予備校講師、テレビ局の報道記者を経て、はたらき方を考えるように
両親が障がいを持つお子さんの個別療育を行っていたこともあり、幼少期から人を育てることに興味がありました。学生時代には、療育や行動変容、脳の可塑性などを学び、研究を志向したこともあります。
一方、研究者と被験体という関係では、お子さんの育ちに寄り添うことができません。そこで、成長過程を直接支えたいという想いから、学生のころに勤めていた予備校で論文科講師になりました。小論文では、問いに対する主張と根拠を筋道立てて述べるよう求められます。「考える」ことや「文章を書く」ことを始め、日々のあらゆる行動をスモールステップに細分化し、高校生の行動変容や新たな行動獲得を支援しました。
講師は1日8時間、毎日話し続けることもある仕事です。喉を痛めたり声が通らなかったり、話が伝わりきらない苦い経験をする中で、次第に話し方や発声法に興味を持つようになりました。それから勉強を始めて痛感したのは、自分の声が人の思考や行動に変化を起こし得るという、声や言葉の奥深さです。
より本格的に学ぼうと、某テレビ局のナレーションスクールにも通いました。そこで元記者の方から「誰かの原稿を読むのではなく、自分の取材を原稿にして発信する仕事も奥深いけど、どう?」と提案を受け、報道記者に転向しました。
報道記者は、取材や原稿執筆、映像編集の指示出しからテロップ作成、放送の立ち会いなどを担います。とてもやりがいがあり、どっぷりのめりこんで数年働いていましたが、やがて長時間労働や日々の重圧から体調を崩すようになりました。非正規雇用だったこともあり、自分の「はたらく」人生を考えて、20代のおわりに転職活動をしました。そこで出会ったのが、パーソルキャリアです。
「入社してからキャリアの方向性を決めればいい」と言われて採用された私が人事の道へ
「生きる」ことは「はたらく」ことでもあります。
しかし、望む仕事に就けないことも、待遇に恵まれないこともあります。大学卒業からフリーランスという不安定な立場で働いてきたこともあり、「はたらく」ことにまつわる課題には人一倍実感がありました。人々がキャリアオーナーシップを持てる社会の実現、というミッションに心惹かれたのは、それゆえです。
じつは当初、求人広告媒体の営業職に応募したのですが、採用担当に「もっと合うポジションを探したい」と言われました。同時並行で複数の選考が進み、最終的に「やりたいことは入社後に見つければいい」と言ってくださった方の業務アシスタントを選びました。どの面接もキャリア相談の色合いが強く、他者の課題を自分ゴトと捉えて寄り添う、そんなカルチャーの会社なのだと感動しました。
入社後は事業企画部で、業務アシスタントの傍ら経営会議や取締役会の事務局を運営しました。そうして会社の重要情報に触れる中で、「仕組み」を作り社員に働きかける人事企画に関心を持ちました。背景には人の行動変容への興味もあったかもしれません。すぐに人事企画の責任者に会い「人事に行きたい」と直談判しました。異動はその3カ月後です。年齢や性別・社歴に関わらず、挑戦の機会を与えてくれる風土がパーソルキャリアにはあります。
入社7カ月目から所属している人事本部 人事デザイン部では、人事制度の運用・設計や役員人事を担当しています。最近は会社の無形資産であるヒトのデータを多角的に分析する、データドリブンHRにも取り組んでいます。
近年、人材を「資本」としてとらえ価値を最大化しようとする人的資本経営に注目が集まり、多くの企業が取り組みを始めています。当社でもエンジニアを巻き込んだ部門横断チームを組成し、最先端のデータ基盤の構築やデータ分析、人事施策の検討を進めています。HR領域で社会をリードする挑戦がしたい方には最高の環境です。
経営陣と密なコミュニケーションをとりながら挑戦できる風通しの良さ
「はたらいて、笑おう。」というパーソルグループのビジョン、「人々に『はたらく』を自分のものにする力を」というパーソルキャリアのミッションに共感する仲間を増やし、長く活躍できる環境を整えることが、私たち人事本部の役割です。採用競争力を高め、社員が安心してはたらき続けられる基盤として、今まさに報酬面の人事制度の改定にも取り組んでいます。
人事制度改定のスタートは、人材マネジメントのあるべき姿を言語化することです。続いて現状とのギャップを可視化し、ギャップを埋める方策を洗い出します。人事エキスパートにはこれらすべてが一任され、自分なりに練った素案を人事本部長と揉んで、ときには社長と直接議論して内容を固めていきます。
経営会議で合意を得たら、細部の設計を行いつつ、導入に向けた実務を進めるプロジェクトチームを人事本部内で立ち上げます。責任者としてメンバーを束ねながら、関連規程の改定や採用活動の準備、社員への説明や社外広報などを行い、導入日を迎えます。
30代の一般社員が、経営陣に対して忖度なく直接意見できる環境は、同規模の日本企業を見ても稀有だと思います。私は中途入社ですが、中途社員であることで不自由さを感じたことはありません。平均年齢も約33歳と若く、風通しが良い会社です。固定観念や成功体験を捨て、枠を超えて思考し、価値観を刷新し続けるというスタンスは、会社のDNAに確かに組み込まれています。
経営陣との議論は真剣勝負そのものです。ものすごくハードな一方で、やりがいも達成感もひとしおです。もちろん、知識や経験を積み、徹底的に考え抜くことが前提ですが、何にでも挑戦できる土壌が当社にはあります。経営陣や周囲の仲間がそっと支え、背中を押してくれるのです。社長も「今の自分たちが在るのは若手のころに責任ある難しい仕事に挑戦させてもらえたからだ」と語っており、年齢や性別などを問わず、社員を積極的に育てようとする考えは社内に浸透しています。
社員一人ひとりが「はたらいて、笑おう。」を体現するため、経営との橋渡しをする
社員と経営陣との橋渡しも、人事本部の大切な役割です。中でも人事デザイン部の仕事では、社員の声に耳を傾けつつ、経営陣の想いを社員に伝え、ミッションの実現に必要な仕組みを整えていきます。
たとえば、パーソルキャリアは「外向き」「自分ゴト化」「成長マインド」という3つのバリューを掲げています。これらを浸透させる仕組みとして、社員に求められる行動をバリューごとに細分化し、人事評価の基準に練り込みました。社員目線では、求められる行動の実践が自己成長やキャリアアップにつながる、透明性の高い仕組みだと思います。感覚に頼らない公平・公正な評価のために、マネジャー研修にも力を入れています。
人事の施策は成果が見えにくく、結果が出るまでに時間もかかります。バリューの浸透にも一定の時間を要しましたが、社員が日常的にバリューについて話す姿を見たり、バリュー体現がお客様の課題解決につながったという声を聞いたりすると、私たちの作った仕組みが会社を変えているのだと実感し、嬉しく思います。
Great Place to Work® Institute Japan(GPTWジャパン)が実施する「働きがいのある会社」認定でも、当社は10年連続で「ベストカンパニー」に選出され、2023年版では大規模部門で6位を獲得しました。人事本部を含む当社の取り組みは、外部からも高く評価されています。
すべての社員が「はたらいて、笑おう。」を体現していることが、「はたらいて、笑おう」という社会の実現に向けた、第一歩です。そのための仕組みづくりが私の仕事です。めざすのは、会社の変革を通じた社会の変革。簡単ではありませんが、難しく大変なことでも、おもしろがって挑戦し続けられる野心を持った方とはたらける日を、待ち遠しく思います。
※社員の所属組織および取材内容は2023年2月時点のものになります。
※社員の所属事業部名称は、2023年4月時点での名称となります。