サウナ・スパ班始めました
日本郵船では二引会という、会社公認の学生時代から取り組んだ部活や社会人になってから新しく始めた趣味を共有しながら、社員が交流を深める班活動があります。
ラグビー班、漕艇班、野球班、ラクロス班、水泳班等のスポーツ系班活動や、音楽班、書道班などの文化班もあり、活動は多岐にわたるのです。そんな中、橿本はサウナ・スパ班を立ち上げました。きっかけを橿本はこう語ります。
橿本 「ルームシェアしていた同期と一緒にサウナに行き、サウナ自体の良さと、サウナの時間を共有して、その同期のことをもっと深く知れたのが良いなと思いました」
早速後輩である野田を誘ってみると、コミュニケーションツールとしてのサウナの可能性をさらに感じることができました。
野田 「誘われた後輩である私も、サウナは良いリフレッシュになり、またぶっちゃけた話とかできて楽しみましたね」
そして、若手などで非公式ながら「サウナ班、サウナ班」と盛り上がりをみせ、他部署とサウナでコラボしているうちに、仕事ではまだ知り合えていない若手と会うなど、班活動という形で推進していくとより楽しい集まりになるのではと橿本は考えました。
橿本 「そこで二引会の規約を確認していたら、二引会の目的が、社員の親睦、健康の促進、文化的素養の向上、ということだったので、『サウナやん』と思いました。実績も積んできているし、2016年ごろに一度申請してみました。
しかし、班活動を管掌する部署は班活動化に難色を示していて。『それもそうか』と思っていたもののサウナへの気持ちは変わらず、何年もサウナ活動を続けてきたので、2018年の年末にもう一度申請してみたんですよね」
ただ、橿本自身も本当に班活動にした方がいいのか悩んだ時期もあり、再申請に至る前にミーティングをしたこともありました。
橿本 「もっとまじめにサウナに向き合うべきだと思って、事業化についても検討しようなんていう話にもなったんです。会社が運航する貨物船に着けたりまだサウナがないクルーズ船にサウナつくるサウナ企画を構想してみたりとか(笑)」
そんな苦悩もあったが、今後の会社にとってもメリットがあることだと説明を続けた結果、班活動を管掌されている方も地道に活動を続けていることを次第に理解してくれる様に。そしてついに、班活動として認めてもらうことができました。
初心者でも入りやすい環境。サウナの良さを伝えるために
サウナ・スパ班の活動を行う中で、サウナの良さをふたりはこう語ります。
野田 「サウナの良さって、巷で言われる、ととのう、ととのったという感覚に尽きます」
橿本 「一晩だけ0歳児に戻るんですよ。普段肩こりとか、腰痛とか、そういうのを結構悩んでいるんですが、そういうのはなくなっていて、あとはメンタル的なウジウジしたこともなくなっていると、それを0歳児に戻るって僕は言っています。
しかし、また翌日は34のおっさんに戻ります(笑)。誰かと一緒にサウナに行くと、おもしろいアイディアが生まれてくるんです。普段聞けない話や話さないような話を会社の人や家族など身近な人とするきっかけになります」
また、初心者でも入りやすい環境をつくるために工夫をしています。
橿本 「ラクロスとかサッカーみたいな経験者じゃなくても、ふらっと始められるところはいい点です。
班活動にする時に、サウナ班じゃなくて『サウナ・スパ班』って名前にしたのも、サウナが苦手な人に対しても、スパっていう名前を冠すれば『サウナに入らなくともお風呂だけでもいいかな』という人も入りやすいかと考えました」
普段のサウナ活動は、宴会とセットになったコースが多いと言います。部署の人の中から数人集まった時に、サウナに自由集合して各々楽しんだあと、さくっと2時間くらいで飲んで帰るという流れ。
野田 「飲み会だけの時とは異なって二次会などに行ってぐだぐだせず、家に帰ってぐっすり寝られるんです。ちなみにサウナでの会話は迷惑にならない程度に話す。礼に始まり礼に終わるサウナ道。『あと何分っすか?』みたいな会話程度」
サウナを経由することによって、より一層宴会で気兼ねなくコミュニケーションを取れるのです。
そうした想いが伝わり最近では、口コミで人が集まるようになってきています。サウナ好きな人が呼びかけているのもあり、実際に行ってみようかなという人が増えたのです。
業務外でのコミュニケーションの大切さ
業務時間内だけでなく、サウナや飲み会など業務外でコミュニケーションを取った方がいい理由があると言います。
橿本 「入社後に寮に入って、業務時間外に業務と関わりがない人と遊ぶと純粋に楽しいっていう気持ちになりました」
野田 「仕事中だと仕事が忙しくて、誰が何を考えているとか、その人の考え方とか人間性とかなかなかわからない。仕事外での話の方が人間性って見えてくるなっていうのもあって。
考え方とか人間性を知ると、業務中に失敗したり意見のぶつかり合いがあったりしても、この人ってこういう人だからこう考えているんだろうなと、腑に落ちていきます。
仕事外のことがむしろほとんど仕事に生きてくるという感じがしていて。仕事外でのコミュニケーションは非常に有効性が高く、大事にした方がいいのかなと思っています」
また、仕事をしていて納得感が行かないときに、業務外の時間に昇華していくのが大事だとふたりは言います。
野田 「サウナでも結構話しましたよね。『あのときってこうした方が良かったんじゃないですか?』って話になったときに、職場では時間がなくて話せなかったことや裏側の事情など深い話ができます。
そうすると次同じ状況があったら違う提案をしてみよう、みたいなのがサウナで生まれるんです」
サウナでのコミュニケーションの重要性を強調する野田と橿本。一方で、今後のサウナ・スパ班のあり方について懸念していることとはなんでしょう。
今後のサウナ・スパ班のあり方
橿本が懸念していること、それはサウナ・スパ班が内輪だけの集まりになってしまうことです。
橿本 「非公式時代にコアメンバーが37人『サウナにん』いたんですが、公式の班活動になって名簿の整理を一度しました。
語呂はよくても37人とかそういう上限をつけちゃうともともとの僕らのサウナ班の目的とは違ってくるので、そこは軽々と突破して370人、『サウナーにん』まで行きたいです。
コミュニティを広げて普段話ができなかった社内の隠れサウナ―の方々と、コミュニケーションを取りたいと思っています」
また、ふたりにはサウナ・スパ班の今後の活動についてさまざまなアイディアが。
橿本 「テントサウナというのがあって、レンタルとかできるので、車に積んで大自然の湖のところにもっていって、テントで汗をかいて湖に入る、みたいなこともやってみたいなと思っています」
野田 「当社でやっているチャリティランニングのサウナ版とか。当社のロンドンの現地法人の建物の地下にジムがあるので、昼に運動できるじゃないですけど、昼休みの1時間バっと入ってきて午後のパフォーマンスに生かしてみてもいいですね」
橿本 「会社の人との業務外の時間に、遊びに誘ってもらったら、楽しいから行きたいなと思うんですが、それが飲み会の一択になってしまうのは危惧しています。
そういうのにみんな飽きてきている面もあるんじゃないかなと思い、コミュニケーションを取る場の選択肢を増やすという意味でサウナをやっているというのもあります」
一方で、サウナ班に入ってきたメンバーには、サウナのマナーは徹底していきたいと話します。
橿本 「会社ではしっかりしていても、サウナ入って汗だくのまま水風呂に浸かられたら、『おいっ』てなりますね。そういうところって、お客様からもどこかで見えてくると思います」
礼に始まり礼で終わるのは、サウナも同じ──。これからも、ふたりはサウナ・スパ班の活動を通して社内を活性化していきます。