「医療を止めない」。オリンパス・SCM部門としての責務

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——2023年3月現在の部署とそこでの仕事内容について教えてください。

私が所属するのは、SCM(サプライチェーンマネジメント)部門のロジスティクス&トランスポーテーションという部署で、日本リージョンの物流拠点の運営管理を担当しています。主な業務としては、相模原にある国内最大の物流センターで、倉庫システムの管理に携わりながら、業務自動化に向けた検討も行っています。またITツールを活用し、業務改善を行ってきた経験を活かし、SCM部門の業務を効率化するツールの提案にもチャレンジしています。

倉庫はサプライチェーンの最後の役割であり、私たちの先にはお客様がいます。私たちは、お客様のニーズに合わせて製品をお届けし続けなければならない。それがグローバルメドテックカンパニーをめざすオリンパスとして、医療を止めないための責務だと思って仕事をしています。

最近ではコロナ禍もありましたが、先行き不透明な時代。物流業界は人材確保も厳しいという事情があります。そんな中でも日々の出荷業務を安定的に行うために、2021年に自動化設備も導入しました。

2023年3月現在は、導入した自動化設備の不具合対応や点検業務など導入後の設備保守を行い、製品の安定出荷に貢献しています。また、次世代の倉庫のあるべき姿を考え、さらなる効率化に向けた自動化の検討も行っています。

また2022年4月の組織再編により、私は物流子会社のオリンパスロジテックスから、オリンパスのSCM部門の所属になりました。今までの経験を活かし、RPAやPowerBIといったシステムを活用し、相模原の倉庫に留まらず、SCM全体のプロセスの改善も行っています。たとえば、海外出荷を担うチームと連携し、今まで手作業でダウンロードしていたExcelファイルをRPAによって自動抽出し、データを取得・蓄積しながら進捗状況をリアルタイムで可視化するツールを制作中です。こちらから積極的に提案しながら、双方の課題を解決していけるような施策を順次進めています。

——仕事をする上でどんなことを大切にしていますか?

いろいろなことに興味を持つことですね。物流では、突発的に生じる作業が多く、流動的な仕事に対応する中で、意外な情報が役に立つことがあるんです。視野を広げ、的確かつすみやかに意思決定する力を磨くためにも、さまざまな分野に興味を持つことが重要だと考えています。

IoT、DXなど、デジタル関連の技術は日々進歩していて、去年できなかったことが今年はできるということが少なくありません。他社の倉庫に足を運んで見学や意見交換をするなど、常にアンテナを高く張って、改善につながるアイデアを見つけるよう心がけています。

横のつながりが大きな財産に。人脈と経験が活かせる仕事

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——入社後の仕事の内容と、当時の業務の中で今に活かせていることがあれば教えてください。

私は、2008年にオリンパスの物流子会社である、オリンパスロジテックスに入社しました。入社後は国内輸送を管理する部署で、主にオリンパスグループの事業場移転にともなう輸送管理業務や、学会開催時の輸送管理業務などに携わりました。2017年には企画部へ異動し、新倉庫システム構築プロジェクトに参加。その経験を活かし、2018年から2021年は倉庫自動化プロジェクトにおいて、設備導入ワーキンググループのリーダーを務めました。

入社してからの10年間で、開発・製造・工場・マーケティング・コーポレートなど、さまざまな部門の方々と仕事をすることができました。そこで培った人脈は、私の大きな財産になっています。

たとえば、倉庫に新しい設備を導入する際、電気などのインフラ工事で専門的な知識が必要になるのですが、過去に事業場移転業務で一緒に仕事をした総務の方々が協力してくれたおかげで検討がスムーズに進みました。とくにここ数年、社内の横のつながりが仕事に活かせていると感じる場面が多いと感じます。

——2018年から関わった倉庫自動化プロジェクトの概要について教えてください。

当時、医療分野のシングルユース製品や科学分野の付属品など、約8,000種類におよぶ製品のピッキング作業や仕分け作業を人海戦術で行っていました。業務に慣れない一時雇用の作業員が多いこともあり、思うように生産性が上がらない課題を抱えていたんです。そこで、作業の迅速化・効率化によって最大出荷能力を高めることを目的に、相模原物流センターの倉庫自動化に踏み切ることになりました。

自動化の目的は効率向上だけではありません。コロナ禍や戦争といった有事の状況下でも、ロボットであれば稼働できます。医療機器においては、製品を待っている患者様、医師の方々がいますので、医療を止めないために、安定供給の実現は、非常に重要です。その他にも、自動化によって削減された工数を他業務に充てることができるため、全体的な生産性の向上を図ることにもつながります。

自動化プロジェクトが効率化のカギ。物流視点で開発に関わる

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——倉庫自動化プロジェクトの中で印象に残っていることはありますか?

倉庫自動化プロジェクトでは設備導入ワーキンググループのリーダーを務め、導入計画を管理し、導入設備の検討から、仕様確定、効果測定などを行いました。

リーダーとして、社内外の関係者など、多くの方々と医療機器メーカーとしての物流拠点のあるべき姿を考え、それにふさわしい設備を導入することができました。プロジェクトを無事に終えられて大きな達成感がありますし、相模原の倉庫に対して今まで以上に愛着を感じています。

また、プレスリリース向けに1分動画を制作し、社内外に公開したところ反響が大きく、海外拠点の倉庫を担当するマネージャーから問い合わせがあったり、他社から見学希望の連絡をいただいたり、交流のきっかけにもなり始めています(動画はこちら:オリンパスロジテックス、自動化設備を稼働開始:2021:ニュース:オリンパス (olympus.co.jp))。

——倉庫自動化プロジェクトをきっかけにどのような展開が生まれていますか?

処置具の新製品開発に、物流の立場から意見させてもらう機会がありました。どんな製品でも無事に送り届けることが物流の使命ですが、製品の大きさによって運賃が高くなったり、作業効率が下がったりすることがあるんです。大きさや規格を統一することで、製品性能に影響はないけれど、梱包・配送する際に大きなメリットになります。渡されたものを運ぶだけでなく、開発の段階からわれわれが関わることで、サプライチェーン全体の効率化につなげようという取り組みが始まっています。

2022年4月から、CMSO(Chief Manufacturing and Supply Officer)組織として、サプライチェーンの最適化を図るべく、製造・物流が一つの組織とする体制となりました。処置具の新製品開発は、まさに新たな組織を象徴するような事例。開発メンバーも後行程の効率化に貢献できることに意義を感じてくれていて、ある開発中の新製品の個装サイズを、自動倉庫に適合する規格に見直すことで、作業・保管・輸送において大幅な効率化が実現できる見込みです。

こうした動きが活発になれば、世界中の倉庫で効率化が進むはず。サプライチェーン全体でますます効率化が期待できると考えています。

「現場」にこだわる

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——仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

オリンパスの医療機器は医師の手足となり、患者様のいのちを救うだけでなく、その周囲の方々を幸せにする力があると思っています。その一端を担えていることに魅力を感じています。

医療を止めないためには、安定した物流環境を構築することが必要ですし、それを実現する上で、前後の行程含むたくさんの人との連携が欠かせません。オリンパスで働く人々が同じ目標に向かって本気で考え協力した結果、問題解決につながったと思えたときは、大きなやりがいを感じます。

ときには、緊急オペに間に合うよう機器を手配しなくてはいけないなど、突如として緊迫した状況を迎えることも。人のいのちが助かると思えばなんとしてでも成し遂げたいと思いますし、同じように考える人がオリンパスには多いですね。

——今後の展望について教えてください。

オリンパスは世界の医療機器メーカーと戦えるメドテックカンパニーをめざし、成長を続けています。物流量が増加しても、迅速かつ安定的に製品を市場に供給できるように、さらなる効率化に取り組んでいきたいと思っています。

また、2016年からスーパーバイザーとしてマネージメントにも関わっていますが、自分としては、「現場」にこだわりたい。現場が見える位置で、いろいろな部門・機能の人と関わり、助け合いながら仕事をしていきたいと思っています。