新卒で飛び込んだ人材業界。理由は“カッコいい”人たちに惚れたから

article image 1

2023年7月、パーソルイノベーションの社長に就任した大浦。以前は人材サービスを手がけるパーソルキャリアに所属し、人材業界一筋でキャリアを築いてきました。社会人としての第一歩を踏み出した21年前をこう振り返ります。

「私は2002年、新卒でインテリジェンス(現・パーソルキャリア)に入社しました。当時のインテリジェンスは、新進気鋭のベンチャー企業。本音を言うと、人材業界を選んだというより、社長のビジョナリーなメッセージや社員に惹かれたのが入社を決めた理由です。会う人会う人みんな、『こうなりたいな、こういう人たちとはたらきたいな』と思う“カッコいい”人たちばかりでした」

大浦が感じる格好の良さとは何なのか。それは「喜怒哀楽が全部そろっていること」だと話します。

「就職活動中、楽しそうにはたらいているビジネスパーソンをたくさん見かけました。でも、楽しそうなだけのビジネスパーソンには魅力を感じなかったんです。

お客さまから感謝される喜びや思うように事業開発が進まない怒り、営業として受注できなかったときの悔しさや仲間と切磋琢磨する楽しみ。そういった喜怒哀楽がすべて詰まっている仕事をやっているからこそ、やりがいもつらさも感じられるし、一つひとつの仕事に本気で取り組めるんじゃないか。そんなカッコいいはたらき方をしている人たちがたくさんいたのが、当時のインテリジェンスだったのです」

入社後は、企業の採用支援や人事コンサルティング、転職希望者のキャリアカウンセリングや面接支援など、一貫して人材紹介に携わってきた大浦。面接官も経験し、多くの就活生に向き合ったことで気づいたこともあると言います。

「あらためて自身の学生時代を振り返ると、社会の物差しが学歴偏重になっていることに違和感があり、その状況を“壊したい”という想いが頭の中にありました。そんな自分とは対照的にインテリジェンスの人たちは、社会をどうしたいのかを自分なりの言葉で表現し、語っていたんです。これも人材業界ではたらくカッコいい人たちに惚れた理由だったんだなと思います」

新規事業開発への熱い想いを新たなフィールドで活かす

article image 2

2017年に求職情報・転職サイト「doda」の編集長に就任し、一時は退いたものの、2022年に再就任した大浦。大きなキャリアの転機が訪れたのは2023年でした。

「私は2023年4月にパーソルイノベーションの経営に加わり、7月の組織体制の変更に伴い社長に就任しました。人材紹介一筋だった私が『なぜ、新規事業開発のパーソルイノベーションに?』と思うかもしれませんが、個人的な話をすると、私はゼロイチでサービスづくりをしたい人なんです。また、外部の人たちを巻き込んで仕事をしたいという想いもあります。実際、パーソルキャリア時代には、社内大学やスポーツ関連のサービス立ち上げにも携わりました。

それに対し編集長というのは、現場の声やさまざまなデータを考察し、スポークスパーソンとして世の中に情報を発信する立場。もちろん責任もやりがいもあり、決してサービスづくりに専念したいからという理由でパーソルキャリアを離れたわけではありません」

事業づくりやサービスづくりに対する強い想いに対し、「会社が道をつくってくれた」と大浦は続けます。

「今の時代って、会社名や名刺の肩書きにとらわれず、同じ志を持った人たちが『餅は餅屋』で集まり、プロジェクト的に事業づくりやサービスづくりをする時代なんじゃないかなと思っています。その意味で、私の新しい事業づくりをしたいというビジョンや、私の財産でもある外部ネットワークは、パーソルイノベーションのようなフィールドでこそ活かせるのではないかと考えるようになっていました。そんな話をキャリアプランやサクセッションプランの中ですり合わせていくうちに、会社が道をつくってくれたのです」

サクセッションプランを通じて「世の中が変わってきているんだから、パーソルも変わらないといけない」と、変革の必要性についても熱く語っていたという大浦。

「時代の流れや社会の要請に応えるには、パーソルグループとして新しいサービスを生み出す必要があります。そして新しいサービスを生み出すには、時として従来のサービスをある種否定し、場合によっては壊すくらいの覚悟が必要です。だからこそ、事業開発への想いが強く、『はたらく』に直結する人材領域に明るい私に、その役割が巡ってきたのかなと思っています」

“違い”を掛け合わせたらおもしろい。タッグを組んで新たなサービス創出を

article image 3

社長就任に当たり、前社長である長井 利仁(現・パーソルデジタルベンチャーズ社長)との間でこんなやりとりも。

「長井からは、『キャラクターや外部ネットワークなど、活きる部分がたくさんあると思う。大浦らしくやるのがいいんじゃない?』『タッグを組んでやろう』とエールをもらい、勇気づけられたことをよく覚えています」

「大浦らしく」「タッグを組む」の意味を、大浦はこう理解したと言います。

「長井の言う『大浦らしく』とは、私とのキャラクターやネットワークの違いはもちろん、私が20年以上、人材の現場で明るくやってきた個性を活かしてほしいということなのかなと。

実際、私と長井はまったくタイプが違って、一言で表すと長井は左脳派で私は右脳派。たとえば、長井はファイナンスや数字に強いけど、私は現場・現物が得意。また、長井は経営者としての知見も豊富で事業づくりが得意だけど、私は人材・HR領域に強いというように、お互いのキャラクターも武器も違います。

人脈の面では、長井は経営者の方々とのネットワークが広く、一方で私はミュージシャンやスポーツ選手とのつながりが多いんです。そういった人脈の違いも掛け合わせたらおもしろいですよね。

パーソルグループの使命である『はたらいて、笑おう。』につながる新たなサービスを生み出し続けるためにも、パーソルイノベーションのメンバーや外部の皆さん、さまざまな方々とタッグを組んで、また自分らしさも存分に発揮し、パーソルイノベーションの次の時代をつくっていきます」

「今日の自分が自己ベスト」「未来が過去を変える」の姿勢で仕事に取り組む

article image 4

時代の流れや社会の要請に応えられるサービスの創出に向け、パーソルイノベーションに新たな風を吹き込む大浦。仕事をする上で昔から大切にしていることが2つあると言います。

「1つめが、『今日の自分が自己ベスト』。人間なので当然、調子が出ないこともあるし、気分が乗らない日もあります。マネジメントがうまくいかなかったことや、営業パーソンなら受注を逃すことだってあるでしょう。それは単に体調の問題かもしれないし、準備不足や自分の能力の問題かもしれない。でも、どんなアウトプットになったとしても、『今日の自分にとってこれ以上はなかったな』と思えるような準備をして、毎日を丁寧に生きることを常に心がけています」

ただし、それは決して「自己ベストだったんだからしょうがない」ということではないと話す大浦。

「単に自分を甘やかすのではなく、1日、また1日とベストを尽くして、後悔なく日々仕事に向き合うということです。もちろん、どんな仕事においても高い山が立ちはだかることはあります。でもそれは、『壁にぶち当たった』という事実が目の前にあるだけ。自意識過剰と思われるかもしれませんが、自分が乗り越えなくても日々頑張っていたら仲間が担ぎ上げてくれるかもしれない。その山が勝手になくなることもあるし、山を登らせてくれる機械が発明されるかもしれません。

後になって思い返すと、『山があると思っていたら気のせいだった』ということもあるでしょう。『登る山を間違えていた』パターンなど、私自身もいろいろ経験しましたが、とにかくアウトプットや結果に翻弄されず、目の前のことに真摯に向き合い、自分らしく後悔のない日々を過ごす。それに尽きます」

そしてもう1つ、大浦が大切にしているのが「未来が過去を変える」という考え。その意味を次のように説明します。

「過去の積み上げの中に未来があるというのが一般的なのかもしれませんが、私はそう思わないようにしています。自分の過去に対して、引け目やコンプレックスを感じる場面はあるでしょう。でもそれは、自分の過去を否定するのと同じこと。もっと言うと、自分を育ててくれた親や恩師、仲間たちに失礼だなと感じるのです。一方で、未来で輝けば、それによって過去の見られ方が変わるのはよくあることではないでしょうか」

それは「仕事でも一緒」と大浦は語ります。

「自分が今やっている仕事やこれから取り組む仕事は、誰かに教えてもらったり誰かに助けてもらったり、その積み上げだと私は思っています。だから、『学歴がないからできない』『スキルに自信がない』『キャリアがない』と発言したり引け目を感じたりするのは、過去に関わった人たちを否定することになるんじゃないかと。

そんな思いもあって私は、『未来のありようによって過去が変わる』ことを意識して仕事に取り組んでいます。そうすることで、過去の自分にコンプレックスを持つこともなくなりました。もし負い目を感じることがあるとしたら、それはきっと自己ベストだったと言えない日々を過ごしてしまったときや、誰かのせいにしてしまったとき。

過去の自分を否定せず、他責することなく今生きていられるのは、『今日の自分が自己ベスト』『未来が過去を変える』、この2つの考えを大切にしているからなのかなと思っています」

次回、パーソルイノベーションの未来と、その実現に向け求められる人材像について大浦が語ります。


※ 記載内容は2023年10月時点のものです