専門はACアダプタ。顧客の理想像を世界中から探し出し、なければ改良・開発する

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半導体や電子部品の商社であるオーエスエレクトロニクス。的野はデバイス販売推進部に所属し、技術的な知識を生かして営業担当をサポートしています。チームには、各部品や機器に特化したスペシャリストが配属されており、的野が専門とするのはACアダプタです。

業務では「より顧客のニーズに合うデバイスが存在しないか」「製品に利用できる規格を満たしているか」などを判断しています。顧客の声に真摯に耳を傾け、内容をかみ砕いて営業担当とプランニング。その後、カスタム品では試作品を作り、顧客に提出し、さらに試作品の改良を重ねて完成を目指すのが仕事のサイクルです。

的野 「営業担当からお客様のプロジェクトについて相談を受け、一歩先の技術的な話をしたり、よりふさわしい商品を提案したりしています。電源やACアダプタに関しては社内の誰よりも詳しいと自負していますので、ボリュームや性能も含めてクライアントに何を提案すべきか決めるのも仕事。当面のところ、ACアダプタの拡販が私のミッションです」

的野がデバイス販売推進部に来たのは2017年。最初の業務は新しい仕入れ先を発掘することでした。電池や電源の担当を経て、2021年に前任者から引継ぎACアダプタの拡販を任されたのです。関連知識を磨くためにデバイス開発なども手伝い、経験を積み重ねて今に至ります。

的野 「オーエスエレクトロニクスに入社したのは2009年。それまでは半導体設計会社で基板や電気回路を学び、さらにベンチャー企業に移って製品開発やハードウェアを受託開発していました。部品と製品の双方でモノづくりを経験したわけです。

やがて、先にオーエスエレクトロニクスに入社していた半導体設計会社時代の同僚から『一緒にやりたいことがある』と声をかけてもらい、技術商社を目指す当社の姿勢にも惹かれて転職を決意。さらにもう2人誘ったので、合わせて3名で入社したようなものです(笑)」

いずれの転職でも後ろ髪を引かれる思いはあったものの、「何かを捨てないと次が手に入らない」と腹をくくりました。そして現在は、オーエスエレクトロニクス内でもトップ事業の、国内屈指の大手電機メーカーのプロジェクトに参加。2022年秋頃に発売予定の家電製品に採用されるACアダプタのため奔走しています。

難度の高い仕事で意識したのは、わかりやすい情報発信と質問を繰り返すこと

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▲東京営業所・狭間さん(左)との打合せ

ACアダプタのプロジェクトは、2015年から営業担当がアプローチを開始。的野が実際に携わるようになったのは2021年からです。主に技術部分やスケジュール調整などを担いました。

的野 「当社の顧客である電機メーカーが家電製品を開発するにあたり『ACアダプタは何を選べばいいのか』を、託されていたんです。コンペに勝ち、当社の仕入れ先である海外部品メーカーのアダプタが選ばれた、ということですね。そこから試作を重ねて完成品を作り、量産につなげていくのが私たちの役割です」

プロジェクト稼働後、的野は技術支援を担当。業務負担の大きさから専任となり、海外部品メーカーとのコミュニケーションも一任されています。顧客の要望を的確にとらえて齟齬なく仕入れ先に伝えるという、とても重要なポジション。しかも海外を相手にするため、難易度が高いのです。

的野 「言葉や文化の違いから、ACアダプタが要望通りに仕上がっていない、あるいは改良点が反映されていないことも珍しくありません。でも、それでは不合格。そこで、認識のずれを減らすためにも、お客様の要望をシンプルな図や表にまとめ、誰もがわかる情報にして社内や仕入れ先に伝えていくのもデバイス販売推進部の仕事として重要です」

「どうすれば情報が伝わりやすくなるか」は常に考えている、という的野。それでも思い通りに進まないことも多く、顧客にも仕入れ先にも「つまり、こういうことですか?」と何度もヒアリングします。自分がためらっていては物事が前に進まないからです。

的野 「思い通りにいかず、心が折れそうになることも正直なところありますよ。これは今回のプロジェクトでタッグを組んだ営業担当の狭間さんとの笑い話なんですが、海外部品メーカーに進捗を確認するため、懇切丁寧な長文メッセージを送ったものの、返事がたった「yes」一言だけで、本当に伝わっているのかとても不安だったという……(笑)。それでも、仕様が合っていなければまた質問するだけ。この繰り返しですね。なかなかほしい回答までたどりつくのに時間がかかります」

試作品を6度も提出。日本有数の企業が求めるレベルを肌で感じられたことも今後の糧に

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▲本人(右)。左は東京営業所・狭間さん

プロジェクトを通じ、的野は営業担当の狭間と密にコミュニケーションを取ってきました。変更も要求も多く、案件の進め方が毎日のように変わっていたので、互いの認識がずれないよう会話を重ねたのです。

的野 「とくに確認し合ったのは『期限を守る』ことを原則としつつ、『可能な限り早く』お客様へ対応しようという方針についてです。先方からの『われわれのスピードについてきてほしい』という想いを感じていたので、たとえば試作品の納期を即答できない場合でも、その時の状況は細かく報告しました。

ここでも日本と海外のペースに差があり、調整するのはなかなか大変でしたね。『待つしかない。そうはいっても進捗を伝えなければ』とジレンマを抱えることも毎回です。とはいえ、実際に経験できたわけですから、次からはもっとうまくいくと考えています」

このプロジェクトで的野は、「そこまでこだわるのか」と、求められるレベルの高さを肌で感じたと振り返ります。アダプタの試作品は6度も繰り返し提出。顧客が高い品質を求めるがゆえ、クオリティーにもスピードにもこだわり抜いた経験が、今の、そして今後の糧になっています。

的野 「あくまで私の印象ですが、お客様に信用してもらえたことが何より嬉しいです。難しい注文も多々ありますが、おそらく対応できない相手には要求してこないでしょうから。『オーエスエレクトロニクスなら、なんとかしてくれる』という期待を肌で感じたので、狭間さんとふたりで真摯に対応してきました。

もちろん、関わった製品が世の中に出ていくのも非常に感慨深いです。狭間さんの協力には感謝しています。何かあったときもフォローしてもらえる体制がありましたので」

ACアダプタの完成に向け、課題はほぼ解決しました。最近になって量産体制も立ち上がり、数量を作って納品するフェーズに入ったものの世界は半導体不足に見舞われています。アダプタは比較的コンパクトな大きさですが、それでも使われる半導体は少なくありません。

的野 「自分の力では解決できないこともあり、まだまだ安心はできません。いつも『何事も起きなければいいな』と思っています。しかし、要因が外的なものでも、解決方法や折衷案は探しておかなければなりません。これらを踏まえた上でベストな提案をするのが私の役目なんです」

プロジェクトには途中参加ながらも、顧客の技術的な要望を理解し、早期に信頼関係を構築できたと自負している的野。経験は強み──顧客からすると話が通じる、理解してもらえる的野は、非常に頼りになる存在なのです。

商社ならではの役割がある。会社は仕事を任せてくれる。だったら「やるしかない!!」

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今後、さらに電源やACアダプタのスペシャリストになりたいという的野。各商材の専門家が集まるデバイス販売推進部において、「アダプタのことなら的野に聞けば解決してくれる」と頼られる存在を極めたいと考えています。また、本来の業務ではないものの、顧客への提案力も身に付けたいと考えるようになってきました。

的野 「ACアダプタに理解を深めた後、他ジャンルの新しいデバイスにもアンテナを張り、お客様のやりたいことをもっと実現できるようになりたい。関わる方々の“できなかったことができるようになる”を目指して、的野と組んで良かったと思ってもらうのが理想ですね」

もちろん、楽しいことばかりではありません。しかし、いつも新しい発見があり、何事も経験して損することはないと的野は考えています。さらに、オーエスエレクトロニクスに入社したことで、商社が果たす役割の重要性も体感しました。以前は製品開発に専念するのみでしたが、在庫の調達をはじめ、必要数の製品を確保して世の中に送り出す大変さを実感しました。

的野 「オーエスエレクトロニクスは自由度が高く、働きやすい会社です。それぞれの仕事も、相談や報告さえすれば基本的に任せてくれますので、居心地もいいですね。しかも、実は上司に怒られている社員を目にしたことがありません。デスク前での説教などは、ドラマの世界です(笑)」

的野は営業担当の狭間と同じく、どんな困難に直面しても「やるしかない、絶対やり遂げる!!」と考えています。たとえ失敗しても、その経験を糧にして次を目指せばいい、何とかなる、何とかできる、と思いながら取り組み、必死にクリアしていけば未来があるという的野の姿には、狭間の姿がオーバーラップします。的野の活躍は今後も続いていきます。