不測の事態であっても、ポジティブさと推進力が新たな活路を見いだす

▲3周年記念の生放送で登場した3Dキャラクターモデル

本格的な実動から約3年を迎えた『温泉むすめ』プロジェクト。

第一歩は2017年3月15日であり、その日を記念日として2020年3月15日に「温泉むすめの日(ONSEN MUSUME DAY)」が制定されました。 これは日本記念日協会に受理された公的な記念日として位置づけられます。そして同日には「『温泉むすめ』3周年記念バーチャル生放送」も配信され、またひとつ『温泉むすめ』の新たな扉が開かれました。

渡辺 「3周年記念バーチャル生放送、私も拝見させていただきました。新型コロナウイルスの影響で、従来のように多くの人が集まるリアルイベントが次々と中止される中、担当する声優自らがバーチャルキャラクターを演じるという新たな試みだったかと思います」

そうした中で、岡本はバーチャルイベント内で『天の声』としてMCを担当したのです。

岡本 「確か配信日の2週間ほど前に、代表の橋本から『リアルイベントをバーチャルに切り替えますので、その天の声(MC)はどうでしょう?』と連絡がありました。『はい、やります!』となんのためらいもなく返事をしたんです。

ところが、そもそも『バーチャルライブの天の声』とは何か想像もつきませんでした。それでも自分なりにどうにか仕上げて、無事に配信を終えることができましたね」
渡辺 「急な打診だったのですね。ちなみに、バ-チャルイベントの構成や進行に関しては、橋本さんから何か特別な指示などあったのでしょうか」
岡本 「バーチャルだからこそできることをしよう──その一点のみです。基本的に橋本はこちらの考えを尊重し、だいたい任せてくれますね」

当初、3月15日は磐梯熱海温泉(福島県郡山市)と道後温泉(愛媛県松山市)でのリアルイベントが予定されていました。それが中止となり、橋本はすぐに3Dモデルを生かしてバーチャルイベントに切り替えると判断したのです。

岡本 「橋本が持つ発想の転換力と瞬発力はすごいですね。しかも約2週間という準備期間では、普通ならほぼお手上げ状態なんですが……。橋本は周囲をその気にさせ、外部パートナーたちの協力も取りつけ、円滑に実施へとこぎ着けていました。そこに橋本の類いまれな推進力を感じましたね」

リアルイベントのできない現状にあっても、「いかにファンに楽しんでもらえるか」という想いが新たな発想をつくりだしたのでした。

柔軟な適応力と並外れたスタミナ、そして熱量が周囲の心を温める

「『温泉むすめ』3周年記念バーチャルライブ」は制作日数が約2週間という時間のない中での制作。準備はエンバウンド社だけではなくエンタメ業界の支援を表明していたバルス株式会社のご協力をいただき、バーチャル空間でのイベント開催が実現しました。

橋本 「当初は『温泉むすめ』の中心メンバーである草津 結衣奈のみの予定でしたが、仲良しの幼馴染である箱根 彩耶、秋保 那菜子のふたりも加え、3人の3Dキャラクターを登場させてお祝い&振り返りイベントを開催しました。ちなみに草津以外のふたりの3Dモデルができ上がったのがイベントの前日でした」
渡辺 「臨機応変な対応で、短期間のうちに実現されたのですね。岡本さんは普段、橋本さんのこうした姿を間近で見ているわけですが、何か印象に残っているエピソードはありますか」
岡本 「いろいろありますね。たとえば、エンバウンドに入社して間もないころ、橋本が『LINEやメールなどは24時間365日、どの時間帯でも飛んできますが、気にしないでください。通知オフなどをうまく使って、自分のペースで返してもらって大丈夫です』と言われたことでしょうか。橋本の処理能力と仕事ぶりはなかなかマネできませんね。やはりエンバウンドも含めて4社の会社経営をしているだけあります」
渡辺 「なかなかすごいですね。私も以前、橋本さんに午前4時あたりに連絡をしたことがあって。すぐに『既読』がついて返事が来たことも複数回あります。橋本さんのスタミナはすごいなと思いました」
橋本 「それはきっと、たまたま起きていたからだと思います。ただ、その時点で重要だと思った物事や気になる兆候に関しては、集中力を持続させて対応したり調査したりするようにしていますので……。気づいたら朝ということはよくあるかもしれません」

「『温泉むすめ』3周年記念バーチャルライブ」の配信は橋本の柔軟さはもとより、仕事への情熱があったからこそ実現したのです。

リアルイベントができない厳しい逆境の中でも、地域への変わらぬ想い

▲温泉地の魅力を発信することに特化したWEBラジオのスタート

2020年5月現在、新型コロナウイルスの影響により、観光業は先の見えない非常に厳しい状況に立たされています。『温泉むすめ』と提携している各温泉地や宿泊施設とどのようなやり取りを行っているのでしょうか──

橋本 「地域の苦しい現状はオンライン会議やグループLINEでのやり取りを通じて、お話しを伺っています。本当にみなさまの切実な想いが伝わってきます。われわれもコロナ禍が収束した後の反転攻勢として温泉地をさらに盛り上げていけるように、4月からインターネット専用ラジオ『温泉むすめ観光案内所』を開始しました。

キャストと岡本のMCで各温泉地の情報や魅力を伝えるんです。また各温泉地のコラボグッズ通信販売も解禁予定です(2020年5月現在、ラジオも通販も始動中)。今後もわれわれができることを積極的に行い、全面的にサポートしていきたいと考えていますね」
岡本 「ちなみに、ラジオ『温泉むすめ観光案内所』のMCについても、確か収録の5日前に橋本から『今度ラジオを始めるのですが、メインMCをやりませんか?』とLINEが来ました。もちろん『はい、やります』と返信しましたが(笑)」

こうした先行き不透明な状況でも、地域のためにできることを本気で考える橋本と岡本。ふたりの地域への想いは変わらないのです。

渡辺 「岡本さんの柔軟さと熱量は橋本さん譲りのような気がします。まさに師匠と弟子の間柄のように見えますね。以前、橋本さんとふたりでお話しした際、岡本さんがアシスタントプロデューサーに昇格して以降、仕事の半分は任せているようなことをおっしゃっていました」
岡本 「ときには無茶ぶりもないわけではありませんが、側で見ていると、橋本が今まで将来に向けていろいろと布石を打って物事を進めてきたことはよくわかります。自分はエンバウンドに入社してから長い年月は経っていません。

それでも、『任されているからにはやらねば』といった責任感が以前よりもさらに強くなっています。もちろん、失敗もありますが……。ただ、橋本は失敗しても決して怒ることがないので、安心して失敗できます」

温泉地もそれに携わる運営側も「継承」するということの大切さ

2020年5月現在、世の中全体が先行きの見えないトンネルにいるような状態。しかし、そうした中にも『温泉むすめ』は今できることを模索し、実行しているのです。

岡本 「『温泉むすめ』だからこそ、できることはいろいろあります。たとえば、新型コロナが生んだ副産物ともいえるテレワークの需要増加。

収束後になりますが、温泉地で気軽にテレワークができるような仕組みをつくったり、ナイトプールならぬ『ナイトオンセン』として温泉地の夜を楽しむイベントをつくったり……。温泉むすめのファンだけでなく、老若男女が各温泉地へ気軽に足を運んで、リフレッシュしてもらえるような企画も進めています」
渡辺 「ぜひコロナ禍の収束後には、柔軟な展開をさらに推進させて『温泉むすめ』が力強く地域観光をけん引して行かれることを念じて止みません。

加えて、すでに『温泉むすめ』関連の拙稿でも書きましたが、『温泉むすめ』が一過性のブームやビジネス第一主義とは一線を画して展開し、いずれは『老舗コンテンツ』といった名を冠せるようになればと思います。そのためには温泉地はもとより『温泉むすめ』プロジェクト自体も一代で終わらず、次の世代へと継承する体制は必須かと考えます」
橋本 「そうですね。幸いにも若い岡本が自身の持ち味を出しながら、いろいろとやってくれていますので、このまま行けばプロジェクトが一代で終わる可能性は低いかと思います」

一過性のブームで終わらず、サスティナブルな地域活性化を目指す『温泉むすめ』プロジェクト。岡本は、橋本の背中を見て、コンテンツ運営のノウハウだけでなくリーダーシップも学んでいます。

岡本 「常に橋本から感じ取れる、どのような状況下にあってもポジティブかつ熱量を出し続けられる存在になっていきたいと思います。そして温泉地の方々やファンのみなさまが喜んでくださるように展開していきたいです」

厳しい現況においても『温泉むすめ』は着実に歩みを進めています。これから平穏な日々に戻ったとき、その歩みはさらなる加速度を増し、多くの人に喜びや感動をもたらすことでしょう。