軸をぶらさずに、仕組みと関係性をしっかりと築く
「これおもしろそうだな」──
幼少期から、自らの好奇心の赴くまま、直感を頼りにあらゆる選択をしてきた石橋。就職活動のときは20代のうちにいろんな世界を見たいという想いから、複数の会社で経験を積むことを考えていました。
実際、新卒入社した人材業界の企業では営業を務め、その後外資メーカーなど複数の企業を渡り歩いています。そして、そこでの経験をもとに、GMOインターネットグループ(以下GMOグループ)に入社をしました。
石橋 「GMOグループにジョインする前の企業で働いていた時、担当していたクライアント様にIT企業が多かったんです。そこに入り込んで話をしていくうちに、IT業界は結果を出せば、若いうちからマネジメントの経験が積めて、スピード感も早く成長できるんじゃないかなっていう感覚がありました」
入社後、言葉通りに実績を上げ、石橋は当時最速の三年目でマネージャーに昇進しました。
当時の石橋の役割は、Web広告の代理店営業。代理店と話をしつつ、企画作成を手掛けていました。その中でも、石橋が意識していたのは、代理店との“関係づくり”でした。
石橋 「こういうトライをしてもらえたら、こっちもサポートできるから、一緒にやっていこうみたいな関係づくりを意識していました。そんなことを続けながら、1年かけて関係性がうまく構築でき、数字も安定的に積み上がっていきました。」
さらに、石橋の関係づくりはどんどん多くの人を巻き込んでいきました。こうしたチームで働くことへの意識を持つ上で、最終到達地点からぶれないようにするための逆算思考が鍵を握っています。
石橋 「盲目的にものごとを積み上げていくと、水族館に行きたいのに動物園に来ちゃったみたいなことが起こったりするんですよね。そうすると、振り出しに戻らないといけないことがあるんです。工数や時間が多くかかるのがもったいないですし、もし自分がチームを見る立場であれば、一緒に動いてくれてる人たちに対しても申し訳ないです。
だから、1ヶ月、3ヶ月ごとでもいいので、目的地にたどり着くために逆算していく考え方を持つようにしています。仮に足元から積み上げるとしても、ゴールへの方向性がずれてないと認識できる軸を持って仕事をしています」
黒子としての自分の強みを活かして、光の当たる表舞台を支える
GMOグループで着々と実績を積んでいた石橋。七年目に目標としていた賞を受賞したことで、新天地への転職を決意します。そうして、スタートアップに新天地を求めました。
石橋 「これまで経験したことが、自分の中で咀嚼できているか確認したかったんです。だから、スタートアップで自分のパフォーマンスを試してみようと思いました」
入社した後、ギャップを感じつつもその環境を楽しんでいた石橋でしたが、一方で目に見える課題に直面しました。それは、組織が未熟で属人的に動き出してる人たちの集まりだったこと。
共有する人、しない人とばらつきがあり、会社として情報がまとまっていない。聞かれたら回答すればいいという感覚の人が多い。そんな状況に対して、疑問を感じていました。
石橋 「組織として戦っていくときの考え方に、ギャップがありました。いいことではありますが、みんなが自分の目の前のことや売上に執着していて、マネジメントの機能がうまく働いていなかったのです」
そこで石橋は、仕組みよりも意識の問題の方が先にあると考え、チームがないと個人が成り立たないという意識付けに奔走しました。
石橋 「スタートアップに集まる人たちなので、とてもスキルが高いんです。『自分がやってやる』というマインドもあり、あとはどうかみ合うかだけでした」
こうしてスタートアップの中で多くの気づきと経験をして、石橋は再度違うスタートアップに入社し、事業立ち上げを経験します。そこでも、周りを活かす考え方で取り組んでいきました。
舞台の真ん中で光を浴びるのではなく、その舞台を影で支える縁の下の力持ち。そんなポジションで石橋が本領を発揮できたのは、黒子として動く自身の強みを見出していたからでした。
石橋 「仕組みや環境づくりをしてる人って周りを見渡しても多くないし、自分はそれが嫌いじゃない。だから、ここが、自分の勝ち筋なのだと思いました」
そこには、自分よりスキルの高い人のパフォーマンスを最大化するために汗をかくことで、個人では見れなかった景色をチームとして一緒に味わいたいという想いがありました。
石橋 「これまでマネジメント経験などをしてきましたが、私自身は決してスキルが高い人間とは思っていません。でも、黒子として貢献することで、『何かハイパフォーマンスしてるよね』っていう評価をありがたくももらえているんです」
組織のためになる定性的な貢献によって石橋は、いろんな会社のニーズに合わせた活動をし、周りを活かす働き方を身に着けてきました。
プロダクトと熱意に惹かれて。多くを見てきたからわかる環境の価値
GMOグループ卒業以降、スタートアップを渡り歩いてきた石橋は、再び新天地を目指し始めました。そして、2020年10月、上場を経験してみたいと考え、その可能性を強く感じたPR Tableにジョインしました。
そんな石橋を魅了したのは、面接における経営陣の熱量でした。
石橋 「このプロダクトで世界を変える。誰かの模倣じゃないオリジナルなプロダクトを、今後の社会のインフラやレギュレーションにしたい。そんな熱量と可能性を強く感じたのです」
もちろん、経営陣の言葉だけが石橋を突き動かしたわけではありません。そこには、企業を渡り歩く中で感じる世の中の変化がありました。
企業が主体ではなくて、個が主体になって企業がつくられていく──
石橋は、その一方で、問題解決の手段となりうるSaaSプロダクトの足りていない部分にもやるせなさを感じていました。
石橋 「現状のSaaSの多くは、点でしか物事を解決しない気がしていました。一部の人の一部の領域にヒットしているだけで、網羅的に波及する効果があるものって、あまりないのではないかと感じていました。
しかし、話を聞いていく中でtalentbookはそうした課題を打破できると思ったんです。そして、それを追求していけるのが会社としての強みになると思いました」
こうして入社を果たした石橋ですが、働き始めてから、エネルギッシュな人が多い環境だと感じています。
そんな環境の中でも、石橋の目を引いたのが、改善点や気付いたことをすぐ共有して、みんながコメントを残す文化でした。
石橋 「もっとこうした方が良いよねっていう話に、みんながスルーせず、『そうだね』って共感したり、経営陣が入ってきたりしています。それを見ていて、仕組みができて同じ方向性と熱量で動いたときの、パワーがすごいだろうなっていうのが、感覚としてはありますね」
さらに石橋の慧眼は、一致団結したこの環境に対して、未来の可能性の芽を見つけています。
石橋 「自分個人でやってると最大出力が100で止まる可能性があると思うんです。でも、そこで2人3人が関わってシナジーを生み出したら、個人でも130まで行けるんじゃないかなと思っています。
そうすると130の出力を知ってることが武器になりますし、100のタスクを楽にこなせることで余裕が生まれるので、仕事の質が上がったり、気持ちにも余裕が生まれたりします。そうして、もっと改善するために何かをしようっていう発想が生まれるんです」
大きな負荷を経験することで成長と引き出しを増やせることができる環境に、石橋は可能性を見出しました。
良いものを長く使ってもらいながら、眠れる価値を見出したい
PR Table社とtalentbookというプロダクトに可能性を見出してきた石橋。環境に対しての想いだけでなく、自身としてもさらなる活躍を目指しています。
その一つとして、現場からスタートした石橋は、現在2つの部署を兼務しています。双方からの視点により、「もっと有効な使い方の可能性があるのでは」と、眠っている課題やニーズに対するtalentbookの価値にも目を向けています。
石橋 「価値として『既存環境×talentbookで相乗効果を導き、新たな価値を考えられないか』を視点の一つとして、いろんな可能性を見つけたいと思っています」
そうした中で、PR Tableのスタンスに対しても石橋は好感を抱いています。そこには、talentbookのビジネスモデルが深く関係していました。
石橋 「talentbookは安いから入れてくれっていうビジネスモデルではなく、ちゃんとしたものをしっかりとした影響力を持って提供するよ。ということを会社として明言し、明確化しています。ここは強みであり、今後の武器になると思っています」
多少リードタイムが長くなっても、説得や交渉しなくてはいけない数が増えても、リスクをとる。そして、リスクを背負ってでもそこに振り切って、未来を築いていこうとする。石橋は、PR Tableのそんな姿に魅せられていました。
そして、石橋はSaaSビジネスとして、長く使ってもらうことを理想として掲げています。そこには、長く使うからこそ伝わる良さがあると言います。
石橋 「単純にコスト判断とか短期効果でスパッと止められてしまうと、結局印象に残るのって、『なんか使えなかった』っていうネガティブな印象だけです。でも、長期で使ってもらえれば、その後仮に継続いただけなかったとしても、お客様の記憶に残ることがあります。
『あれ、やめた選択肢って正解だったのか?』みたいな議論が起こるようなサービスをつくることが、理想かなと思っています。そういう意味でも長期でご利用いただけるお客様は大切ですし、そういったお客様を増やしていくためにプロダクトも強化していく必要があると考えています」
良いものを長く使ってもらい、さらに眠れる価値を探し求めていく。石橋の目指す理想の未来は、すでにその片鱗を見せているのかもしれません。そんな道の彼方を見据えて、石橋は新たな一歩を踏み出していきます。