パナソニック社内で携わる「本業」と「複業」

▲デジタルマーケティング推進室の取り組みを社外マーケティングイベントで発表
大畑 「たとえば、英語だけとか、マーケティングだけとか、デジタルだけだと競争を勝ち抜いていくのは難しい。それぞれをそこそこ習得して合わせ技として発揮していけば、他人と比べて差別化できると考えています」

2020年現在、大畑はパナソニック株式会社インダストリアルソリューションズ社 エナジーデバイス事業部に所属しています。eコマースチャネルの開拓を通じ、エボルタやエネループといったブランドで展開する乾電池やニッケル水素電池などの商品を、世界各国の一般消費者に対しどうPRし、増販増益を図っていくかをミッションとして日々仕事に取り組んでいます。

また、本業に注力する一方で、パナソニック内にある「社内複業制度」を利用し、パナソニック全体に対し専門的な立場でデジタル化を促していく部署であるデジタルマーケティング推進室の仕事も兼務しています。デジタルマーケティング推進室の複業の第一期生であり、パナソニック全社視点でのマーケティング推進に携わることを目的に参加しています。

複業への参加だけでなく、パナソニックがスポンサーである施設での物販拡大をデータ分析を通じて推進するプロジェクトに参加したり、ひとつの会社内でパラレルキャリアを形成できる「社内複業制度」を新しい働き方として社内外に発信する為にイベントで登壇したりと、積極的な活動とさまざまな成果をあげてきました。

パナソニックでも新しいことに挑戦し続けている大畑は、3回の転職、4社での経験を通じて、「グローバル」×「デジタル」×「マーケティング」の3つのスキルを身につけ、掛け合わせることで自分の市場価値を高めてきました。

グローバルビジネス挑戦への渇望──ITスキルを高めたその先へ

▲インド出張時に現地eコマース担当者と

2001年、大学を卒業し、新卒入社したのは日本電気(NEC)でした。経済学部出身にも関わらず、任された職種はシステムエンジニアです。国立病院向け電子カルテの導入に携わることからキャリアをスタートしました。

大畑 「なんでシステムエンジニア?とは思いましたね。電機メーカー社員なのに病院に常駐していましたし、忙しかったし、当時は結構生意気で上司や仲間にも反発しがちでした。
でも今思えば、最初にIT技術を現場で習得できたのは運が良かった。今に至るまでこのIT技術のバックグラウンドを仕事に活かせていますし。仕事の基礎もすべてこの時期に学びました」

3年目の終わりに転機が訪れます。入社当初より抱いていた「インターネットに関わる仕事がしたい」という希望がかない、NECのインターネット部門であるBIGLOBE事業部(当時)に異動し、法人向けインターネットサービスの営業を担当することになりました。

大畑 「念願のインターネットサービスに深く関われて単純に楽しかったですね。当時はインターネット黎明期だったので、いろんなことが新鮮でした。忙しかったですが、仲間にも恵まれていたし、会社も好きで充実していました。
ただ、このままインターネット事業に関わっていたい一方、他社のマーケティングを支援する立場から主体的に実践する立場への転身を意識するようになり、グローバルスキルを身につけたいと思うようにもなりましました。英語の勉強を始めたのもこのタイミングでした」

2008年、グローバルビジネスに挑戦したいという新たな希望と、インターネット事業に関わり続けていたい想いを両立すべく、日産自動車へ転職することを決意しました。グローバルマーケティング部門でデジタルマーケティングを担当し、WEBサイト構築やソーシャルメディアといった領域の戦略策定から各マーケットへの導入までを一貫して担当しました。

大畑自身がチャレンジしたいと考えていた主体的なマーケティングだけでなく、海外との仕事も増えていきました。

大畑 「日産自動車ではグローバルビジネスに初めて携わりました。海外販売会社とのやりとりや南アフリカ人、アメリカ人の外国人上司との仕事は貴重な経験でした。世界中のマーケットを対象としたマーケティング担当部門なので仕事自体がとても大規模でした。
しかし、徐々に仕事が現場と離れすぎていることに疑問を感じるようになってきました。次は、自分のスキルを活かすことができ、なおかつ自分の好きな業界で働きたいと思うようになりました」

徹底した『ものづくり』へのこだわり──マーケティングを超えるために

▲社内データ分析カンファレンスでのBIソフト(Tableau)活用事例プレゼン

2013年、日産自動車勤務中に抱いた「現場に近いところで仕事がしたい」という気持ちと、「自分が興味のある業界で働きたい」という思いから、アシックスに転職します。これまで所属してきた会社と比べると相対的な規模は小さいが、裁量は大きく、どんなことでも挑戦できる環境でした。

デジタルマーケティング職人として迎え入れられた大畑でしたが、デジタルマーケティングの領域にとどまらない広告・宣伝業務まで幅広く携わります。入社当初の責任範囲は自社ECサイトのリニューアルや業務しくみ化でしたが、ソーシャルメディアを活用したコミュニケーション推進、新商品の広告宣伝やPRイベント、契約アスリートやスポーツ大会のスポンサーシップ権利活用など、幅広い仕事に関わりました。そして、初めて部下のマネジメントも任せられ、チームのけん引や若手の育成にもやりがいとおもしろさを感じていきます。

大畑 「日産の時に比べて、アシックスで僕が担当していたのはより消費者に近いところでのマーケティング。華やかだったし、社内の納得さえ得られればなんでもできたので楽しかったですね」

充実した日々を送っていた大畑でしたが、自分の中で宣伝や広告の仕事を続けることに疑問が生じ始めます。

大畑 「広告や宣伝って会社のお金を使う仕事なんですよね。たくさんのお金を使って、派手なことや目新しいことをやって大勢の人に商品や会社を知ってもらう。もちろんやりがいはありますが、経営的視点で利益を考える仕事ではありませんでした。
今後どんなふうになりたいか考えた時に、一マーケターとして、経営者目線で事業をやりくりするとか、モノづくりを考えるとか、そういうスキルを身につけたいと思うようなりました」

大畑は、創業者の松下 幸之助の考えによる「自主責任経営の徹底」が浸透しているパナソニック株式会社であれば、経営者目線を習得できるのではないかと考え、2017年、パナソニックへの転職を決意します。

パナソニックに転職した大畑は、当初これまで在籍してきた会社との価値観の違いに驚いた、と語ります。

大畑 「転職してきて、パナソニックはマーケティングではなく、あくまでも『ものづくり』の会社であるということを実感しました。それこそがこの会社の価値観であり良い部分なのだと思います」

いつも『サバイバル』──己の価値を高める中で気づいた3つの価値観

▲業務外活動にも力を入れる。大学時代に所属したラクロス部創部30周年イベントでの登壇

これまで、3回転職した大畑ですが、突き動かす原動力は「危機感」であると語ります。

大畑 「僕は、基本的にはネガティブなんだと思います。ネガティブだからこそ、常に危機感を持っています。いつも『サバイバルをしている』感覚なんです。だから外部環境の変化にも敏感ですし、会社の経営状況とか方針転換みたいな空気も自分ごととして捉え、生き残るためにどうすればいいか、何を身につければいいかを常に意識していました。
さらに、自分の強みは何なのか、何を強みにしていけばいいのかを考えるときは、市場性を意識してきました。最初にNECでシステムエンジニアになってデジタルに強くなったのは偶然です。
でも、英語を勉強してグローバルビジネスを経験したことや、様々な業種や立場でマーケティングスキルを鍛えたことは、それらが、今後どこへ行って何をするのにしても汎用性があると考えたからです」

戦略的にキャリアを形成しているように思える大畑だが、一方で自分自身のキャリアを以下のようにも分析し、大事にしている価値観が3つあると言います。「最善を尽くすこと」、「ものさしを外側に持つこと」、「組織の成果・成長に貢献する意識を持つこと」です。

大畑 「僕は『ブランド・ハップンスタンス理論』を地で行っているんですよね。『ブランド・ハップンスタンス理論』って「キャリアは偶然の出来事、予期せぬ出来事に対し、最善を尽くし対応することを積み重ねることで形成される」という考えです。
僕のキャリアに対する考えもこの理論と同じです。『一度学んだことは必ずどこかで役に立つ』と信じて、今向き合うべきことに懸命に取り組むことが『やるべきこと』につながる、そう考えています」
大畑 「身の回りの価値観を知ることは単純に楽しいです。だから、この記事を読んでくださる人にも、自分の職場とか会社だけの価値観や常識にとらわれないでほしいなと思います。外の世界を知ることで、結果として自信の市場価値を見極め、高めることにもつながると思います」
大畑 「『Share First』の精神は大事ですね。これは、今複業で参加しているデジタルマーケティング推進室の理念とも同じです。小難しい専門知識より、『人が感謝してくれることが何なのか』、を軸に考えたほうが組織の成果、ひいては自分のモチベーションにもつながると考えています」

3つのスキルと3つの価値観、さらに危機感を持ち常に変革し続ける大畑はこれからも前進していきます。