スポーツ業界ではたらくより、 スポーツ業界を外から変えていこう

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山口は「SPORT LIGHT」の発起人として、山田は内定者インターンとして。それぞれ異なる立場から「SPORT LIGHT」に携わる二人に、あらためてこのサービスへの想いを語り合ってもらいました。

山田 「私はパーソルキャリアに就職することが決まってから、『内定者インターン』という形で『SPORT LIGHT』に関わらせていただいています。山口さんはいつごろからこのプロジェクトについて考え始めたのですか?」

山口 「もともとパーソルキャリアへの入社前から、アスリートやスポーツ業界に関して、はたらくことを支援するサービスをつくりたいと考えていました。自身が就職活動をしていたとき、サッカークラブ運営の仕事をしたいと思ったことがきっかけです。当時調べて分かったのが、スポーツクラブなどへの就職はあまり採用活動を行っていないということでした。ほとんどが紹介なんです。労働環境や女性の活躍に関しても情報があまり公開されておらず、ブラックボックス状態でした」

山田 「それで新卒で就職活動をしたときには、最初に考えていたスポーツ業界への就職はあきらめたんですね」

山口 「そう。情報が得づらいだけでなく、業界の方に話を聞く中で『この業界ではたらくのは、しんどいことも多いよ』といわれたのが印象的でした。労働環境が整っていないといわれたんです。そういった経験があったので、自分がスポーツ業界に就職するよりも、スポーツ業界でもっとみんながはたらいていけるような活動やサービスをしたい、と考えるようになりました」

山田 「急がば回れ、というか」

山口 「そういう感覚だったかもしれないです。スポーツに携わる仕事って、直接その業界に入ることだけじゃない。だから、『はたらくこと』を考える仕事に就いて、そこからスポーツ業界でのはたらき方をサポートしていこうと考えました」

山田 「入社当初から、新規事業の立ち上げに一直線だったんですね!」

山口 「やりたいとは考えていたけれど、一直線に行けたかというと、そうでもなかったかもしれません。スポーツの分野ってマネタイズが難しいんです。正直にいうと、『無理だ』と感じて、転職活動をしていた時期もありました。しかし、当時の上司との面談がきっかけで、もう一度頑張ることに決めたんです」

入社当初からサービス立ち上げへの想いはありながら、何度も挫折しそうだったと話す山口。彼女の気持ちを前向きにしたのは、パーソルキャリアの人と環境でした。

山田 「心が折れそうになりながらも事業として立ち上げができたのは、どういった背景があったんですか?」

山口 「上司と面談して、『やればいいじゃん』って背中を押してもらったんです。それをいってもらうまでは、本当にあきらめようと思っていたけど(笑)。『やっていいんだ、じゃあ自分のやりたいことをどこでやろうか?』ときちんと考えたら、やっぱりパーソルキャリアがいいなと思って。

山田 「確かに、パーソルキャリアは新しいことを始める人を積極的に応援する空気がありますよね。内定者の私でもそれは感じます。否定されないし、仕事以外でも何かしらチャレンジしている人が多いという印象を受けます」

山口 「そうですね。社内でさまざまな勉強会も行われていますし。そもそも、知らないことや新しいことをやってみようとする人を歓迎する社風なんでしょうね」

山田 「新規事業の立ち上げには困難や苦労がつきものだとイメージしていましたが、山口さんの場合は、立ち上げ直前がいちばん苦悩のタイミングだったんですね」

山口 「そうかも(笑)。立ち上げ前にやっていたRC(リクルーティングコンサルタント)の仕事をそのまま継続しつつ、追加で新規事業の仕事を兼任しているので、今も大変ではありますけどね。2018年にサービスをリリースしたときはうれしかったけど、今でもまだドキドキしながら続けています。どれだけ想いがあっても、売り上げを出せる事業にならなければサービスとしていいものとはいえないので、きちんと存続させていかないといけない、というプレッシャーがあってヒリヒリしますよね」

自身の経験と学問的知見を武器に、 スポーツ業界の「はたらく」を考える

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スポーツ業界の外から、アスリートを支援したいと考えた山口。対照的に、山田は自分自身がアスリートだった経験から、スポーツ業界の労働や雇用に興味を持ちました。自身が経験してきたことだからこそ、そこではたらく人の気持ちを理解しながら事業に携わっていけるのだと山田は語ります。

山口 「山田さんは、どうしてインターンとして『SPORT LIGHT』に関わろうと思ったの?」

山田 「パーソルキャリアに入社してやりたいと思っていたことと、とても近かったからです。もともとの背景から話すと、私はスキー・ジャンプの選手として活動をしていて、将来的にもアスリートとしてのキャリアを歩むことを考えていました。しかし、その道をあきらめることになってしまって。そこから、就職しようとか、何か資格を取ろうとかと考え始めたんです」

山口 「アスリートのセカンドキャリアを、自分の体験として考えていたんだね」

山田 「はい。挫折を感じ苦しい期間もありましたが、下を向いていないで社会に出てさまざまな経験をしようと考え、アルバイトを始めました。そこでさまざまな人に出会い、また助けていただいて。そのことがきっかけでアスリートだけでなく非正規雇用のはたらき方について興味を持ちました。それで、もっと多くの人のはたらき方や雇用の支援をしたいと考えて就活をしました」

山口 「なるほど。だから『はたらく』を考えているパーソルキャリアへの就職を考えた、というわけなんだね」

山田 「そうです。アスリートをはじめとして、多くの人の生活に直結する『はたらく』を良いものにできるようなサポートをする仕事ができればいいなと考えていました。採用面接を受けたときにもずっとこういった話をしていたのですが、内定をいただいた後に、『SPORT LIGHTという新規事業があるから、やってみないか』と声を掛けていただきました。話を聞いて、まさに私の考えていたことだと。まだ内定者なのに、チャンスを与えてくれるんだなとうれしかったです」

山口 「内定者インターンではあるけれど、山田さんにはとても大きな期待を寄せているんです。まず、私たちにない視点を持っている。それは、自身がアスリート経験者であること、それから労働や雇用についての学問的な知見があること。また、『今後のスポーツ業界をどうしていくか』という問題を本気でいっしょに考えてくれるだろうと、丁寧で誠実な人柄にも引かれました」

山田 「ありがとうございます。自分の経験について、悔やんでいた時期もありました。しかし、今は『誰かのためになるんだな』と誇りに思っています。挫折の経験も含めて、スポーツ業界ではたらく人に対して『自分だったらどうだろう』と想像することができます。これまでの経験を社会に還元したいと思っています」

スポーツ業界をもっと知ってもらうために、多様なアプローチを

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「SPORT LIGHT」は、単にスポーツ業界に特化した求人を掲載しているだけのウェブサイトではありません。スポーツ業界で通用しているノウハウを別のビジネスでも役立てるために、業界の内情とそこではたらく人たちに光を当てていくという側面もあります。

スポーツ業界ではたらくことを望んでいる人が満足してはたらけるように、またスポーツ業界ではたらいてみたいとチャレンジする人をもっと増やしていくために、さまざまな角度からスポーツ業界での「はたらく」に関する情報を社会に向けて発信しています。

山口 「今は、テレビ局との共同プロジェクトをメインで動かしてもらっていますね」

山田 「はい。アスリートのエッセンスを社会人に伝えるプロジェクトが進行中です。アスリートのエッセンスというのは、たとえば、『アスリートの本番の強さを面接・商談前の心構えとして役立てられるかもしれない』ということや、『チームをまとめるスキルを経営のマネジメントにも活かせるかもしれない』ということ。そういったスポーツから学べる姿勢やスキルをビジネスに活かそうと、テレビ局の方といっしょにさらにおもしろく伝えられないかを検討しているところです。私が任せていただいているものも含めて、『SPORT LIGHT』では、かなり多くのプロジェクトが動いていますよね」

山口 「そうなんです。就職・転職のサポートだけではありません。業界のことを知ってもらおうと、ウェブサイトにはスポーツ業界ではたらく人のインタビューを掲載し、SNSの運営やスポンサー企業と連携したイベント企画なども行っています」

山田 「スポーツ業界について、多くの視点から知ってもらうことができますね」

山口 「ええ。本来はスポーツ業界ではたらきたい人に向けた事業でありながら、ほかの方々にもスポーツ業界についてもっと知ってほしいという想いが強いです。『スポーツライト』というネーミングは、『スポットライト』のもじり。光を当てる、という意味があるんです。

山田 「そうなんですね!サービスの立ち上げから2年経ちましたが、業界での変化は感じますか?」

山口 「感じます!まず、紹介だけで人を増やすのではなく、必要なスキルに応じて求人・採用を行おうとする企業が非常に多くなりました。事例が増えていくと、「ほかのチームでは成功しているから……」と倣うこともできますよね」

山田 「異業界からスポーツ業界へ転職する人も増えましたか?」

山口 「増えました!コンサルタント経験を活かして、クラブチームの営業を始める人や、営業経験者でさまざまな相手と関わるスキルを活かしてチームの広報職に就いた人など。スポーツ業界以外の企業では身近だと思われているスキルが、スポーツ業界においては希少で重宝されることも多いのです」

山田 「スポーツに携わりたい人が強みを活かしながらはたらけるのは、すごくいいことですよね。これまでは、どんな人をどうやって採用しているのかが分かりにくい部分もあったんですが、適切な人材募集とその仕事を望む人とのマッチングがうまくいけば、もっと業界を変えていけるのではと感じています」

スポーツ業界ではたらくことを、もっとあこがれの仕事へ

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少しずつ、しかし着実にスポーツ業界のはたらき方に変化を起こしつつある「SPORT LIGHT」。この事業がさらに成長した先に、二人はどんな未来を期待しているのでしょうか。

山田 「これから『SPORT LIGHT』は、どんな事業になっていくんでしょうね」

山口 「最終的には、『スポーツ×はたらく』を考える全ての人々にとってのプラットフォームになれたらと考えています。スポーツ業界への就職・転職はもちろん、アスリートのセカンドキャリアや業界の働き方など、多くのことを考えるときに必要な場としての『SPORT LIGHT』になりたいです」

山田 「そうですよね。昔は転職する人が少なかったですけれど、今は転職が当たり前のことになりました。それと同じように、スポーツ業界ではたらきたい人がもっと増えて、その業界ではたらくことがもっと当たり前の選択肢になるような世の中の変化を生み出していけたらいいなと思います」

山口 「うん。業界内だけでなく、世の中全体の印象や見方が変わるというのは大事ですよね。私は就職活動中に、『スポーツ業界=しんどい』ものだといわれたことを今でも強烈に覚えているんですけど、もっとかっこいい業界、あこがれの業界になってくれたらと思うんです。ドリームジョブになったらいいな。そのために、山田さんや社内のメンバーといっしょに、これからも頑張っていきたいですね」

山田 「ありがとうございます。私自身、アスリートとしての経験や、はたらくことへの学問的な知見をこれまで培ってきたけれど、どうやったら売り上げを伸ばす事業になるか、あるいはより良いサービスになるかといった、ビジネスとしての視点はまだまだ持ち得ていません。多くの人たちに使ってもらえるサービスを提供できるよう、新しい視点を鍛えていきたいと考えています」

※本記事は2020年11月ごろ取材したものです。タレントの所属は取材当時のものとなります。