MD communetから始まる社会課題解決の道のり

2021年4月、NTTデータよりリリースされた交通環境情報ポータルサイトMD communet。“交通環境情報“と呼ばれるモビリティ関連データを一元的に集約した、ビジネス創出のためのマッチングサイトです。

交通環境情報の種類は、車両プローブ情報(※1)や3D高精度地図データなど、さまざま。それらの情報を保有するステークホルダーや、利用したい企業をマッチングする本サイトは、モビリティ領域のイノベーションを創出することを大きなテーマとしています。

このMD communetの普及促進リーダーを務める中島は、MD communetのユースケース創出やビジネスマッチングのサポート、全体のプロジェクトマネジメントなどを担当。さらには、企業、官公庁、団体へのデータ提供依頼や新規会員開拓なども行っています。

中島 「MD communetは、内閣府が提唱するSociety 5.0(※2)を実現するためのプラットフォームとして生まれました。モビリティ領域と他領域のデータを掛け合わせたソリューション創出によって、社会課題を解決していきます。

例えば物流業界では、EC市場の普及などが要因となって荷物量が増加し、それに伴った人手不足が深刻化しています。運び手一人にかかる労働負荷が大きくなり、十分な休憩が取れなくなっていることは、社会課題の一つと言えるでしょう。

モビリティデータを活用し、輸送経路の最適化や休憩スポットを加味したナビゲーションができるソリューションを生み出せば、物流業界で働く人々の労働環境の改善が実現します。MD communetは、こうした社会課題解決につながるビジネスマッチングの場として機能します」

MD communetは、内閣府が中心となって推進する戦略的イノベーション創造プログラム(以降、SIP)の一部としてスタートしました。

しかし、本プロジェクトに関わるメンバーの多くが、他にも業務を抱えながら本プロジェクトに対応していたこともあり、中島がリーダーとしてMD communetが一般公開されるまでの道のりを牽引してきました。

中島 「MD communetというサービス名の名付け親も、実は私です。ありがたいことに、事業部内では『中島さんのMD communet』と言われることも増えました。

試行錯誤の準備期間を経て2021年4月に一般公開されたときはホッとしましたが、サービス公開はあくまでスタートラインです。ここからまた、社会課題の解決という壮大なゴールを目指して走るんだと気を引き締め、普及促進に努めています」

(※1)自動車をセンサーと見立て、走行中の自動車から通信ネットワーク等を通じて得られる位置や速度などの情報。

(※2)内閣府が『第5期科学技術基本計画』にて定義した、仮想空間と現実空間を融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する“人間中心“の社会。

何があっても楽しむ姿勢を忘れない──MD communet誕生の裏側

▲上司とプロジェクトメンバー

中島が、転職三社目となるNTTデータに入社したのは、2019年10月のこと。キャリア選択に一貫して根ざしていたのは、「社会の役に立つ仕事をしたい」という想いでした。

中島 「将来、子どもたちやその先の世代に受け継がれる事業に携わりたいと、新卒の頃から思い描いてきました。よりインパクトの大きい事業に関わりたいと考えていたので、社会インフラに近いことは転職時に重視していたポイントです。

加えて、自分で新しいサービスをゼロから作る経験がしてみたいと思ったため、NTTデータへの転職を決めました」

前職の知見を活かせるという理由で、モビリティ領域に関われるソーシャルイノベーション事業部の営業企画へと配属が決まった中島。入社直後からMD communetの立ち上げに挑むことになりました。

中島 「はじめは不安で、『新規ビジネスをやったことはないし、失敗したらどうしよう。どう進めればいいんだろう』と考えていました。ですが、プロジェクト責任者である上司(現統括部長、当時の部長)に言われたんです。『まずは中島さんがやりたいようにやりなよ。まずいなと思ったら止めるし、軌道修正が必要そうだったらアドバイスするからさ』と。

それからは、合っているかどうかは関係ない、まずはやりたいようにやってみよう、自分の思いを形にしてみようと決意しました」

IT業界未経験からのスタートでしたが、学びながらやればどうにかなる、と中島は前向きな一歩を踏み出します。

中島 「とはいえ、マニュアルも人脈もない状態でのスタートだったので、はじめは大変でした。わからないことは書籍やインターネットで調べて、それでもわからなければ人に訊いて……。とにかく“プロジェクトを止めない、諦めない“という思いで、優先順位をつけてプロジェクトを進めました」

MD communet公開までの道のりを支えてきたのは、社内やパートナー企業との連携と協力です。そしてその背景には、入社直後でもためらわず周囲に質問していった中島の推進力と、NTTデータに根付いている「互いに助け合う社風」がありました。

中島 「周囲のメンバーはみんな優しくて、質問には真摯に応えてくれます。だから質問したほうが成長できるし、より早くMD communetを形にできると確信しました。あらゆる人に協力を仰ぎながら走り回っていたからか、入社半年が経つ頃には『あれ、2~3年いるよね?』なんて言われるくらい社内になじみました(笑)」

自分が止まればすべてが止まる。決して生半可な気持ちでは挑めない。新規プロジェクトを背負った中島を支えていたのは、あるマインドです。

中島 「どんなことがあっても仕事を楽しむことを大切にしてきました。MD communetが生まれるまで、辛いことも多くありました。MD communetの構想について、社外の知人から『きっと儲からないからやめておけ』と言われたときは、本当に悔しかった。でも、その気持ちをバネに、絶対に成功させてやると決めたんです。

仕事を楽しみ、愛着をもつこと。失敗すれば反省はするけれど、後悔は残さず、前進すること。その姿勢を大切にしてきたから、ここまで来られたと思います」

イノベーション創出を支えるNTTデータの組織力とブランド力

▲メンバーとのディスカッション風景

実は、入社前にはNTTデータに対して「厳格で堅い」、「ゴリゴリのSIerとして、国の大規模システムを担う」というイメージを持っていた中島。入社してから、その印象は誤解だと気がつきました。

中島 「実際は、柔軟でイノベーティブな会社なんですよ。私が所属しているソーシャルイノベーション事業部には特に、『新しいことに挑戦しよう』という意欲があると感じます。

私がMD communetを任されたように、若手にオーナーシップをもたせるカルチャーも浸透していますし、困っていたら手を差し伸べる体制や環境も整っているので、新しいことを成し遂げたい人にとっては働きやすいと思います」

また、イノベーションを興すこと、新しいことに挑戦することに焦点をあてれば、NTTデータにはもうひとつの魅力があるといいます。

中島 「実際に働いてみて痛感したのは、NTTというブランド力の強さです。対外的に協力を仰いだり提案したりするとき、多くの企業がNTTという大きな母体に信頼を寄せてくれます。歴史が積み重ねてきた信頼があることは、多くの企業を巻き込んだイノベーションを興していくうえで、推進力になると感じました。

また、困ったことやわからないことは、社内だけでなく、グループ会社を頼っていいという安心感も絶大なものです。こうした確固たる地盤のうえで新しいことに挑戦できる企業は、なかなかないと思います」

MD Communet商用化に伴い、ビジネスマッチングのプロになりたい

▲事業部メンバーと鋸山へサイクリング

転職時に願った通り、社会課題を解決するMD communetというサービスをゼロから生み出し、公開まで導くことに成功した中島。ここから始まるMD communetの本格的な普及を見据えながら、自身のキャリアにもある目標を掲げています。

中島 「これまで私は、専門領域をあまり意識せず働いてきました。しかし今後は、MD communetの普及促進を通じ、私自身がビジネスマッチングのプロとしての専門性を確立していきたいです。

コンサルタント的な知見や技術を磨くことで、交通環境情報に関わる企業がイノベーションを興す一歩をサポートする人材として、成長していきたいですね」

一般公開後のMD communetは、次なる2023年の商用化に向けて準備を進めています。2022年現在はSIPの一部ですが、2023年以降は独立し、事業化される予定です。それは、ビジネスとしてのMD communetの価値を追求する旅の始まりとも言いかえることができるでしょう。

中島 「MD communetが独り立ちしたあとは、社会基盤としてその価値を根付かせていくことが何より大切だと感じています。それに伴って事業規模もスケールしていくので、組織運営や人材育成にも本格的に力を入れていく必要があります。

また、MD communetの事業としての成功をもたらすことで、モビリティ領域におけるNTTデータの存在感を強くしたい、とも考えています。今後は国内だけでなく海外の案件にも挑戦しつつ、交通環境情報をもとに社会課題を解決するNTTデータというイメージを確立していきたいです」

MD communetを起点に、広く社会の問題を解決していきたいと願う中島。その願いを実現する歴史と体制、カルチャーをもつNTTデータで、今後も多くのイノベーションを生み出し、豊かな社会づくりの一端を担います。

交通環境情報ポータルサイトMD communet