は開発を究めたい

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▲茨城で実施したワーケーションでの休憩中の一枚

営業やCS、PdMなど、その時々の部署やポジションで柔軟に動き、能力を発揮してきた神谷。それぞれ違ったおもしろさがあると言います。

神谷 「私の感覚では、営業は山登り。頂上に着いたときが受注した瞬間で、アドレナリンがバッと湧き出ます。一方でプロダクト開発は、山を下りる感覚に近く、麓に到着したときが無事リリースできた瞬間。『おつかれさま』とみんなでホッとする感じですね。

そんなPdMの仕事のおもしろさは、お客様の要望やニーズに応えるために『この機能を実装したい』と思ったら、自分やチームでそれを実現できること。だから、しばらくはプロダクト開発でキャリアを積んでいきたいですね」

会社の業績は好調で、talentbookを利用するクライアントも増えています。しかし神谷はあえて自分が担当しているプロダクトへ厳しい目を向けます。

神谷 「サービスとして成長していることと、プロダクトとしての成長はまた別の話。プロダクトとしては、まだまだ発展途上。プロダクト単体でも市場で戦えるくらいインパクトのあるものに成長させていきたいです」

それにはサービスと利用者をつなぐ接点「UI」や利用者がサービスで得られる体験「UX」の改善だけでは十分とはいえません。しかし、現状のtalentbookはCMSによる記事制作とそれを公開するメディアというシンプルな構造ゆえに、機能の拡張性は限られています。それに対し、神谷はすでに次の一手を考えていました。

神谷 「メディアへの会員登録機能の実装ですね。会員データを使って企業が会員へDMを送ったり、転職先を紹介したりといったことが可能になれば、お客様へ新たな価値を提供できます。やはりtalentbookはBtoBプロダクト。顧客のニーズや要望に柔軟に対応しながら、今後もバランスのとれたプロダクト開発を進めていきたいと思っています」

PdMになってからの約2年間で、社内のプロダクト開発への期待値は、マイナスからプラスへ変わったと胸を張る神谷。これまでの経験で培ったコミュニケーション力や柔軟性を武器に、強い意志を持って着実にプロダクト開発を進めていきます。