2年間の放浪の末に見つけた、人と社会の力になれる喜び
PR Tableで人事・採用を担当する緒方 さやか。2022年2月現在、人事評価制度の刷新に従事するかたわら、エンゲージメントサーベイやインナーブランディングのほか、talentbookを活用した採用広報など、幅広い業務に精力的に取り組んでいます。
熱意を持ち続けて業務に励む緒方を象徴するエピソードがあります。20歳のとき、それまで志していたピアノ調律師への道に終止符を打ち、放浪の旅に出ました。
緒方 「専門学校を卒業したとき、4年制大学に進学した友人はまだ2年生。何らかの仕事に就く選択肢もありましたが、もう少し自由でいたい気持ちが芽生えて……。貯えが少しあったこともあり、有償ボランティアをしながら日本全国を放浪することにしたんです」
喫茶店に住み込んで仕出し弁当を作ったり、四国でお遍路をしたり……。1〜2カ月単位で滞在先を変えながら、2年間でおよそ10カ所を巡ったといいます。
緒方 「中でも印象的だったのが、屋久島でのウミガメの生態調査に関わったこと。ウミガメを保護するNPO法人のもと、ウミガメの孵化(ふか)が終わった砂浜を夜な夜な掘り返して、卵の殻の数を数えるんです。当時、ウミガメ保護の力になれたことがとてもうれしかったのを覚えています」
放浪生活の中で、自分が人や社会の役に立てることの喜びを知ったという緒方。たとえ回り道したとしても、無駄な経験はひとつもない——そう学んだ貴重な2年間だったのです。
社会人としての基礎は全部ここで学んだ──ソロモンでの支援活動が転換点に
放浪を終えた緒方が腰を落ち着ける先として選んだのは、あるNPO法人でした。
緒方 「南太平洋のソロモン諸島を主な活動領域とし、現地の農村部で立ち行かなくなった焼畑農業に代わって日本の有機農業を普及させるなど、持続可能な地域開発を支援する団体です。海外支援事業だけでなく、日本国内の子どもたちに出張授業や農業体験を提供する国内事業にも積極的でした。
国際協力に関わってみたいという気持ちが強くて、修行するくらいの気持ちで飛び込んだんです。結果的に、このNPO法人に入ったことが、人生のターニングポイントになったと思います」
国内・海外事業のサポートや経理を担当し、事務職員としての第一歩を踏み出した緒方。実際にソロモン諸島に赴き、現地での支援活動も経験したといいます。
緒方 「収穫した作物を現地で提供する地産地消のレストランが開設された際に、メニューを考案したり、視察旅行をしたりしました。言葉の壁があり、細かいニュアンスが伝わらないもどかしさはありましたが、現地の人の力になれることに大きなやりがいを感じていました」
NPO法人での経験には、次につながる学びも多かったと振り返ります。
緒方「スタッフの中には大企業で働いたことがある方もいらして。経験不足ゆえの振る舞いをする私をやんわりとたしなめてくれたことも……。PCスキルなど事務仕事の基礎だけでなく、ビジネスマナーや社会人としての心構えもすべてここで教わりました。当時、周囲にいた方々には今でも感謝しています」
温かい仲間とともに汗を流し、社会に貢献できていることにやりがいを感じていた緒方。やがて、一般企業で自分の可能性を探ってみたいという思いが募っていきます。
緒方 「24歳のとき、ITベンチャーに就職しました。当時、その会社はNPO向けのブログポータルサイトを運営していたんです。一般企業に入社しても社会に貢献したい気持ちは変わらなかったので、ここなら引き続きNPOの活動とつながっていられると考え、転職を決意しました」
その言葉どおり、緒方は転職後もNPOの経理業務をボランティアとしておよそ10年にわたって継続することになります。
採用に見出した適性とやりがい──コーポレート部門のエキスパートへ成長
ITベンチャーの一員となった緒方。管理本部に配属され、広報IR、登記申請、助成金、社内研修など、幅広い業務に携わります。中でも緒方にとって転機になったのが、3年目から採用の仕事を担当したことでした。
緒方 「当時、その会社の従業員600人のうちほぼ半数がアルバイトという構成だったんです。そのため、年間を通じてアルバイトの入退社がとても多く、私はそのアルバイト採用を主に担当しました」
1年でおよそ5000件という膨大な数の応募者対応を担当する立場にあっても、求職者の人柄を重視して採用したいという思いが緒方にはありました。
緒方 「拠点も全国にあったことから、担当する面接官による採用基準のばらつきが気になって……。求職者の人柄を客観的に評価できるような指標が必要だと思い、簡易的なコンピテンシー(行動特性)を定めたんです。 “挨拶ができる”、“目を見て話す”など、基本的な項目を単純化することで、短い面接時間の中でも、公平にまた正確に人柄や適性を判断できるよう心がけていました」
その後、緒方は第一子を出産。母となったことがきっかけで、以前にまして、採用後もスタッフを温かく見守るようになったといいます。
緒方 「面接で出会った方に対する気持ちには、わが子に対する気持ちと似ているところがあります。たとえば、アルバイトとして採用した方が活躍して社員にステップアップしていく姿を見るのはうれしいですね。採用を担当していて一番やりがいを感じる部分です」
ITベンチャー入社から8年後、分社化する形で設立された会社へ転籍したことで、緒方はキャリアを大きく飛躍させることになります。
緒方 「私は常に、“どこで何をするか”より“誰とするか”を大事にしているんです。新しく設立された会社の当時のメンバーは、代表はじめお互いを尊重し、感謝し合いながら仕事ができるとてもいいチーム。『この人たちと一緒に働きたい』と思って自分から転籍に手を挙げました。
当時、転籍先となる会社には管理部機能がなかったので、私たちで管理部をゼロから立ち上げるというミッションがあったんです。それまで経験したことのなかった労務管理や社会保険の業務に携われる、またとないチャンスだという思いもありました。自分ができる仕事が増えていくことに確かな成長実感がわいて、ワクワクしたのを覚えています」
「自分の仕事領域を広げることに命をかけるタイプ」だと話す緒方。転籍から6年間で、コーポレート部門のエキスパートへと成長しました。
人生が交わる接点を大切に、talentbookを通じて社会に貢献したい
2児の母となった緒方は、さらなる成長のために、そしてこれまで以上に人や社会の力になりたいという想いからPR Tableへの転職を選択しました。
緒方 「私はとにかく“人”が好きなんです。だから、社員の方々のストーリーを通して企業情報を発信するtalentbookに自分との親和性を感じ、私だからお手伝いできることがあるのではないかと考え、PR Tableへの転職を決めました。また、社会貢献の面でも、talentbookというツールを通してさまざまな企業様のコミュニケーションを支援することで、これまでとは違った価値を提供できると感じたんです」
そう話す緒方には、働く場所が変わっても、変わらない想いがあります。
緒方 「全国を放浪していたときに『無駄な経験はひとつもない』と実感して以来、私の根っこのほうに、『すべての出会いは、ご縁があってこそのもの。きっと意味がある』という想いがあるんです。お互いの人生が交わる接点を大事にしたいと考えているというか……。だからこそ、一緒に働く人や、求職者、社外の方など、仕事で出会うすべての方のお役に立ちたいし、そのためにも中途半端な仕事はしたくないと思っています」
さまざまな場所でさまざまな出会いを重ねてきた緒方。今はフルリモートワークをしながら、子どもたちに働く背中を見せられるような、“かっこいい母親”になりたいといいます。
緒方 「PR Tableでは、今までやってきた採用の仕事だけでなく人事企画にも携わって、自分のキャリアをますます広げていくつもりです。talentbookを“使い倒す”くらいの気持ちで、いろいろな企業様の課題解決のために尽力してきたいと思っています」
これから出会うすべての人、そして社会の力になるために、まだ歩みは止めない。緒方の旅は、まだまだ続きます。