家業をDX!? 身近な課題感が、IT業界に進む理由に

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 土田 康志

大学院で量子力学を専攻していた土田 康志。IT業界を志したのは、家業を営む両親の姿に思うところがあったからだったといいます。

土田 「実家は、水産物の卸売業をやっていました。電話とFAXを使った昔ながらの仕事のやり方で、大変そうにしている両親の姿を見ていたので、ITを活用していつか自分が両親を助けられたらいいな、と。学生時代は漠然とそんなことを考えていました」

いくつかの企業を比較検討した末に、幅広い業界での実績があり、事業規模においても国内トップクラスに位置するNTTデータを就職先に選びました。

そして、2011年に入社。最初に配属されたのは、旅行系のお客様の大規模基幹システム開発。当時プロジェクトは既に佳境を迎えており、試験工程からのプロジェクトに参画となりました。

土田 「とても難度の高いプロジェクトで、今思い返してもかなりハードな現場ではありましたが、『確実に故障を潰すことで、信頼に足るシステムをお客様に納品することができるんだ』という想いがあったので、怯むことなく前向きに取り組んでいました」 

約半年ほどして試験は一段落。同時に、土田は事業部を異動することに。

飲料業界のお客様を担当する事業部の一員として、新たなスタートを切ることになりました。以降、土田は「調達」「配車」「倉庫管理」といった、飲料メーカー事業に不可欠な業務支援システムの開発プロジェクトに、相次いで携わっていくことになります。

入社5年目で大規模プロジェクトのリーダーに大抜擢

最初の「調達」プロジェクトでの土田は、チームのメンバー。また、次の「配車」プロジェクトでは、システムの移行領域のリーダーを務めました。入社2~4年目のことです。

この間の経験から、土田は、その後の指針となる2つの気づきを手に入れます。

1つ目は、リーダーとしてのスタンスについて。それは、一番身近だった上司の振る舞いや姿勢が教えてくれたことでした。

土田 「高い推進力を持つリーダーほど、時に周囲の意見や感情を置き去りにしたまま、物事を前に進めがち。でも、当時の上司は、それとは一線を画するスタンスで、メンバーとの対話をとても大切にする方でした。

その姿を見ていて、自分もリーダーになった暁には、丁寧なコミュニケーションと対話を重視したい、と強く思うようになったんです」

2つ目は、「現場」を知ることの大切さについて。これは、配車のシステムをリリースした後の、ある反省からでした。

土田 「仕様通り・納期通りにリリースすることができたので、開発プロジェクトとしては成功と言って良かったと思います。

しかしその後、配車の現場からは、システムの使い勝手が十分ではなかったことを示唆する声が出てしまった。『現場主義』を徹底してシステム開発を行うことの大切さを肝に銘じるきっかけになりました」

その後、入社5年目のタイミングでスタートした「倉庫管理」のプロジェクトで、土田はシステムの開発、さらに全国の拠点に新システムを導入する一連のプロセスのリーダーに抜擢。土田が理想のリーダーとして尊敬していた、上司の推薦でした。

土田 「かなり大規模なプロジェクトだったので、自分のことを信頼して任せてもらえたのだと思うと嬉しかったです。あの時チャンスをいただいたことに、今でも恩義を感じています」

そして、倉庫管理プロジェクトのリーダーとなった土田は、自ら打ち立てた2つの方針を実践。

まず、メンバーとのコミュニケーションでは、メールや報告書ベースのやりとりに終始せず、オフラインでの対話も重視。一人ひとりと丁寧に向き合うようにしました。

土田 「日頃から丁寧なコミュニケーションを心がけていると、メンバーからの情報が集まりやすくなります。その結果、何かハレーションが起きる前に対応することができていました」

また、「現場主義」を徹底するべく、全国の拠点を訪問。倉庫内を歩き回りながら実際の業務を視察した上で現場担当者にヒアリングを行いました。業務の実態との乖離が生まれないよう、一貫して現場を重んじたのです。

「丁寧なコミュニケーション」と「対話」がもたらした信頼関係

こうした取り組みの甲斐もあって、倉庫管理のシステムは、お客様からも高評価をいただく成果を収めることができました。

土田 「全拠点への展開が完了した後、お客様からは『悲願を達成することができました』という感謝の言葉をいただきました。本当に嬉しかったですね」

約3年間、倉庫管理のプロジェクトに心血を注いだ土田。現在は、基幹業務へのERPパッケージ導入をミッションとするプロジェクトに携わっています。

関連する周辺システムは50以上。その分、関係者も数多く存在します。ここでも、土田が重視したのは、ぶれることなく「丁寧なコミュニケーションと対話」でした。

土田 「私はプロジェクトの途中から加わったのですが、最初に担当者の方々と集まった時に、表情が沈みがちであまりイキイキしていない印象を受けました。それは、各人が課題を抱え込んでしまっているからではないかと思い、気掛かりなことがないか、全員にヒアリングを行う機会を設けたんです」

すると、様々な意見が浮き彫りに。土田は、その一つひとつに対し対応を行い、意見を出した当人に結果をフィードバックしました。

土田 「その人の想定や期待通りに行く場合もあれば、全体最適の観点からそうはならない場合ももちろんありましたが、いずれにしても、発信してくれた意見に対し、何かしらのアクションを必ず返すようにしていました」

その真摯な対応の結果、まとまるのが難しいと思われた周辺システムの担当者とも信頼関係ができ、その後は全員が気軽に意見できる雰囲気ができあがっていったといいます。

倉庫管理プロジェクトを担当していた時に比べ、土田がリーダーとしてもう一段レベルアップしているのは間違いありません。

お客様への貢献と、後輩への還元をめざして

▲PJメンバー集合写真(前列右から3番目が土田)

そんな土田の、目下最大の目標は、お客様の事業戦略において重要な柱に位置づけられている、進行中のプロジェクトを成功させること。

その上で、より中長期的なスパンでの挑戦として、積極的な提案を通じてお客様のビジネスに貢献できる真の「パートナー」になることをめざしています。

土田 「これまで、システム開発を通してお客様や業界全体の課題を見聞きしてきたので、それらの解決に向けた提案をどんどんしていきたいです。お客様の事業戦略の実現に貢献していきたいですね」

さらに最近は、自身の担当業務の成功や、お客様に対する提供価値の向上だけでなく、「後輩社員の成長」にいかに寄与するかを考えることが増えているといいます。

土田 「後輩社員に対しては、『できることを確実にやってもらう』だけでなく、『一つ上のことにチャレンジできる』環境づくりをしています。私自身、倉庫管理のプロジェクトで上司がリーダーを任せてくれたことが、その後の糧になりました。だからこそ、同じことを後輩社員にしていきたいです。そして、自分も一緒に成長していけたらと思います」

実家が、卸売業の看板を下ろしてから早数年。

土田 「入社前に思い描いていた形で両親へのフィードバックはできなくなってしまったので、その分、全ての経験と知見をお客様に捧げます(笑)」

「いつかリーダーになったら」という気構えで、業務の進め方や仲間への向き合い方について、自分なりの理想像を持ち続けてきた土田。その理想を体現することで獲得した、チームメンバーやお客様からの信頼が、土田をさらなる高みへと導いています。