幼いころから親しみを感じていたITを、官公庁のシステムを通じて仕事に
第三公共事業本部デジタルプラットフォーム事業部のシステム開発担当として、現在は官公庁の会計システムの保守業務に携わる山下。大学院修了後NTTデータに入社を決めた背景には、幼少期から身近にあった“IT”への親しみや興味がありました。
山下 「実家にパソコンがあったので、7~8歳のころから自然と触れていたのを覚えています。そのころから漠然と“IT”に対する興味はありました。学生時代は情報工学分野の情報可視化手法をテーマに研究して、院まで進んでいます。そのまま研究職を続けることも考えましたが、研究をサービス化して社会に還元したいという思いから、IT業界にフォーカスして就職活動を始めました。
具体的にどんな領域に携わるかまでは想像していませんでしたが、社会に対してインパクトの大きい、ミッションクリティカルなシステムに関わることが希望のひとつでした。その観点で合致した事業を展開しているため、NTTデータへの就職を決めました」
NTTデータ入社後、山下が配属されたのは官公庁のシステムを扱う現部署です。大学時代の研究分野とは異なる領域でも、山下は素直に受け入れました。
山下 「やっているうちにおもしろさが見えるだろう、まずはやってみよう、という姿勢で挑みましたが、入社1年目はただがむしゃらにやるだけで精一杯。当たり前のことかもしれませんが、わからないことだらけです。
私たちのチームが扱う官公庁の会計システムはまさに社会基盤と直結する大規模なもので、自分が思い描いていたミッションクリティカルなものでした。その規模感に圧倒されつつ、日々の業務の地道さを痛感していましたね」
当時は入社前に抱いた印象とのギャップを感じることも少なからずあったと振り返る山下ですが、2年目以降、少しずつ官公庁のシステムに携わる“おもしろさ”を体感していきます。
社会を見る視座が変わった──国のシステムを担う保守運用業務
──自分の手で守るシステムが、社会や時勢と直接関わっている。
その感覚に目覚めたころから、山下の中で仕事への向き合い方が変わっていきました。そのきっかけになったのは、日本のある大きな転換期でした。
山下 「元号が平成から令和へと切り替わる際、システム内の元号に関わる部分を令和へと切り替える業務にあたりました。国のシステムでは、西暦ではなく和暦を用いるところが多くあります。ニュースなどで流れる社会情勢と自分の仕事が直結しているという手応えを、しっかりと感じたきっかけです。
それから、今まで以上にニュースや時事などを確認するようになりました。国がどのような方針を定めていくかキャッチアップして、準備する必要がありますから」
お客様の「今」と「未来」双方に対応していくのは、簡単なことではありません。官公庁のシステムの運用保守に携わる立場として、山下は事前準備を徹底しています。
山下 「お客様からの相談や依頼で発生する日々の業務に加え、政策動向などによって今後システムにどのような影響が及ぶかを予見しながら事前準備することも仕事です。
官公庁のシステムは国の政策や予算と連動しているので、自分たちの意志だけで方針を決められません。ときには政策や予算を前提として、システムや技術上実現可能か、事前に検討し、準備を進める場合もあります」
入社以降一貫して官公庁のシステムに携わり、機能追加や新組織設立などに関連する案件を担ってきた山下。ひとつずつ案件を重ねてきたそのキャリアの中で、とくに大きな成長の機会となったのは、入社3年目のことです。
NTTデータで入社2年目まで設けられる1対1のトレーナー制度が終わり、山下がいよいよ一人のビジネスパーソンとして歩み始めるという年、奇しくもそのトレーナーと、頼りにしていた同グループの先輩が異動するタイミングが重なりました。これまでの業務に主体で関わるのが山下となり、リーダーシップを取る立場となったことが、大きなターニングポイントとなりました。
山下 「入社3年目で案件の責任者になって、正直おどろきました。上司から『リーダーとして山下はこの案件をどう考えているのか』と問われ続けたことが印象に残っています。
もちろんわからないことは周囲の人に訊きながら進めていたのですが、自分が担う責任に対する自覚を強められた点で、この経験は成長につながりました。知識が足りない中でもがむしゃらに頑張って、自分で理解してやり抜くという覚悟を持てたことが大きかったです」
入社4年で迎えた世の中の大きな変化。求められるのは、柔軟な対応力とやり抜く力
大きな山場を乗り越え、4年目に見える景色はまた異なるものになってきました。今度は自身がトレーナーとして後輩をサポートする立場となったその年は、ちょうどコロナ禍を迎えた年でもあります。
山下 「4年目はコロナ禍に伴う支援施策などのため、運用支援や開発などが増えました。社会が大きく動くとき、私たちの仕事もまた大きく変化します。
保守運用業務は、非常に高いレベルの安定稼働が当たり前とされていて、一般的には地道なイメージを持たれることも多いと思います。しかし、コロナ禍やデジタル庁の設置などで、世の中の動向が著しく変化するようになり、保守に求められる内容も変化していると感じた年でもありました」
なかでも特に印象に残っているのは、ある給付金に関わる官庁会計システム案件です。
山下 「給付金は、各自治体から支払われ国民の方が受け取るものですが、その大本は国全体の会計であり、さまざまな関係機関を経て支払われるものです。どのようなスキームであればスピーディーかつ正確に支払うことができるか、懸念点や課題を洗い出し、実現に向けてさまざまな機関と調整し、検討を重ねました。
短期間で進めなければいけない案件でしたが、あらゆる人の力を借りながらやり切れたことが自信につながりました」
激動の年に入社した新人たちは苦労も多かったのではないか、と山下は振り返ります。
山下 「私はがむしゃらに頑張るスタイルで山場を乗り越えてきましたが、それが誰にでも適した方法とは限りません。トレーナーになったことで、後輩がどんな経験をすれば成長できるか考えるようになりました。今私が向き合っているメンバーは、みんな前のめりで頑張ってくれています」
山下は自身の入社当初の感情を重ね、現在後輩たちにとくに伝えていることがあります。
山下 「入社したてのころは、大規模なシステムの保守運用業務を地味な仕事だと感じてしまう人が多いと思います。自分もそうで、経験を通じて初めて社会と自分の仕事の接点に気づきました。だからこそ後輩には、この仕事は世の中を支えているんだということを、しっかり伝えるよう心がけています」
お客様とその先の社会に寄り添い、システムの安定という価値を提供していく
山下 「これまで携わってきた業務の延長線上にある目標ですが、今後も開発・運用双方やっていきたいと思います。そのベースにあるのは、お客様の立場や業務への理解です。
NTTデータで働いていて一番良かったと思うことは、お客様との距離が近いことです。私たちが扱う国に関わるシステムは、お客様との信頼関係があってこそ任せていただけるもので、システムを作るために必要な情報を深く教えていただけるのも、これまでNTTデータが培ってきた信頼の証だと思っています」
長年社会のインフラを支えるシステムに携わってきたNTTデータだからこそ、お客様に提供できる価値。それこそ山下がやりがいと感じていることであり、今後NTTデータを支えていく後輩たちに伝えていきたいところです。山下はすべての仕事に通じるのは、お客様への理解だと繰り返します。
山下 「私のように保守運用の立場からコツコツと積み上げていく方法もあれば、営業の立場でお客様の将来を見据えた提案をする方法もある。どの仕事にしても、お客様への理解が深くなければできません。お客様に寄り添い、最適な方法を検討していく経験ができることが、NTTデータで働く醍醐味です。
そして、保守運用は地味な仕事という印象があるかもしれませんが、それだけではない、ということも伝えたいです。官公庁のシステムに関わる保守運用は、世の中と深く結びつき、社会をより良くするための一端を担っている仕事です。私もはじめはなかなか実感が持てませんでしたが、経験を通じてわかっていくことなので、ぜひNTTデータでその経験をしてほしいですね」
保守運用のプロフェッショナルとしてキャリアを重ね、ひたむきな情熱を胸にシステムと向き合う山下。その仕事の先には、社会の変化や人々のより良い生活があります。お客様との間に築いてきた信頼を土台に、グループを率い、山下の日々の積み重ねは続きます。