自分で考えて動きながら、人材ビジネスの現場ならではの貴重な学びを得た日々

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──金さん(愛称:ふぁなさん)、今まで本当にお疲れ様でした! 卒業にあたり、これまでの歩みを振り返らせてください。まずは約2年前、転職活動でパーソルキャリアを受けられていたころの話に遡ります。

金  転職活動中は、パーソルキャリアとパーソルホールディングスのどちらに行こうか迷ったんです。

森  そうだったね。そのとき僕から言ったのは、「ホールディングスに行くのも良いんだけど、事業の現場を知ってからのほうが良いよ」ということ。また、当時のふぁなにはグローバルにチャレンジしたい希望もあったので、そのためにもまずは「日本における人材ビジネスの実務を把握してからのほうが良い」とも言ったよね。

 間違いなくそうでしたね。200%正解でした。

 だろう?「俺、囲いこまないから。ホールディングスの方が良ければ、正直に行けって言うから。信じて!」って言ったよね(笑)。

 そうでしたね。振り返ってみると、パーソルキャリアでの経験で得たものは、「これまで以上に深く顧客のことを考えるようになったこと」だと思います。前職のEC事業でも顧客について考えてはいたけれど、パーソルキャリアは「転職」という人生の節目を支援する事業に取り組んでいるので、より深く、より真剣に顧客の顔を思い浮かべて考えられた。それを日々の業務につなげられるようになったと思います。

入社して、最初の3カ月は各事業部のミーティング、業績報告などにとにかく参加してインプットしまくり、その後エージェント事業部で3カ月、企画マネジャーをやって、続く3カ月はタレントシェアリング事業部のマネジャーも兼務。その後、入社10カ月目でエグゼクティブ&ハイキャリア事業の企画部門のゼネラルマネジャーとなり、ハイクラス・エグゼクティブ領域の事業企画や事業開発の支援を担当してきました。

森さんには「丁寧なOJTは組んでやれないけど、いろいろ見に行って現場から学んで来て! 頼んだよろしく!」と放牧された感じで(笑)。おかげさまで、僕はのびのび自由にやらせてもらいました。

 メンバーレイヤーの採用なら手とり足とりで面倒を見ただろうけど、ゼネラルマネジャーとしての採用だからね。

 森さんから、「これやって、あれやって」と言われたことはほぼなかったですね。「これ課題だと思うんで、こうしようと思います」もしくは「こうしようと思うんですけど、どう思います?」とか。事業間連携や全社経営の目線から見るとどうすればいいかとか、そんなことで相談にのっていだたいたくらいでした。

 僕は基本的に全部任せたい。その方が絶対みんな楽しいし、良いものができると思っているからね。「ここを目がけてやる」という意識さえ合っていれば、あとは皆がそれぞれ自分で考えて、行動して良くしていくという運営方針。ふぁなもそれができる人だと思ったから来てもらったんだよ。

ただ、自分で担当事業の課題を見つけてもらうために「情報開示はとにかく多く」ということだけは徹底していたけどね。

 その情報が議事録などの単なる文字だけでなく、森さん視点での意見や、経営会議の場で行われていた会話、経営陣に見せたときにどういう反応だったのかといった補足付きで共有してもらえるので、自分が動く上ではとても役に立ちました。

複数事業部をまたぐ全社戦略に踏み込むことができる超絶楽しい役回りを経験

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──入社後1年以内という短期間の中で、複数の事業についてキャッチアップするのは、かなり大変だったのでは?

 ちなみに、入社後すぐに複数の事業を兼務する形にしたのは、ふぁなの方から「一番大変なところに入らせてください!」と頼まれたからだよね(笑)。

 そう! 人材業界の経験もないし、一番速くキャッチアップし成長するには、しんどいところで苦労するのが一番早いかなと思ったんです!

 一部の事業部は、事業管理の仕組みもおおむね整っているけれど、立ち上がったばかりの事業部や複数の事業部をまたぐ全社戦略には、まだまだカオスというか未整備な部分もあって。単一事業だけでなく経営戦略にまつわるイシューに踏み込んでいくとなると、多数の事業部長や役員を巻き込む必要がある。関与する役員だけでも5人くらいいる事業領域で、関与者の間を立ち回って「あなたたち全員でここをめざしてください」と言える人はふぁなしかいなかったよね。

 大変でしたが、超絶楽しかったです! A事業部から得られた情報がB事業部でも使えるなど、情報を広く知ることによる動きやすさもありました。各事業部で見ている情報について、自分が新たな視点を加えることで役に立てた実感もあります。

また、入社以来心がけていたのは、「誰が何を言ったか」よりも「会社としてめざすものは何で、それをどのように実現するか」を事実やデータに基づいて説明すること。その上で関与者の理解を得て、同じ方向に向かって一緒に努力するように取り組むこと。複数の部署にまたがる仕事をうまく進められたのは、そこを意識していたからでもあると思っています。

ハイクラス領域を伸ばしていくための仕組みづくりに奔走、カタチに残せた実績

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──多くの事業部にまたがる課題を解決するという、チャレンジングなミッションに全力で向き合っていらっしゃった、ふぁなさんが特に印象に残っている仕事はなんですか?

 エグゼクティブ&ハイキャリア事業の企画に着任したとき、売上は伸びてはいるんですが、マーケットの成長予測に基づいた「自事業をここまで成長させたい」という明確なビジョンというか、意識がそこまで見えない。あったとしても形になっていないことに「むむっ?」と思ったんですね。そこで、まずは「2025年、2030年のマーケットがこうなる、その中でこれくらいの水準をめざすべき」という、事実と意思を込めたシナリオを作成しました。

そのシナリオを基に森さんや組織内で相談したら、それがすぐに上層部、さらにはホールディングスまで届いて「やってくれ」ということになり、その判断の在り方やスピード感には驚きました。

結果として、組織も大きくなり投資額も増えて、めざす先へと向かうベースが作れました。自分は人材業界の経験も少なく、みんなが思っていることを形にしただけなんですけど、そこに力添えをできたことが一番の手応えでした。

 一方で兼務してもらったHiProも立ち上げ期だった。当時のHiProには(※)週次管理表すらなくて、それもふぁなが作ったんだよね。めちゃくちゃ上流から地に足をつけるところまで、全部やってくれた。

金  そのことも含めて、ハイクラス領域を伸ばしていくための仕組みは作れたと思います。

※事業KPIをモニタリングするための、ダッシュボード帳票のこと。事業状況を短いサイクルで把握し、事業の変調や成長の兆しを検知し課題解決につなげるための基礎データとして、各事業部の事業企画メンバーが中心となって作成して週次で運用している

上司に背中を押され、自ら立てた経営戦略を動かすために副業で出会った企業へ

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──今回、新たな環境へチャレンジすることを決意されるにいたった経緯とは、どのようなものでしたか?

 転職先企業との出会いは副業でした。とあるベンチャーで、急激に成長したあと企画者、経営目線の人材が不足しているということで、知人に声をかけられて経営戦略策定のプロジェクトに参加したんです。

それで、経営戦略ができたところで「いろいろありがとう! あとはうちに来てこれを実現してくれない?」という話をいただいたわけです。じつはお声がけ自体は早くからいただいていて、身近な同僚に相談したりしていたのですが、いよいよ断れなくなってきて森さんに相談したんですよね。

 ふぁながそわそわしていることは感じていたし、他の人に相談しているらしいこともわかっていたので、直接相談されたときも「やっぱりそうだよな」と。それで「1時間ください」と言われて話を聞いて、その場で「それは行ったほうが良いね」と言ったと思う。いったん「ちょっと考えさせて」とは言ったけど、考えた時間は5分くらい(笑)。

だって、筋が通ってるんだもん。ふぁなという人物にもふぁなの課題にも合っていて、副業でちゃんと成果も出ていて誘ってくれている企業の本気度もわかる。もちろん、行かないでほしいとか寂しいという気持ちはあるけれど、そういう気持ちの主語は全部、自分か自社。ふぁなを主語にして考えると、行かない理由がないよね。

「それでも、ふぁなを引き止めているものは何なの?」って尋ねたら「森さんへのご恩です」って言うから「そんなものは要らんから行った方がいい!」と(笑)。

 そう、ご恩が90%以上でしたね……。これまでいろいろ信じて任せてくれたこともですが、そのために周囲と調整してくれていたのもよくわかっているので。

森  それで留まってもらっても嬉しくないよ(笑)! いや、慕ってくれるのは嬉しいんだけど……。とにかく、悲しむのはやめて、応援していきたいという話をしたよね。ふぁなは僕らとの関係とか、これまで共有した時間の価値が薄くなっちゃうことを心配していたけれど、つながりがなくなってしまうことは決してないから大丈夫だと。

それより、転職先ですでに顧客がついていて、売上を生み出せている事業を責任者として任せてもらえるポジションに就けるのはとても魅力的。パーソルキャリアでそこにたどり着くにはどうしても少し時間がかかってしまうと思うから、向こう3年うちで働くより、ふぁなにとっては断然良いと思ったんだよね。

パーソルキャリアには僕みたいに「本人にとってどうか」から客観的に考える人はけっこう多いと思う。だって僕らの生業がそういうことなわけでしょう?「人の可能性を広げる」のがわれわれであって、可能性を狭めちゃいけない。

それに、ふぁなとはこれでお別れではなく、いつかどこかでまた一緒に働くという感覚があるんですよ。じつは、今度彼の結婚式があって次の会社の方と同じテーブルに座ることになってるんですよ。その方ともぜひ仲良くさせていただきたい(笑)。

 ありがたいですね。でも、送り出す側の立場になって考えてみると、簡単にはいかないとも思います。

 うん。だから「3カ月ちょうだい」とは言った(笑)。先方としては早く来て欲しいはずでそこは申し訳ないと思ったけれど、なんなら僕が一筆書くからその3ヶ月だけは待ってくださいと(笑)。

逆に3カ月もらったらその間になんとかするのが僕の仕事。ふぁなもメンバーに同じことを言われたら3カ月でなんとかするくらいの準備はしていたでしょう? すぐには無理でも、少しの助走期間があれば引き継げることを前提に組織を作ることも大事。

 そういう会社にしていきたいですよね。

 ふぁなだって、みんなを気持ちよく送り出す気持ちがあったんだから、逆に自分も気持ちよく送り出されていい。そうやってみんな、次は私の番、僕の番と思ってくれていいし、そのためにも後輩には育ってほしい。逆に、もし仮に今後ふぁなが戻ってくるようなことがあれば、また快く迎えるべきだと思う。そうだ! なんなら新しい会社で、僕を副業で雇ってください(笑)!

 (笑)。

森  先方とはビジネスパートナーになる機会はあまりないかもしれないけれど、越境での人材研修などもできるかもしれないよね。社会を変えたいという社会価値ベースで仕事をされている会社なのだから、通じるところはあると思っています。

 ありがとうございます。また森さんと一緒に仕事ができるときを楽しみに、しっかり筋力をつけておきたいと思います!

※社員の所属組織および取材内容は2022年8月時点のものになります。

※金は2022年8月に退職済みですが、本人の同意を得て掲載を継続しています。