パーソルイノベーションの成長に向け、“今”取り組むべき2つの柱
前職のパーソルキャリアで約20年、人材事業にどっぷりとつかり、2023年7月にパーソルイノベーションの社長に就任した大浦。パーソルグループとして新たなサービスを生み出し、時代の流れや社会の要請に応えていくためにも、注力すべき領域が2つあると言います。
「1つめがラーニング事業です。近年、『リスキリング』への注目度が高まり、多くの企業がその取り組みを加速させています。リスキリングとは簡単に言うと、はたらき方の変化に伴い新たに発生する仕事で必要となるスキルや知識を獲得すること。経済産業省でも『リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業』を公募するなど、社会的に非常に大きなテーマとなっています。
私たちパーソルイノベーションとしても、このテーマと向き合い、伸ばしていく必要があります。当社ではすでに、IT系のイベントや勉強会などの情報を発信する『TECH PLAY』、DX人材の育成を支援する『学びのコーチ』、コミック教材を使ったオンライン研修ツール『コミックラーニング』など、さまざまなサービスを生み出し、提供しています。リスキリングを支援するという意味でも、ラーニング事業は今後も大きな投資領域となります」
2つめは、既存事業の「ちょっと足りない部分」のアップデート。その中身を次のように説明します。
「パーソルグループが長年の歴史の中で積み上げてきたブランドの周辺を開発するのも一手だということ。たとえば、近年求人ニーズも過去最高水準で出ていて、転職やキャリアを考える方も増えています。一方、私がパーソルキャリア時代に編集長を務めていた求職情報・転職サイト『doda』では、お客さまの期待に応えきれていない領域もあると思います。だからこそ、その部分を私たちならではのアプローチで開発し、新しいスタイルのサービスをつくったら役に立つかもしれないですよね。
パーソルグループ全体の既存事業でカバーしきれていないもの、ちょっと足りないなと思うものをアップデートしていく。これがもう1つの大きな柱になると考えています」
その実践には、AIやテック活用も必要だと大浦。とはいえ、技術“だけ”に頼るのは違うと強調します。
「時代の流れもあり、アップデートに当たってはAIやテック活用も必要になってくるでしょう。ただし、AIであろうがテックであろうが、ラストワンマイルは人が積み上げてきたものに変わりはありません。
以前よく、将棋棋士とAIの対決が話題になっていましたが、プロ棋士がAIを使えるようになると、やっぱりその人が一番強いんです。つまり、ある領域において強力なノウハウを持っている人が、テック活用もうまくできるようになったら、テックだけの人にも勝てるし、当然アナログの人にも勝てる、今はそういう世の中になっています。
技術の力も借りながら、個々のノウハウを活かし新しいサービスをつくったり既存のサービスをアップデートしたり、そうした活動を通じて社会の要請に応えていくということです。当然、技術の進化も環境の変化も激しい時代ですから、2年後、3年後にはまた違うことを言っているでしょう。私自身もアップデートしていく必要があるということですね」
課題は“横ぐし”の強化。もっと学び合える環境を
2つの柱に取り組む上で、社長就任からまだ日の浅い大浦だからこそ感じる課題もあると言います。
「パーソルイノベーションのメンバーたちはみんな、良い意味で事業づくりに必死です。この姿勢は本当に大切なことですが、プロダクト開発に営業、採用にPRと、各事業部がそれぞれで必死になっているのが実情。サイロ化とまではいかないけど、“会社でくくっている”という意識が少し低いのかなと感じています」
組織間の連携を強化することで、事業としても組織としても成長するのだと大浦。
「パーソルグループという大きな組織の中で、新規事業を生み出すインキュベーション会社がやっていることの意味って何だろうと考えてみると、当然、一般的なスタートアップよりも資金力があって、パーソルというブランドや顧客ネットワーク、ケイパビリティを使える。そうした安心材料の中でチャレンジできるのがパーソルイノベーションです。
そんな当社だからこそ、いくつもの事業が社内にあるわけです。わかりやすく言うと、ゼロイチベースのまだまだ成長段階にあるものもあれば、事業規模が100億近くにまで拡大したものもあります。大きな事業が隣にあるのだから、そこではどんなマーケティングを実践しているのか、どんな採用活動を行っているのかなど、横串を通して学び合ったりノウハウをシェアしたりした方が、事業としても組織としてもグロースすると思うのです。
自身で育てた事業だけでなく、他の事業を兼務して『両方売っています』というメンバーがいてもいいですよね。パーソルイノベーションの中にも “エコシステム”のようなものが必要なのかなとも考えています」
突き詰めた経験をゼロリセットしてでも学び続けられる。そんな人に集まってほしい
組織間連携の強化、そしてその先にあるパーソルイノベーションの成長に向け、どんな人材が求められるのか。大浦が「一緒にはたらきたい」と思う人材像は次の2つ。
「1つめが『何かを突き詰めてきた人』。エンジニアや営業など仕事の面でもよいし、日本酒は誰よりも詳しい、世界遺産検定を取得しているなどプライベートの面でも構いません。何かに没頭した経験がある人、とことん突き詰めた経験がある人は、頑張りがきくだけでなく、もっと奥が深いものがあるって考えられるし、上には上がいるという感覚も持っていると思うからです。
そして2つめが、『学び続けられる人』。マーケットが猛スピードで変化する中、新しいサービスを生み出すには、ときに今までやってきたことをゼロリセットする必要があります。とことん突き詰めることと“真逆”の話なのかもしれませんが、ゼロリセットして学び続けられる、またアンラーニング(学習棄却)によって仕事のやり方や考え方を手放し、新たな知識を取り入れられる、そんな姿勢が重要になってきます」
この2つを持ち合わせたメンバーとともに組織を進化させていきたいと意気込む大浦。
「私は仕事の仕方って、人としての興味の深さや探究心と連動する部分があると思うのです。どんな分野でもいいから、とことん突き詰めたものをゼロリセットしてでも学び続けられる。そんなメンバーとともに強いチーム・強い組織をつくり、次の時代のパーソルイノベーションをつくっていく。それにより『新手法、新領域で、未来をぬりかえる。』という当社のミッションを体現していきます」
パーソルイノベーションには「人を幸せにする」土台がある
突き詰めた経験をゼロリセットしてでも学び続けられる。そんなメンバーと「新しい文化を一緒につくる」ことも楽しみたいと大浦は語ります。
「人材業界でいえば、昔は転職の文化なんてありませんでしたが、さまざまな歴史の中で転職が一般化してきました。普段の生活の中でも、昔は毎日シャンプーしなかったのに、今ではシャンプーが習慣化され、今後また新しい習慣ができるかもしれないというように、時代の流れの中で文化・習慣は変わっていくものです。
これはつまり、人間の生活習慣を変えることは非常に価値があることで、新しい文化・習慣をつくることは人を幸福にする、豊かにするんじゃないかということ。仕事でも同じことが言えるのではないでしょうか」
新しい文化をつくることで、パーソルグループのビジョン「はたらいて、笑おう。」の実現にもつながるのだと続けます。
「人が生きていく上で日々の仕事にやりがいを感じることは、電気やガスといったインフラと同じくらい重要なもの。だから、『はたらく』という領域で、人が豊かになったり幸せになったりするために、はたらくことの定義を変えたいし文化も変えたいと私は思っています。
これはパーソルグループの使命である『はたらいて、笑おう。』そのものであり、パーソルイノベーションには、それを実現できる土台があります。新しい事業や新しい文化をつくって人を幸せにしたい、そんな想いを持った人たちにどんどん集まってきてほしいですね」
前編はこちら
※ 記載内容は2023年10月時点のものです