常に自己成長してほしい。目標とする人を見つけやすくする等級開示を決断

▲20周年(2017年7月)イベントの全社員の集合写真

PDPのミッションは、「常に新しい視点で考え、常に自らの道を開拓することで多くの人たちに夢と可能性を与えていく」ことだ。そこで働く人材に対する考え方を五十嵐はこのように語る。

五十嵐 「もちろん会社はミッションの実現を目指しているのですが、社員には自己成長を目指してほしい。自己成長できるフィールドを会社が提供することで、常に自らの道を開拓し続けてほしいのです」

そうした思いを抱きながら、五十嵐は人事評価制度の改訂を担ってきた。

その歴史は遡ること2018年。10年以上変わることのなかった人事評価制度を大きく変化させたことにはじまる。頑張った人が報われるように、マネージャーに求めるミッション、メンバーに求めるミッションを変え、何をしたら評価されるのかを明文化したのだ。

五十嵐 「以前はメンバーが将来、マネジメントを担う立場になるというステップしかありませんでした。新人事評価制度では、いろんな働き方を考慮。マネージャーという道を選ばない働き方もあってしかるべきです。マネジメントを目指さず専門性を高めたいメンバーが、専門性やスキルを伸ばして報酬を増やす選択もできるようにしました」

10年前は、若くてがむしゃらに頑張る熱血漢が多かった時代。今では多様性のあるメンバーが中途や新卒採用で入ってきているため、会社の構成メンバーの変化に伴う制度改革ともいえる。

五十嵐 「もともとメンバーを4つのステージや等級に分類していたのですが、ステージの詳細についてはあまり開示していませんでした。そこで、2018年からはそれぞれのステージごとに、実現してほしいことを明記。また、メンバーがどのステージにいるのかも明らかにしたのです。

そのステージにいる人は、どのようなことが会社から求められていて、チームに対してすべきことも内外ともにわかるようにしました。ステージが上の人は下のメンバーのサポートをする、会社の業績にコミットすることを理解できるようにという思いからです」

組織図は毎月1日に公開。全メンバーの横にそれぞれのステージが表記されている。五十嵐は、メンバー全員のステージ表示に葛藤があったと語る。

五十嵐 「見える側面や視点の違いから、周囲のメンバーに対する会社からの評価とそれぞれの感じ方に違和感を覚えるメンバーが生まれる可能性もありました。

しかし、ステージを開示することで、『あの人』を目標にすれば3や4になる、というのがわかりやすくなります。ハンドブックに書いてあるような『3の人はこういう人』ということに縛られるのではなく、自ら具体的に該当者を見つけることができるようになったのです」

悩み抜いた末に、すべてを開示することを決意。

その決断にはメンバーのさらなる成長への願いが込められていた。

半年ごとに時短の幅を変更できる「ママズ制度」で活躍するママが増加中

▲ママの働くスタイルを“はりきりママ”、“慎重ママ”、“ぎゅぎゅっとママ”の3つに区分し社内メンバーが把握できるようにしている。半年ごとに変更も可能

人事評価制度の変更に伴い、働くママへの支援である「ママズ制度」も刷新。復帰支援から戦力化支援という形への転換が重要な変更ポイントだ。

五十嵐 「従来のママズ制度は、子どもを持つメンバーの復帰を支援する制度でした。ママを優遇する制度ですから、対象人数が増えるに従って、逆に対象でないメンバーが不公平感を抱くようになり、業務上ストレスを感じるまでになってしまったのです。そこで、人事評価制度の変更に合わせる形でママズ制度も変更し、ママの戦力化支援に舵を切りました」

ハンドブックには、ママズ戦力化の心得としてこのように書いてある。
「ママは時間が短いだけの社員です。おごらず周囲への感謝を持って協働しましょう」

 一つひとつの言葉に込められた思いは、どのようなものなのだろうか。

五十嵐 「実は私はママなんだから配慮されて当然、という姿勢をとるメンバーがいたことも事実です。おごらず、感謝を持って、という言葉には忠告の意味も込めています。一方で、ママのマネジメントを担うマネージャー向けに、『ママは時間が短いだけの社員』というフレーズも入れました。ママメンバーに対しても、ママだから重要な仕事はできないよね、という態度は取らないようにしてもらいたいのです」

新しいママズ制度は、ママの中で働くスタイルの区分があり、時短の幅やコミットの有無を半年ごとに変えることが可能。子どもの成長やパートナーの仕事状況に合わせて、時短にするかどうかも変えることができるとあって、ママメンバ―にも好評だ。

五十嵐 「半期に一度の面談では、コミットメントを選ぶのか、今後どのように働きたいのか、などをマネージャーとよく話し合います。制度を導入して3年経ちますが、ママ・ママでない、みたいな『区別』によるストレスはなくなってきました。

ママメンバーからも、働きやすくなったという声をもらいます。活躍するママメンバーも以前より増加し、ママメンバーだからといってパフォーマンスが落ちることもなく、会社に貢献してくれていることが、実際の数字としても表れているのです」

カフェテリアプランで広がった行動の連鎖──ポイントを給与明細にも表示

▲カフェテリアプランで貯めたポイントは感動創りのヒントになる体験や、人間ドック補助など健康維持にも活用できる

2018年7月には、カフェテリアプランを追加。この制度は人事評価制度以外にも頑張っている人が報われるようにするものだ。

五十嵐 「カフェテリアプランはさまざまなポイントを貯めるられる形になっています。社内コンテストで入賞をしたとき、プロジェクトに参加したとき、OJTトレーナーとして部下をサポートしたとき、などに応じてポイントが与えられる仕組みで、1ポイント1,000円の換算です。

ポイントを使って外部セミナーに参加できたり、自己研鑽のアイテムを購入したりできるようになっていて、行動を起こしてポイントを貯めたら、さらなる自己投資ができる仕組みにしました」

カフェテリアプランには、ポイント以外に集めるものがある。それは、人の役に立つ行動をするともらえる「ありがとうシール」だ。日々の業務の中で行った、ちょっとした良いことにも目を向けている。

五十嵐 「社内で意見が上がってきたというよりも、目標設定の項目から漏れていることを何とか評価しようという発想から生まれました。私たちは目標設定シートを『ブレイクスルーシート』と呼んでいるのですが、PDPはブレイクスルーシートの中に書かれないような『良い行い』を自然にできるメンバーがたくさんいる会社です。だからこれは、さりげない行動にもしっかりと報いたいという、会社からのメッセージなのです」

こうしてたまったポイントや「ありがとうシール」などの数は給与明細にカフェテリアポイントとして記載。ポイントがたまることで、自分が会社や他部署、自部署に貢献したことが明らかになる。

五十嵐 「カフェテリアプランでの評価対象は、日常的に行っている小さな貢献や良い行いなど、これまでであれば報酬がなかった分野です。今までも、報酬や評価がなくても当たり前のようにやってくれていたことなのですが、プランを導入したことにより、今まで以上に積極的に取り組んでくれるようになったと思います」

評価、報酬、会社の業績。3つの連動させる評価制度でより精巧なものに

▲五十嵐 淳

2021年5月。人事評価制度を一部改訂し、評価と報酬を連動させた形へと変更した。具体的な改訂ポイントと改訂の意図について、五十嵐はこう語る。

五十嵐 「良い評価と報酬を連動させることにより、達成感を数字で実感してもらいたかったのです。その結果、今までは半期で5,000円しか上がらなかったのが、改訂によって1万円のアップも目指せるようになりました。やっぱり頑張って大きな成果を得られたメンバーには、大きな報酬でバックしたいです」

また、一度に2ステージアップを実現できるようにしたほか、賞与の原資に対する係数の上限を引き上げた。職種限定のインセンティブを設けたり、昇降給のテーブル額を変更したりと細やかな変更を加えたのだ。

今回の人事評価制度の改訂によって、今まで以上に頑張った人の評価が報酬につながる仕組みが出来上がったと五十嵐はいう。

五十嵐 「お金は大事なモチベーションのひとつだと捉えています。良い成果を出すことで、会社も成長しますし、報酬がアップすると社員のプライベートが豊かになります。

また、カフェテリアプランでポイントを集めていろいろな経験をすることで、会社がその経験を活用することができますから、好循環の輪の完成です。やはり、人事評価制度・報酬・会社業績の間には、密接な関係性があるのです」

入社以来、人事・労務に携わってきた五十嵐。今後の展望は、やはり仕事を通じての自己成長だ。

五十嵐 「職種にこだわるというより、PDPの中で自分が能力を発揮でき、会社やメンバーにとって良い影響が与えられそうなフィールドがあれば幅広く担っていきたい。中でも私は、人事・労務の評価制度の過去の変遷も把握しています。そうした過去の経験を活かして、評価制度をどんどんブラッシュアップしていくという役割は、継続して担っていきたいですね」

PDPのさまざまな社内制度の旗振り役である五十嵐。これから一人ひとりがより輝ける環境づくりを牽引し、会社と社員の成長にコミットし続けていくだろう。