事業部を横断し、「顧客起点」でパーソルキャリアならではの顧客体験を企画・推進
法人企画統括部は、パーソルキャリア全社の法人向け戦略検討から、BtoBマーケティング、インサイドセールス、データソリューション、新規サービス企画・開発に至るまで、複数の機能を持つ組織です。これらの機能を基に、特定のサービスや事業部に紐づかず、パーソルキャリアの中にある全てのサービスを横断した「顧客起点」の施策推進を行っています。
このような役割を持つ部署が立ち上がった背景には、業界ならではの事情もありました。人材業界では、最終的に良い人材が採用できれば、法人顧客の満足度が上がる傾向があります。そのため、私たちの意識も、ついKPIや営業現場の生産性といったところに向きがちであり、そのプロセスで顧客がどう感じているかを深く考えてこなかったという課題意識がありました。
しかし、結果が出るまでのプロセスが長いのもまた、人材業界の特徴です。その長い活動プロセスの中で顧客に何を感じてもらえるかを考えることが、新たな企業価値の創造にもつながるはず。こうした考えから、顧客起点で考える法人企画統括部が生まれたのです。
顧客起点とは具体的にどういうことか。
たとえば、パーソルキャリアは人材紹介、求人広告など採用に関するさまざまなサービスを展開していて、法人顧客の課題を解決できる手段も多岐にわたります。その一方で、一社の法人顧客に対し、事業部ごとに別の営業担当者がアプローチすることも起きてしまいます。法人顧客から見るとこの状況は不親切で、サービスが多岐にわたる、せっかくの特長も裏目に出てしまいます。
また、サービスごとに得られた顧客の情報が統合管理されないことにより、会社全体として顧客の情報が蓄積されず顧客理解が進まないといった、機会損失にもつながりかねません。
こうした課題認識のもとで、会社全体としての顧客理解を高め、各サービスの良さをさらに発揮しながら顧客に成果を届けるために、私たち法人企画統括部が横断機能として存在しています。
たとえば、新規の法人顧客については、各事業部ではなくまず私たちがヒアリングを行い、ニーズに応じて適切な事業部へつなぐ活動も進めています。こうした流れが確立すれば、採用活動のプロセスにおける顧客の感じ方も変わってくるはずです。
企業の「人材獲得力」を上げる多様なサービスが揃っているからこそ、できること
パーソルキャリアは「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というミッションを掲げています。これは働く個人に向けたメッセージですが、「『はたらく』を自分のものにする」とは個人がキャリア自律(*)を実現することであり、そのためには企業側の人材獲得の柔軟性も必要だと考えています。
私たちは「人材採用力」という言葉を使わず、「人材獲得力」という表現をしていますが、その理由もここにあります。人々がキャリア自律を実現するには、企業が社員として「採用」する以外に、副業従事者、フリーランスなどを含むさまざまな形で人材を「獲得」していく必要があると考えているためです。
採用がより困難になっていく中で企業が成長し続けるためにも、採用以外の手法を駆使した人材獲得という広い視点で捉えることが不可欠になるでしょう。そして、まさにこの点が「パーソルキャリアらしさ」を発揮できる部分だとも考えています。
当社には、正社員だけでなく、副業・フリーランスといった雇用によらない働き方など、さまざまな働き方をサポートするサービスがあります。これらを組み合わせ、法人顧客がわかりやすい形に整理してご提案する。これは事業横断型の組織である法人企画統括部だからこそできる取り組みです。
*キャリア自律とは:はたらく個人が、自らのキャリアを主体的に意識決定し、自律的に変化と成長を続けていくために必要な、意識と行動のことで、キャリアオーナーシップとも表現されます。パーソルキャリアでは、はたらく一人ひとりが自らの機会と可能性を正しく知り、選択し、行動できるように支援し、より多くの人が、「はたらく人生」にオーナーシップを持てる社会を実現することをめざしています。
「主語は顧客」という姿勢が明確だから、同じ方向を向き、正しい判断ができる
法人企画統括部のような全社的な部署と、現場で活動している事業部との間に、ちょっとした対立が生まれる。それはよく聞く話ですし、当社でもそういう課題がなかったわけではありません。統括部の立ち上げ以降、試行錯誤も経た上で、今は法人企画統括部の中に法人戦略策定を担う部門を置き、全社の戦略を事業と一緒に検討していく形を取っています。各事業が事業ごとに戦略を立てるだけでなく、全社としてめざしたいもの・実現したいものを各事業に対して投げかけ、事業戦略と全社戦略の統合を支援するのが、法人企画統括部の役割です。
事業部とはあくまでパートナー関係にあり、今は「一緒にやっていく」という雰囲気も確立されてきました。そのため、法人企画統括部に所属すると、いわゆるカウンターパートが全社に存在し、さまざまな人と交渉しながら仕事をすることになりますが、社風のせいもあってか、「すごくタフでないとできない」ということはありません。
ただ、顧客起点のための組織である以上、メンバーには「どんなに調整がハードでも、社内調整目線、事業起点で考えてはいけない」と伝えています。幸い、法人企画統括部が立ち上がった背景については各事業部からの理解もあり、アプローチ方法や実現に向けた建設的な議論など、本質的な会話が増えました。このメッセージのおかげで判断基準が明確になり、事業部も含めたみんなが同じ方向を向くことができているように感じます。
誰も「正解」を持っていないからこそ、新しい力とともにゴールを探したい
企業を変え、働き方の未来を変え、子どもたち世代の日本を変える仕事人材ビジネスは、未来の人たちに何かを残してあげられる仕事だと思います。今取り組んでいる「企業の人材獲得力を高める」仕事も、短期的な成果は見えづらいですが、10年後20年後に働き始める人たちに、大きな変化を残せる可能性があります。私は現在、2人の子を育てながら働いていますが、今、自分の時間を投資して積み重ねていることが、子どもたち世代の役に立っていくと確信できる。彼らの未来のための仕事でもあると思うと、いっそう自信を持って働くことができます。
たとえば、「自己肯定感を高く持って仕事をしている人が多い社会」は素敵だと思いますし、日本の将来のためにぜひそういう社会をつくりたい。同時に、「自社肯定感が高い企業を増やしたい」とも考えています。
「知名度が高くない」とか、「圧倒的なトップ企業がいる業界だから、うちなんて」と思うことなく、「自分たちにはこんな価値がある」「この会社にはこんな社会的意義がある」と誇りに思えるような、そして、そこで働く個人も自信が持てるような企業を増やしたいですね。
私たちは中途入社で法人企画統括部に来られた方に、「社風に慣れてほしい」とは思っていません。むしろこれまでの経験で得てきた視点を生かしてほしいと思っています。というのも、「顧客体験をつくる」という活動自体がまだ始まったばかりだからです。
多少失敗をするのも当たり前、良いと思ったことはどんどん試して、みんなで考えていく必要があります。そうした視点から見ると、異業種から転職して来る方は、「私たちが経験していない業界や仕事の経験がある」という点で全てが魅力的。正解もゴールもない「顧客体験」を探し続けるには、今いるメンバーだけでは考えられない新しい発想がほしいですし、まだ誰も答えを持っていない中で、試行錯誤を楽しめる方と出会いたいと思います。
最近転職して来た人は、「事業が多くて複雑だけど、その分、ソリューションがたくさんあることに魅力を感じた」と話していました。確かに「難しい方がおもしろい」と感じる方には向いている仕事だと思います。同時に、「採用」や「はたらく」を通じて、社会をより良くしていきたい。そういう仕事に意義を感じられる方とぜひ一緒に働きたいですね。
※社員の所属組織および取材内容は2022年8月時点のものになります。
※2023年4月より、「法人企画統括部」の機能は、「クライアントP&M本部」の中に置かれることになりました。