決め手は“勘”。グローバルに社会へ貢献したい

今につながる興味をもったきっかけの琵琶湖でのプロジェクト。一番手前右が藤森。

最初から船舶や海運の分野にまっしぐらだったわけではありませんでした。きっかけは工学部だった大学時代で、琵琶湖で船を自動で走らせるプロジェクトに参加したことでした。水上で大きなものを走らせることは、陸上よりも難しさがあるというところに、勉強していく中で自然と興味を持つようになりましたね。大学院では船舶関連の研究室に所属し、船舶・航空分野で利用価値の高いセンサーの研究をしていました。

理系の大学院出身だと、就職は技術職に就職一直線と思われがちですし、私もそのつもりで進学しました。ですが、私のいた学科は文理横断的なカリキュラムが組まれていたこともあり、進路を考える際には、フラットに自分のやりたいことを見つめ直してましたね。

当時、自分の中には理想の働き方がありました。グローバルに働くチャンスがあり、目に見えてやりがいが感じられる環境で仕事をしたいと思っていたんです。

そんな理想を持っていたのは、子供のころの影響かもしれません。実は、中学生まで父親の仕事の関係で海外に住んでいました。日本と異なる文化を経験した記憶が、頭の中にずっと残っていたんです。「多様な文化の人たちと一緒にグローバルで仕事したい」という想いと、やはり生活に必要不可欠で社会への貢献に実感が持てるという意味で、就職活動ではインフラ系を見ていました。

日本郵船のことは入社している大学の先輩から話を聞いていて、「いい会社だよ」と言われていたことも覚えています。また、安直ですが、定期的に異動があるなら海外駐在のチャンスも大きいのではと思っていたため、ローテーションがある人事制度も自分には魅力的でした。

なお、最終的な決め手は“勘”ですね(笑)。面接等を通して、自分に最も雰囲気が合っていそうな会社が日本郵船でした。そのせいかはわかりませんが、内定も他社に先駆けてもらえたので、すぐに入社を決めてしまいました。

面接を通して自分が感じていた社員のイメージは、入社後も大きなギャップはなく、物腰柔らかくスマートに仕事をこなす人が多い気がします。

経験豊富なプロ集団に混ざって──現場をより深く知ること

入港中の船へアテンドした際の写真。白いのは積雪。

最初の配属先は、自動車輸送品質グループ自動車物流・ターミナル品質チームというところでした。自動車の内陸輸送において、いかに高品質な輸送を実現できるか考える部署です。そこには現場経験豊富なプロフェッショナルが集まっており、新人が配属されることは稀な部署でした。

周りに同期もいないため苦労する場面も多かったですが、“現場をより深く知らなければ仕事にならない”という理由から、積極的に現場を見に行く機会を与えてもらったことは、今でも自分の財産になっています。

国内では、広島・名古屋・横浜の3拠点にそれぞれ約2カ月ずつ滞在し、ポートキャプテンとしてほぼ毎日、荷役監督業務を体験。20以上の港に行きました。海外ではインド、ベルギーなどの物流拠点の課題解決のために出張機会もあり、これまた国内とは全く違う現場事情にとても刺激を受けました。

現場での体験は理系的な知識を使う場面は正直少なく、コミュニケーション力がメインで問われましたね(笑)。日々いかに周りの足を引っ張らずに、情報を吸収していくか。一方で、現場の方々が持っている肌感覚や経験則をなんとか数字に落としせ込めないかと考えて、荷役のスピードなどをストップウォッチで細かく計測するなど、いろいろトライしましたね。

それでも現場での判断のスピード感、危険を事前に察知する勘所というところは一朝一夕で身につくものではなく、ついていくので精いっぱいでした。

もともと自分は、机上の資料や数字を見て分かった気になり“あたまでっかち”になってしまいがちなタイプでした。そんな自分が現場関係者の日々の努力、理屈だけではない現場のリアルな感覚を体に刻むことができたのはとても貴重な学びで、当時いろいろと教えてくださった現場の方々への感謝の想いは今でも強くあります。

長期的な目線──組織の前進がモチベーションに

プロジェクトで蓄積された情報をコストマスタに落としている

最初の配属からちょうど一年で配属先が変わり、自動車船の運航担当になりました。北中南米に向けた船8隻前後のスケジュール、コストを同時に管理する業務を行っています。デスクワークではあるものの、ダイナミックな船の現場をひしひしと感じられることができ、グローバルな関係者とのやりとりの中で仕事を進めていくのはとても楽しいです。

運航スケジュールは、さまざまな関係者を含んで意思決定をします。自分の経験を生かした判断をしたことで、他のメンバーから「おかげで助かった」というコメントをもらえたときは嬉しい瞬間ですね。

ただ、24時間365日に現場が動いているプレッシャーや業務のスピード感に慣れるのには、しばらく時間がかかりましたね。また船の運航にかかるコストの金額の大きさにも驚きましたし、自分の判断ひとつでその金額を動かすことに大きな責任を感じました。

自分が就職活動で大事にしていた社会への貢献という意味で、コロナ禍においても動き続ける船・港の現場を目の当たりにして、海上輸送が多くの国にとって必要不可欠なライフラインであることをあらためて実感させられました。

そんな中で、中長期的な目線を持って仕事をすることを意識するようになっています。船に携わると予期せぬトラブルが多いため、目先の業務ばかりに追われてしまいがちです。でも、業務への理解が深まるにつれて、長期的な目線で組織をより良くするしくみづくりに携わりたいと感じました。

たとえば配属当初から課題として感じていたコスト管理の方法があって。日々の営業判断で使う重要な情報であるにも関わらず、地域ごとに管理しているチームが異なるため、200港以上の情報が部署内で散在している状態でした。

プログラミングを学んでいた理系的な目線からすると、使えるはずのデータが散在している状態は非常にもったいなく、一元的に管理すればあとは適切な計算ロジックを組むことでさまざまな業務効率化につながるはず、と感じていました。なんというか、技術的に難しくないだろうという感覚もあったので、不便な状況へのストレスを余計に感じたというか。もっと実際にシステムを使う営業側からデジタルな改善に意見する人が必要なのではと感じていました。

ある程度経験を積んだオペは運動神経や慣れでカバーしてしまっている現状もあり、そうした不便は仕方ないと諦めかけていたのですが、それではイケてないなと思って、そういう部分に意見するようになりましたね。

そこで2019年度から、同様の問題意識を持つメンバーで、プロジェクトの立ち上げコスト管理方法の見直しを進めています。プロジェクトでは部署全体の理解と協力を得ながら膨大な情報をひとつのマスタに落とし込み、定型業務である収支計算業務の半自動化による業務負荷の削減、またコストシミュレ―ションアプリを作成し日々の営業判断に活用しようと試みています。

長期的な目線で+αの仕事を推し進めることは大変です。でも、より良い方向に業務が変化していると感じられることが自分のモチベーションにつながっています。

“プラスな変化”を起こせる人に

晴れた日に勤務先の本店前

今後ぼんやりといってみたい部署はあるんですが、ローテーション制度もあるし、あまり将来像を固めすぎないようにはしています。

ローテーション制度は多岐にわたるキャリアパスが魅力なので楽しみたいと思っています。入社して4年目になりますが、後輩も入ってきてOJTをしていく中で、目の前の業務をしっかりとやり切ることが、他の業務や将来にも生きると考えるようになってきました。どのようなローテーションになろうと、自分の引き出しを増やしていきたいと思ってます。

また最近、周りに“プラスな変化”を起こせる人になりたいなと思うようになりました。業務についてのプラスだけでなく、周りのモチベーションを少しでも上げられる人になりたいです。本当に、ひとりで完結する仕事はないんですよね。周りの協力を得られるような人じゃないと良い仕事やおもしろいことはできないと実感しています。

自分が今いる部署は郵船の中でも比較的大きな部署で、いろんなキャラクターの先輩・同期・後輩もいて、人間的に魅力ある人が多いなと感じてます。仕事上苦しいことがあった日でも、一日の終わりにちょっとその人と話したら少し気が楽になるような、そんな人がいる職場です。自分もそういう人を目指したいなと心の中で思っています。

会社全体についてはまだまだわからないことが多いですが、会社が力を入れているデジタル化についてもっと関わっていきたいですね。デジタル化は進み切っておらず、まだまだ課題の多いところで、理系の知識も必要になる分野に間違いないと思うので、自身の知見も発揮しやすいと思っています。

また、ソリューションをつくっていくときは、ユーザー視点で営業からのIT担当者への橋渡し役が不可欠です。そのような役割を自分事と思って考えられる人が増えることが、会社のデジタル化の促進につながると思っています。

少し先の将来では、車は自動運転になり、船舶も自動化していくと思います。そのとき、陸側でもできることがたくさんあると思うんです。目の前の業務をやりつつ、長期的な視点でもさまざまなチャレンジをしていきたいですね。