相手へのリスペクト、思いやりあるコミュニケーションを心がける日々

コーポレート部門の部長として経営管理業務を統括している川村のチームは、現在4名体制。IPOをめざし、今後さらに体制を強化していくことも必要です。会社のヒト・モノ・カネのすべてに関わり、経営の根幹を担う部門で、川村はIPOに必要な屋台骨を整えていく重責を担っています。

川村 「私自身としては、以前勤めていた会社でいち法務としてIPOを経験しているのでまったく初めての経験ではありませんが、それでもやはり大変なことは多いです。たとえば、各種規程に関することや契約書周り、請求書やお金周りの仕組みなど、まだまだ整えていかなくてはならないことがたくさんあります。

人事労務も専任者はいますが、最終判断は私のところに回ってくるので、守備範囲自体は広いです。IPOという目標のもと、みんなが守るべきルールを作り、業務フローや管理体制を整えて、企業としての土台を作ることが私のミッションだと考えています」

全社がフルリモート体制の中で、課題となりがちなのが社内のコミュニケーション。PR Tableでは、ビジネスチャットツールとしてSlackを導入し、情報共有やコミュニケーションが取りやすい環境はある程度整っています。それでも、周囲のやり取りには目配りが欠かせません。

川村 「たとえば、Slackでチームのメンバーのやり取りを見て、仕事の進捗具合や困っていることがないかなど気を配っています。今、私が一番心がけていることは、どうしてもテキストコミュニケーションが増えるなかで、私が打ったテキストを読んで相手がどんな気持ちになるのかをよく考えて送ることです。

『部長だから私が正しい』ではなくて『ああ、そういう考え方もあるよね』と。一旦受け入れるというか、相手に対する敬意や思いやりを持って接することを重視しています。

テキストだけだとニュアンスが伝わりづらいことも多い中で、相手に対する思いやりを常に意識しながら、慎重に対処する。日々管理業務に携わる中で、川村がそのようなことを意識するようになったきっかけは、過去の経験にありました。

働き方とIPOに関われることが決め手。法科大学院時代の経験を今に活かす

▲法科大学院時代を卒業して再就職したての頃の川村

2020年4月にPR Tableへと入社している川村ですが、入社の決め手は、法務という職種で自身のスキルを活かせることと、育児と両立できる自由な働き方が可能だったことでした。

川村 「自由な働き方を認める会社はまだまだ少ないのが現実です。産休・育休制度がある会社でも、勤務時間に縛りがあったり、出勤が不可欠だったりするところも多いのです。

しかし、PR Tableは正社員でリモート勤務ができますし、育児と両立できる自由な働き方ができる環境でした。そういう意味で、とても魅力的でしたし、社長の人柄や考え方にも惹かれました。そして何より、私自身が専門知識や経験を活かしてIPOの仕事に関わり、推進できることが大きな決め手でした」

川村は新卒で電機メーカーの一次代理店に就職したのち、法科大学院に社会人入学して司法試験にもトライした経歴の持ち主。3年間みっちり法律を学ぶ中で身についたのが、「IRAC」という論理的思考法です。

川村 「『IRAC』というのは、「Issue(問題提起)」「Rule(規則、規範)」「analysis(分析)」「Conclusion(結論)」の略。何か事象が起きたときに、その問題点は何か、それに対して規範を当てはめてみたときどうなのか分析し、導き出される結論は何か、という考え方をあらゆるケースに適用させていくという論理的思考法です」

川村は法科大学院時代に身につけ、徹底的に鍛え上げてきた「IRAC」を、現在に至るまで仕事でも繰り返し活用し、意思決定を行っています。

川村 「今の私の仕事は、言葉として適当かどうかわかりませんが、フィクサーみたいな役割だと思います。業務の6割くらいは公にオープンにできない状態です(笑)。

あえて事例を挙げるとしたら、メンバーから具体的な業務に関するふわっとした相談があった場合に、『何が問題なのかを聞く』→『それに対する解決法を提案』→『そうしたらどうなるか』→『こうした方がいいという結論を導いて指示する』ということでしょうか」

法科大学院時代の経験として川村の今に活きているのは、IRACだけではありません。その当時、法曹の道を諦めるという決断をしたことも、川村を仕事へと駆り立てる強い原動力になっています。

川村 「私がロースクールで法律を学んでいた当時、法科大学院卒業後の司法試験の受験回数が現在より少なかったんです。司法浪人も経験しましたが、私は結果として法曹への道を諦めるという決断をしました。

ただ、ともに学んだ友人の中には弁護士や検事、裁判官になった人もいます。だからときどき、彼ら、彼女らのSNSを見るのと、つらい気持ちになることがあります。でも、その一方で『私も負けてらんないな』って思う、原動力にもなってるんですよね」

子育てをしたことから生まれた、働く上での二つの大事な価値観

▲子育ての経験を通して、価値観に変化が生まれた

川村には、業務に取り組む中で大事にしている2つの価値観があります。ひとつは、「多様性」を重んじること。もうひとつは「生産性」を上げること。

川村は、「多様性」を重んじる上では自分の価値観を押し付けず、人の考え方を認めることを意識しています。一方で、「生産性」の向上は仕事のやり方を変えることで実現できると考えています。

川村 「そもそも私は、人は仕事をするときに2つ面を持っていると思っているんです。ひとつは自分の業務を遂行すること。もうひとつは仕事を通じた自己実現です。

そして、生産性を向上させることは、業務遂行の部分をうまく回すために重要ですし、多様性を重んじることは、自己実現の部分につながるんですよね。だから、私はこの2つを大事な価値観として考えています」

 川村の中でこうした価値観が重要視されるのには、子育ての経験をしてきたことが大きく関わっています。

川村 「私自身の経験からいえば、結婚して子どもを持つと、嫌でも効率というのをとことん追求せざるを得ない思考になります。そうしなければ、仕事の時間を作ることさえ難しいからです。加えて、子どもが小さくて育児に追われていると、強烈に承認欲求を感じるようになります。

夫は普段から『ありがとう』といって認めてくれる人ですが、自分の社会的存在価値を確認するという意味でも、仕事はとても大切なものだと実感してきました」

こうした自らが苦労した過去を起点に、川村はより深く考えるようになりました。人それぞれ事情を抱えている中で、どういう風にすれば仕事を通して自己実現が可能となるのか。どうすれば、働きやすくなるのか。その結果、生産性を上げること、多様性を重んじること、の二つの価値観にたどり着いたのです。

多様性という価値観を大切にしている川村ですが、PR Tableに入社して半年ほど経ったころ、そうした想いを強くするとある経験がありました。

川村 「そのころはまだ、社内の人について私があまり知らなかったという事情はあるのですが、会社メンバーに不用意な接し方をしてしまったことがあるのです。結果として、当人も私も非常に精神的な負担を感じてしまいました。

自分の言葉が相手にどう伝わるか、どう受け止められるかをよく考えずに接してしまったことを猛省しました。そのような経験から、人の考えは多様であり、安易に否定したり自分の考えを押し付けたりしないことがいかに大事なことか痛感し、改めて心に留めています」

一丸となってIPOを成功させ、多様な働き方のシンボル的社員を目指す

川村には、今後仕事で貢献していきたいことが2つあります。

川村 「1つ目は、IPOを成功させることです。やはり今は、それが最大のミッションであり、ステークホルダーへの貢献になると認識しています。それだけにプレッシャーもありますが、PR Tableをずっと存続できる会社にしたいという想いに突き動かされています。

2つ目は企業としての継続性を担保できる土台作りをすることです。私が入って以降、ママさん社員がどんどん増えてきていることもあり、働き方に対して足かせにならないような会社であり続けたいと思っています。

そのため、私のような子育てを担う社員をはじめとする、多様な社員がそれぞれに合った働き方ができる会社をつくっていきたいです。そして、私自身がその象徴的な存在になりたいと思いますし、働き方に悩んでいる人がいれば解決に向けた手助けを精一杯やりたいです」

近年、ようやく日本でも男性の育休取得に対する社会の見方が変化してきましたが、制度があることと社員が活用できる環境であることは決してイコールではありません。IPOを目指す上では、世界標準の価値基準を取り込むことも重要です。

川村 「産休・育休、介護育児関連も制度としてはすでにあるので、あとは勤退に関する整備が必要だと考えています。8~17時までといったステレオタイプの勤務時間だけしか選べないのではなく、たとえば1日の中でやるべき仕事をこなせばよいという『裁量労働制』のような、みんなが働きやすい環境づくりをしていきたいです。経営陣も時間で縛る考え方ではないので、方向性に無理はありません。

ただ、企業規模を考慮すると、やはりできることに限りはありますから、置かれた環境でできることを一つずつやっていきたいです」

企業が成長するプロセスにおいて、非常に重要な役割を果たす存在が、株主です。川村は業務の性質上、直接顧客と接することはありませんが、株主報告会への出席や、ベンチャーキャピタルとの書類のやり取りなどを通して頻繁に株主と接点を持っています。

川村 「現在の目標は上場ですが、そのためにやるべき仕事はまだまだたくさんあります。事業部門は事業の成長性という面で、コーポレート部門は企業経営の土台整備面から、みんなが一丸となって、会社の土台作りに取り組んでいるところです。私もこれまでの経験を活かして、なんとしても全社を挙げてIPOという目標を実現したいです」

ロースクールで磨いた論理思考を駆使し、多様性を最大限活かす法務のプロフェッショナルとして、育児と仕事という2つの軸をエネルギーへと変換している川村。

これからも、株主、経営者、社員、関係者みんなの想いと夢を胸に、ミッションの実現に向けてパワフルに前進を続けます。