ITの力を駆使して、安全な防災ソリューションの実現を目指す

2003年NTTデータに入社した中は、2022年現在、ドローンやAIなどの先進的なデジタル技術を活用した防災・減災ソリューションの企画・提案・デリバリ業務に従事しています。

中 「災害発生時は、避難経路の確保のため、状況把握が必要です。しかし、道路状況や河川の増水を確認するために災害現場に近づいた人が、二次災害に巻き込まれるケースも想定されます」

人の操作を必要としない自律飛行のドローンを活用できれば、安全で素早い状況確認が可能となります。ITの力を駆使して安心・安全な防災ソリューションの実現を目指すNTTデータは、こうしたソリューションの社会実装に向けて、2021年7月、災害対策業務をトータルで支援するデジタルプラットフォーム「D-Resilio(ディーレジリオ) 」を創設しました。

中 「D-Resilioはこれからの防災の在り方を象徴するプラットフォームです。Dは『デジタル』や『ディザスター(災害)』、レジリオは『レジリエンス』のラテン語で『強靭性』という意味、そしてその間のハイフンに『つなぐ』という思いを込めています」

D-Resilioは、災害対策業務において必要な情報収集、意思決定、そして応急対応の各フェーズにデジタル技術を活用し、災害の広域化・複合化にも対応し得るよう、関係機関とのリアルタイムな情報連携を実現します。

中 「内閣府やインフラ企業をはじめ、さまざまなステークホルダーが持つ情報を滑らかに流通させる仕組みを、ITの力で作りたいと考えています。災害の激甚化が進む昨今、官民連携のもとで協調領域を最大化していかなければ、広がり続ける被害に立ち向かうことはできません」

“官と民の橋渡し“となるポジションを担う中は、スケールの大きなビジョンからあらゆるプレイヤーを巻き込むべく、マスメディアの取材対応を通じた発信など外部とつながる契機も積極的に追求しています。

アーキテクチャに魅せられ、官の視点を通じて知ったNTTデータの立ち位置

中の関心領域のひとつに、“アーキテクチャ“があります。ソフトウェアにおいてアーキテクチャとは、構築スタイル、または構築方式のことです。元々は建築学上の言葉であり、「建築構造」「建築様式」「建築術」を意味します。そこから派生して生まれたのが、ITにおけるアーキテクチャの概念です。

中 「例えば、『ある飲食店では回転率を高めるために、椅子を硬くしている』という話があります。一見自発的に見える行動の裏に、アーキテクチャが仕組んだ見えざる意図があることに、おもしろさを感じました」

学生時代から関心を抱いていたアーキテクチャの考え方と、ITシステムを影で支えるNTTデータの事業との間に、共通点を見出した中。直接的に気づかれないところで社会のさまざまな仕組みに影響する事業を広く手がけていることに惹かれ、自分もその一端を担いたいと入社を決意します。

中 「入社後、数年はエンジニアとしてソフトウェア開発を担当していました。NTTデータでは、大規模システムの開発に携わることも少なくありません。そのため、提案から完成まで5年ほどかかるケースもあります。根気の要るプロジェクトでしたが、ソフトウェアアーキテクチャを設計していく過程は、やりがいがありました」

狭義のITアーキテクチャに魅せられ、キャリアの前半は技術面を磨くことに熱中しました。その後は、新規事業の開発や経済産業省への出向を経験し、さらに活躍の場を広げていきます。

中 「NTTデータは、民間企業と国の機関との人事交流を目的とした『官民人事交流制度』を活用しています。この制度にならい、経済産業省に2年間出向しました。

経済産業省は、ありとあらゆる産業を所管しています。産業政策における課題や解決策を見出すべく、現場で集めた情報を元に仮説検証を繰り返し、法律、税制、予算を構築していく。それが、経済産業省の主な役割です」

圧倒的なスピード感と情報密度に触れた2年の出向経験は、中に大きな成長をもたらしました

中 「短期間で多くの事業者やプレイヤーと出会い、密度の高い経験を積み重ねたことで、新たな行動様式がインストールされたような感覚があります。また、ほぼすべての産業にITが浸透している現状を知ったことで、NTTデータが担うシステムインテグレーターの意味合いを、改めて客観的に認識できました」

上長の背中が教えてくれた、アサーティブネスがマインドを一転させた

どのような現場においても、ポジティブなメンタリティを保ち、キャリアを積み重ねてきた中。相手を否定しない、前向きなマインドを持つきっかけとなったのは、システム開発時代の上長の存在でした。

中 「かつて炎上プロジェクトの真っ只中にいた経験があります。当時の私は、起きた問題に対し、否定から入るところがありました。

しかし、上長は現状を一切否定せず、すべて肯定的に捉えながらも必要な意見を述べるスタイルで、修羅場の渦中にあるプロジェクトを進めていきました。状況をより良くし、解決に導くべく先頭に立つ者の背中を見せつけられ、自身の仕事に対するマインドが一転しました」

相手を尊重し、誠実かつ対等に自分の意見を伝える“アサーティブネス“は、ビジネスパーソンが意識したいコミュニケーションスタイルの一つです。厳しい現場で上長から学んだ前向きな姿勢は、横断的な防災領域で事業を推進する原動力にもつながっています。

中 「厳しい規制があるなら、それを変える方法を考える。AIやドローンの能力が人力に及ばないなら、開発を進めてさらなるアップデートを目指す。スピード感を持って仕事に取り組むためには『何が起こっても大丈夫』と思えるメンタリティが必要です。

起きた問題に対して真摯に向き合い、新しいルールをお客様と共につくり上げる心づもりで、事業を進めています」

新規事業では、走りながら考えることも珍しくありません。足りない部分を嘆いて足を止めるのではなく、目の前の課題を前向きに捉えて改善へとつなげるマインドを武器に、中は防災ソリューションのアップデートを意欲的に進めています。

ベンチャー協働、グローバル展開──影響力を活かして次のステップへ

経済産業省に出向していた時期に、“NTT”のブランド力を捉えなおした中は、NTTを冠したグループ企業が世の中に与える波及効果の大きさを改めて認識しました。

中 「NTTグループは、GAFAなどのグローバルプラットフォーマーにも対抗しうる日本で数少ないプレイヤーのひとつです。ドローンやAIを活用した防災ソリューションの実現を目指すD-Resilioをはじめ、難しい事業にも臆することなく挑戦しています。われわれの影響力を認識したうえで、マーケットからの期待に応えられる存在でありたいですね」

また、中が担う防災領域では、NPO法人などの市民セクターとの連携も課題解決の鍵となります。NTTデータの影響力を活かして幅広い人脈をつないでいくことこそ、災害大国日本における人々の安心・安全な暮らしを実現する第一歩と言えるでしょう。

中 「自身の片足はNTTデータに、そしてもう片足はNTTデータの外側に置くよう心がけています。政府部門、民間部門、非営利部門の密な連携が叶えば、防災ソリューションはさらに磨きあげられたものになっていきます」

同じ志を持つあらゆるステークホルダーが一致団結して目標に取り組むため、NTTデータはベンチャー企業との連携にも力を入れています。

中 「ベンチャー企業ならではのスピード感は、われわれが事業を推進していくうえで重要です。スピード感を出していくことはNTTデータの課題でもあるので、さまざまなベンチャー企業との連携を通して、その点を学んでいきたいですね。

また、今後はグローバルな事業展開も視野に入れています。国内で確立したモデルを海外に拡げ、ビジネスの観点でも豊かなスケールを目指したいです」

広い視野とポジティブなマインドを持ち、内外の橋渡し的な役割を担う中。官民の潤滑油となり、人々の安心・安全な暮らしを支える礎を築くべく、防災ソリューションの可能性の拡大を探ります。