省庁のシステム運用・改善に携わった知見をもとに、営業に挑戦

森田 健がNTTデータに出会ったのは、大学で行われた会社説明会。その後のNTTデータの意外な対応が森田の印象に残り、就職のきっかけになりました。

森田 「提出する感想のフォーマットがとくに指定されていなかったので、文章ではなくフローチャートで描いたんです。その感想を見たNTTデータ側から、後日声をかけていただいて。NTTデータは歴史ある会社ですし、厳格なイメージがあったので、こういった自由なアウトプットを歓迎されることにおどろきました」

情報系の学部で学んだことを活かすべく、IT業界への就職を希望していた森田は、その声がけからNTTデータに入社します。

森田 「2009年、入社直後はある官公庁のシステム移行や運用を担当しました。ここではシステムを“使う”ことがメインだったのですが、2012年、部署異動と共に関わった別の官公庁の案件では“つくる”ことにシフトチェンジしました。その当時は設計書の書き方やプロジェクトの進め方がわからず、苦労したのを覚えています。

この官公庁のシステムについては、提案から運用まで一気通貫で経験し、2013年以降はサブリーダーを務めました。自分の提案から仕組みが出来上がり、実際に使っていただくところまでを見ることができたのがうれしく、自信にもつながりました」

複数企業と連携していた本案件では、会社の垣根を越えてわからないことを聞き、なんとか前に進んだという森田。コミュニケーションを取りながら円滑にプロジェクトを進めていく力は、やがて次のキャリアへと結びついていきます。

森田 「2018年、開発部から営業部への異動が決まりました。何をするかよりどんな人と働くかを重視しているので、部署が変わったことに対してそこまで違和感はありませんでした。

ただ、開発の場合はゴールに向けた明確な設計があるのに対し、営業の場合、数字のゴールに向かう道筋は自分次第です。自分自身で道を拓いていくことの難しさを、営業になって感じるようになりました」

ちょうど森田が営業職に就いた頃、森田が顧客対象とする公共機関には大きな変革のときが訪れていました。そこに打った一手が、Digital Community Platform(DCPF)です。

公共機関のシステムのクラウド化に寄与するDCPFの意義

▲Digital Community Platform(DCPF)の特長

DCPFとは、公共機関によるデジタル技術を活用したサービス提供を支えるプラットフォームです。

この構想が生まれた背景には、2018年6月に政府が発表したクラウド・バイ・デフォルト原則があります。クラウド・バイ・デフォルト原則とは、各省庁で政府情報システムを構築する際、クラウドサービス利用を第一候補として考えるよう定めた方針のことです。

この原則は、各省庁でクラウド化が進まない現状を打破するべく発表されたものですが、現場には戸惑いの声があふれました。

森田 「公共機関のシステムは、ほとんどがオンプレミス(情報システムを使用者が管理する設備内に設置し、運用すること)のものです。いきなりクラウドに移行するよう指示されても、そのシステムの何から手をつければ良いのか、各担当者は困ってしまいます。

加えて、クラウド化と並行して、培ってきた公共機関の信頼性も守らなければなりません。DCPFは、こうした従来のシステムのもつ安心・安全性を担保しつつ、クラウドに活かすことを目指したプラットフォームです」

具体的な解決策が見つからず足踏みする現場の課題にいち早く気づき、行政機関向けのクラウドサービスという答えを着想、サービス化した森田は、このDCPFを浸透させていくにあたり、現場の不安や疑問と正面から向き合っていくことになります。

森田 「クラウド化という方針に対して、お客様自身も明確なゴールを持っているわけではありません。今あるシステムをクラウドにのせて大丈夫なのか、それにあたってどういうことを考えなければいけないのか。一つひとつの疑問に対して、具体的な事例を共有しつつ、打開策を提案しています。

また、お客様は基盤にあたる部分に加え、現場での使い勝手を心配していることが多いので、そこをケアできるようなサポートを心がけています」

既存のクラウドサービスを活かすことで、システム構築のコストを軽減するメリットもあるDCPF。その魅力を伝え、導入サポートを担う森田が意識しているのは、人間関係を構築する基本の姿勢です。

森田 「当たり前のことですが、嘘をつかず、真摯に対応していくことが信頼関係に結びついていきます。DCPFは受注型案件と異なり、一人のお客様ではなく市場全体に訴求する企画型のサービスです。お客様と答え合わせをしながら、首を縦に振っていただけるようなものを提供していけるよう、基本を忘れずに向き合っています」

新しいことに挑戦し、社内外にゼロから価値をもたらす立場として

▲チームメンバーとのリモート会議

NTTデータは、これまで各省庁を横断しながら共通基盤の構築・運用を担ってきました。その知見を活かし、クラウド化に向けた課題解決に寄与するDCPFの取り組みは、NTTデータにとっても大きな挑戦です。

また、このサービスは、最終的に国民一人ひとりの暮らしやすさへとつながっていきます。

森田 「行政サービスのエンドユーザーは国民で、ただ一人でも切り捨ててはいけないのが特徴です。そこを踏まえたうえで、私たちは多様な仕組みづくりに取り組むべきだと思います。

サービスのエンドユーザーまで視野に入れる考え方は、NTTデータのカルチャーかもしれません。何度か異動を経験しましたが、そのいずれも目の前にいるお客様だけでなく、その先にいるエンドユーザーまで視野にいれた提案を心がけていました」

NTTデータの複数部署を経験し、開発と営業双方の役割を担ってきた森田だからこそ、見えることがあるのでしょう。DCPFのソリューション営業に取り組む現在は、そんな森田の多彩なキャリアの中でも、挑戦的な部類に属します。

森田 「デジタルコミュニティ事業部は、社内においては新しいことに積極的に取り組む役割もあるかもしれません。働き方に焦点をあてると、コロナ禍で早期にテレワークを取り入れたのは私たちでしたし、今ではこの新しい働き方がしっかり定着しています。時短勤務や産休・育休といった制度活用にも積極的で、チームメンバーの多様性も重視しています。

そうした環境の中で、私たちはお客様の課題を解決する新しいソリューションをつくり、提案しようと日々努めています。ゼロからアイデアを生み出すために、いま自分が行政のサービスを使うときに何が課題だろう、という抽象的なディスカッションをすることもあるんです。決められたことが何ひとつなく、考える領域の多い仕事は大変ではありますが、学べることが多いです」

開発と営業の垣根を越え、次世代の仕組みづくりに寄与したい

さまざまなステークホルダーと関わり、開発と営業双方の業務に携わってきた森田が重視しているマインドは、軸をぶらさず、変化していくこと。

相反して見えるこのふたつの精神は、変わりゆく時代の中で適切なアンサーを出し続けるために必要不可欠なものです。

森田 「変化が目まぐるしい時代において、一歩先を予測するのは極めて困難です。広い視野と柔軟性を意識しなければ、変化に対応できません。一方で、誰も正しい答えがわかる人はいないのですから、周囲の意見に振り回されすぎてもだめなんですよね。耳を傾けるべきところはしっかり傾けて学びつつ、自分自身で結論を導き出していきたいです」

人とのつながりを大切にしてきたからこそ、自身のポジションにとらわれず果敢に挑戦してきた森田。その目は、次なる革新のフェーズを見据えています。

森田 「開発と営業の垣根を越えた活動を続けていくことが、今後の目標です。技術的なところを理解したうえでお客様に提案できる自分の強みを、より生かしていきたいな、と。

また、本年9月からデジタル庁が本格的に発足しました。行政システムはこれを機に今まで以上に変化を求められていくはずなので、そこに対応できる仕組みづくりに取り組んでいきたいです」

国全体の仕組みが大きく変わるなか、DCPFという構想のもと、NTTデータが提供できる価値を模索し続ける森田。その目線の先にあるのは、お客様である各省庁が安心できるシステムと、国民一人ひとりが今以上に行政サービスにアクセスしやすく、豊かな生活が育める社会です。