運用保守、営業、開発──それぞれで学んだことが要件定義の礎に

NTTデータのデジタルコミュニティ事業部で地方自治体における税務基幹システムの更改案件について、お客様の要件定義の支援を行っている中村。お客様の声を聞きながら、まだ形の見えない課題やニーズを浮かび上がらせ、設計へ落とし込むフェーズの業務を担っています。

中村 「お客様と一緒に悩みながら、手探りで最適解を探していくプロセスは大変です。一方で、アイデアを出しつつ抽象的な課題の解像度を高め、具体的な形を導き出していくことに、おもしろさを感じます」

中村が現在の部署に異動したのは、2021年のこと。これまで携わっていたのはシステムの運用業務です。運用から要件定義の支援へと立場が変わったことで、業務内容の変化に戸惑いを感じたこともあります。

中村 「これまでやってきた運用業務はシステムのサービス開始後の工程ですが、要件定義は最初の工程です。両者は同じシステムに関わる仕事でも、まったく異なる業務と言えるでしょう。2022年2月現在で異動して半年ほどが経ちましたが、いまだに日々新しいことに挑戦する気持ちで業務に向き合っています」

振り返れば、中村はさまざまな立場から行政関連のソリューションに関わってきました。学生時代は情報理工学部にてメディア情報を専攻し、その延長線上でNTTデータへの入社を希望。入社当時は開発職を希望したものの、最初に配属されたのは営業職でした。

中村 「営業は会社の仕組みや資金繰りについてなど、ビジネスの基礎を学べる立場でした。その後、同じ事業部内の開発担当となり、個で働く側面の大きい営業と一転、チームでの働き方を学べたと思います」

営業、開発を経た後に運用担当へ。その後は運用業務に7年間関わり、リーダー職も経験しました。さまざまな視点を持ちつつ、運用担当者としてのキャリアを深めていった中村は、保守運用の仕事に対して静かなモチベーションの灯火を燃やすようになります。

着実に一歩一歩──課題解決のために“人”の幅を広げて進んできた

中村 「運用業務の一歩一歩は小さなものですが、少しずつよくなっていく感覚が掴みやすいのが魅力です。振り返ったときに、改善されているという手応えがあることが、運用担当者のやりがいだと思います。

とはいえ、時にはゴールが見えにくく、モチベーションが保ちにくいこともあります。そんなときは、自分が一歩進んだ姿やイメージを明確に持つようにしています。遠い道のりの先にあるゴールはイメージしにくくても、一足先の状態は想像しやすいものです」

中村は日々の業務改善に宿る確かな前進の感覚を胸に、保守運用の業務に真摯に向き合ってきました。しかし、定常業務は高い評価を得られづらいという点について、フラストレーションを感じたこともあります。

中村 「システム運用は、定期的なメンテナンスや同じ作業の繰り返しなど、定常業務が占めるウエイトが大きいんです。担当者は、これらの業務をミスなくこなして初めて及第点をもらえます。つまり、スムーズに定常業務をこなせても、すぐに良い評価につながるわけではありません。ある意味モチベーションを維持するのが難しい環境ですね」

そんな中で、中村が考えるようになったのが、自分やチームのメンバーが定常業務を効率化するための取り組みです。業務を効率化することで全体の生産性を高め、プラスの価値へと結びつけようと試みました。

中村 「ただし、ただ効率化に取り組んでも、生み出した時間を活かして付加価値を創出できないと意味がありません。うまくいかないうちはずいぶんと悩み、もがきました。

このとき、一つ大きな転機となったのは、コミュニケーションの幅を広げたことです。例えば、営業担当と話す機会を増やしたり、課長や部長など上層部に向けて自分の意見を訴求したりということを意識するようになりました。

これまでは先輩やチームのメンバーなど、自分の手の届く範囲の中だけに共有し、どうにかしようとしていたことを、少し違う方向で解決しようと心がけました。もちろん決して簡単なことではありませんでしたが、そういう挑戦をしたことで、大きく成長できたと思います」

客観的視点で柔軟に適応する──役割に縛られないマインドセット

営業、開発、運用、そして要件定義支援と、中村はさまざまな立場からお客様へのソリューション提供に関わってきました。業務内容はそれぞれ異なるものの、一貫して大切にしているのは、コミュニケーションを取ることだと話します。

中村 「入社して間もない頃、研修などでコミュニケーションの重要さを口酸っぱく説かれたのを覚えています。実際にその教えを真面目に実践したことが功を奏して、乗り越えられた壁も多くありました。

例えば、一緒に働くメンバーとしっかりコミュニケーションを取っておけば、それぞれの強みと弱みを自然と把握できるんです。すると、お互いの強みを活かせる作業分担ができます。この人はここが得意だから、自分は別のところを担当しようというふうに、チームワークをうまく発揮しながら仕事を進められます」

チームに対し、俯瞰した視点で最適解を模索する中村。その視点の柔軟さは、新しい領域の業務を任された現在にも活かされています。

中村 「要件定義の業務では、運用とは考え方を逆転させています。運用と要件定義は両極にある仕事なので、同じように考えると、目的とずれてしまうんです。運用は、全体のインパクトを考え、メリットを鑑みて優先順位を決めていきます。

かたや要件定義は、数年後の社会、今はまだ見えない未来といった視点から答えを導いていきます。後者の要件定義を担当している現在は、運用での経験をベースにして、一歩先のことを考えて動けている実感があります」

ミクロとマクロの視点、工程の違いによって移動する視点。そういった変化について、中村は慣れるものだと実体験から振り返ります。

中村 「運用を担当していた頃も大変でしたが一歩ずつ着実に成長できたと思います。要件定義の仕事の大変さはありますが、大変さの種類が違うだけかな、と。新しいことに取り組む際は慣れるまでの期間が必要で、今はその段階なんだと感じています。ですから、慣れないことに対してもポジティブな気持ちで臨んでいます」

1本の軸だけぶらさず、自分自身の市場価値を高めていきたい

中村 「7年間の運用業務から、私は多くのことを学びました。一方で、ずっと同じシステムを見てきたので、知見の幅が狭いのではないか、と自分の市場価値について課題を感じることもあります。

社会課題を解決していくためには、単にソリューションを作り出すだけでなく、そのソリューションをどう使いこなしていくかも重要です。今後はさまざまなサービスやシステムに触れ、知識や経験を重ねることで、そこに対応できる自身の引き出しを増やしたいです。

もちろん、この目標には今の要件定義の仕事での成長も含まれます。業務から得られる経験を、自身の強みにしていきたいです」

では、増やした引き出しや培ったスキルを“どこで“活かすか。その問いに対する中村の視点は、やはり柔軟かつ俯瞰したものです。

中村 「今までの経験上、『これをやりたい』と強く思ってしまうと、頭が凝り固まってしまうんです。また、やろうと強い意志で決めたこともいつの間にか変わったり、変わらざるを得なかったりすることも少なくありません。

そのため、キャリアよりも、よりよい自分でありたいという目標を掲げ、それにしたがって進んでいきたいと思っています。今であれば、自分の市場価値を高めることが最優先。それ以外はフレキシブルに捉えていきます」

一歩引いた視点から周囲や業務、そして自分自身を捉え、前向きに一歩ずつ歩んできた中村。そのキャリアの柱には、どんな環境にも対応できる一本通った芯がありました。

中村はこれからもソリューション提供の現場で経験を重ねながら自身の市場価値を高め、社会課題に向き合っていきます。