長年のキャリアを経て出会ったITサービスマネジメント領域とその意義

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1998年NTTデータに入社した阿部は、2022年現在に至るまで、主にインフラ系企業のシステム開発やプロジェクト管理の経験を積み上げてきました。

阿部 「ICクレジットの仕様策定、PM系補佐業務、新規プロジェクトのインフラ系リーダーやPMOなどを経験後、2010年の配置転換で維持運用系の担務に従事したことが、ITサービスマネジメント領域との出会いです」

ITサービスマネジメント(以降、ITSM)とは、ユーザーニーズにあったITサービスを提供するために必要な活動全般のことです。ユーザーが必要とするITシステムやITサービスの保全・管理と、それらの継続的な改善を実現する仕組みづくりが主な役割です。昨今は社内IT人材のリソース不足解決やDX促進など、さまざまな観点からこのITSMの重要性が語られています。

2022年現在、阿部は12月開始予定のITSM関連サービス開始に向け、その準備や設計・開発を担当しています。

阿部 「私がここまで早い段階でプロジェクトに参加することが決まったのは、後々の運用コストを見据えたことだと理解しています。それだけ社内でもオペレーションの自動化や長期的に見たコスト削減の重要性が高まっているということです。その重みを受け止め、これまでの経験を活かして目標を達成できるよう、尽力しています」

信頼関係の構築を基盤とした「人」重視のシステム運用

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阿部が仕事で最も重視しているのは、お客様とチームメンバー、双方とのコミュニケーションです。業務に関わるステークホルダーとの信頼関係があってこそ、価値を生み出す仕組みをつくることができます。

阿部 「システムを最終的に使うのは『人』です。現場のお客様と一緒につくりあげていくことで、初めてシステムはうまく回ります。そのことを肝に銘じ、お客様からのご意見を受け止めつつ真摯に対応すれば、お客様と喜びを分かち合いながら、より良いシステムを目指すことができます。お客様の温度感を直に感じられることが、システム運用に携わる一番のやりがいです」

一方、社内チームマネジメントにおいては、メンバーの精神面にフォーカスしたコミュニケーションを意識する阿部。特に後進の育成においては、相手の立場に立ったフォローに力を注いでいます。

阿部 「ITSM系の仕事は、はじめのうちはモチベーションを保つのが難しいという課題があります。そこで新人や若手と接するときは、モチベーション維持につながるようなフォローを心がけています。

システム設計の経験は、失敗も含めて必ず自分の糧になるものです。失敗もプラスと捉えるマインドを伝えていくことで、メンバーの仕事に対する気もちが途切れてしまわないよう鼓舞しています」

関わる人々とともに、仕組みそのものをより良くすることに注力する。そんなITSM人材としてのプロフェッショナリズムは、こうしたコミュニケーションに対する細やかな配慮から育まれたものです。

そして阿部自身のモチベーションは、システムを支える立場だからこそ感じられるやりがいから生まれていました。

阿部 「阿部がいるから大丈夫。そう言ってもらえるような、いわば“最後の砦“のような安心感を与えられる存在であることにやりがいを感じています。ただし、私ひとりでできることは決して多くありません。だからこそチーム全体のスキルを高め、互いに支え合い、お客様とともに歩んでいくことが大切なんです」

こうしたITSM人材としてのスキルや視座の背景には、阿部がこれまで重ねてきた経験と失敗、そして学びがありました。

PMO時代の苦難が教えてくれた、システム運用に必要な2つの軸

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2007年。新規プロジェクトのインフラ系リーダーとPMOリーダーを兼任していた阿部は、お客様からのご意見を受け、現実的に難しい部分を含めて対処しようとしていました。

阿部 「お客様のご要望を受けとめるのは、とても大切なことです。しかし、ただ受動的なだけでは、かえって迷惑になってしまうこともあります。メリットだけでなくデメリットもお伝えするためには、日ごろから丁寧なコミュニケーションをとり、信頼を構築することが大切です。

あの頃の自分は、お客様の思いを受けとめつつシステム運用のプロとしてのご提案をお伝えすることができませんでした。また、社内チームの雰囲気づくりやモチベーション向上に対する視座も浅く、メンバー同士の連携も不足していました。こうして振り返れば、悔やまれることばかりですね」

当時担当していたプロジェクトが解散という結果に終わり、経験不足に対する強い反省を抱いた阿部。その苦い経験こそ、後の信頼関係を軸とした仕事術を築く固い地盤となりました。そして、阿部はそこから数々の経験を重ねていくうちに、ITSM人材としての姿勢やノウハウの全体像を少しずつ掴み取っていきました。

阿部 「お客様にシステムを利用してもらい、価値を生み出すこと。今までかかっていたコストを削減すること。この2点がITSMのミッションです。

そして、それらのミッションを達成するために大切になってくるのが、優先順位です。すべての業務を均等に扱うのではなく、コストや想定されるトラブルの度合いなどをシミュレーションし、事前に業務の優先順位を設定しておかなければなりません。この優先順位があることで、同時多発的にトラブルが起こっても適切に対応していくことができます。すべてはお客様に安定したサービスを提供するために必要なことですね」

体系化されたITSMのノウハウを次世代に継ぎたい

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阿部が携わる領域やプロジェクトは、いずれも企業活動の根幹を担う重要な部分ですが、まだ多くの課題があります。そのうちのひとつが、システム運用の評価基準です。

阿部 「システム運用は減点法で評価されがちで、その評価基準が年々高くなる一方、予算は下がっていくのが現状です。このままでは高いレベルの運用システムを維持するのは難しいため、携わる人材のモチベーションを高めるためにも、加点法で評価できる基準を見いださなければなりません」

そしてITSM人材が相対的に少ないことも、大きな課題です。その要因として挙げられるのは、プロジェクト内に情報が閉ざされ、組織知が広まらないことです。NTTデータではこの課題を改善すべく、ITSM関連ノウハウの共有会を実施しています。

阿部 「共有会では、課題共有や障害の自動対応、お客様との連携に関する知見などについて学ぶことができます。ノウハウ共有会に参加することで、私自身も新しい技術に対しての視野が拓けました。AI活用などの話も出てきており、これまでなかった領域にも挑戦していく機運があります」

自身のスキルやノウハウを次世代に継いでいきたいと考える阿部は、情報を共有しあう機会を有意義に活用することで、人材育成の幅を拡げたいと願っています。

阿部 「自分が引き継げるノウハウをチームメンバーには都度伝えているつもりですが、今後はより広い範囲で知見を共有し、ITSM人材の母数を増やしていけたらと思っています。はじめこそコストがかかりますが、ITSM人材が増えることで、トータルの維持コストは削減できるはずです。今後もより良いシステム構築を目指し、プロジェクトとチームマネジメントの双方の視座からできることをしていきたいです」

システム運用に誇りをもてる次世代の育成と、ITSMにおける評価基準の改革は、社会をより良くするシステム構築の実現へと結びついていきます。人々が安心して豊かな生活を送れる基盤をつくるため、阿部はこれからもITSMのプレゼンス向上に挑戦します。