多様な選択肢を求めNTTデータへ

▲NTTデータ 製造ITイノベーション事業本部 許 晨陽

許 晨陽は中国の生まれ。幼い頃から日本のアニメ作品に親しみ、高校生の時、「字幕なしで作品を観たい」との一心で、独学で日本語の勉強を開始。大学3年生の時、一年間の日本留学のため初来日しました。留学先は福島県内の大学で、中国に帰国する直前の2011年3月、東日本大震災を経験しています。

自然の脅威を目の当たりにしたこの一件から、環境への関心を深め、中国の大学を卒業した後は日本の大学院に入学し環境アセスメントを専攻。

就職に際しても、当初志望していたのは環境分野でした。しかし、一般企業には環境系の専門職位はほとんどなく、視野を広げて就職先を考えるように。偶然、同じ研究室の一つ上の先輩がIT業界に進む姿を見ていたことから、「環境×IT」の2軸で検討するようになったといいます。

許 「メーカー系のIT企業の場合は、環境への取り組みといっても自社製品の性能評価に関わる部分に限定されがちですが、NTTデータなら、より幅広いチャンスがあるはずだと考えました。

学生時代は自分が『本当は何がしたいのか』をそこまで具体的にはイメージできていなかったと思います。そういった意味でも、対象となる業界を問わず、多様な選択肢が開かれているSIerは魅力的に映りました」

こうして、2016年にNTTデータへ入社。

法人系のプロジェクトを担う部署で、許のキャリアはスタートしました。

最初に配属されたのは、医薬業界向けの基幹系システムを担当するチーム。ここでは、新規開発ではなく、運用中のシステムに関する比較的小規模な追加開発に携わりました。

許 「システムの要件定義からリリースに至る開発のサイクルを複数経験する中で、開発の基本を一通り習得しました。すでに確立したサービスに対して、必要に応じて順次改善を図っていくアプローチなので、ここでの約2年間は割と穏やかな日々でした」

入社2年目の終わり、そんな許に転機が訪れます。

自動車業界との出会い。プロジェクトのムードも仕事のやり方も激変

▲自動車業界のお客様を相手にしたプロジェクトに携わる

入社3年目を目前に控えたタイミングで、許は自動車業界A社様のプロジェクトに加わることになり、お客様先への常駐を開始しました。近年、自動車大手各社が展開している、通信システムを活用したコネクテッドサービス、いわゆる「つながる車」と連携するためのアプリ開発のプロジェクトでした。

この時点で、NTTデータの他の社員はプロジェクトに参加しておらず、許は新たな環境に一人で飛び込むことになったのです。

許 「それまでの環境とは何もかもが違いました。まず、オフィスのメンバーの約3分の1は外国人。ドキュメントは全て英語で、海外拠点とのミーティングももちろん英語。開発のスタイルも、初めてアジャイル開発に挑むことになりました」

それ以上に、もっとも大きく変わったのはお客様との距離感でした。

許 「以前のプロジェクトでは、開発のことは私たち開発チームが全面的にコントロールしていましたが、A社様の場合はアジャイル開発なので、お客様が自らプロダクトオーナーとなって開発チームを率います。そもそもの体制が大きく違いました」

許はプロダクトオーナーを補佐する立場として、その意思決定を実際の開発要件に落とし込み、開発メンバーとの間に立ってコーディネートする役割を担いました。

右も左も分からず、しかも身近に相談相手がいない状況に、当初は戸惑いや心細さを感じる場面もあったといいます。しかし、経験と知識の蓄積を通して徐々に自信をつけ、2年余りの間、プロダクトオーナー補佐としての仕事をやり切りました。

この間、「つながる車」の対応車種が増えるのに対応して、アプリの種類も順次増加。プロジェクトに参加するNTTデータのメンバー数も増えていきました。

プロジェクトリーダーとして高難度案件を完遂

A社様のもとで常駐を開始して3年目。許は、「つながる車」向けのアプリ開発のプロジェクトからは離れ、A社様の別の部署の仕事に携わるようになります。

配属の変更から間もなく、許にとって二度目の正念場と言うべき新規プロジェクトが動きだしました。新車の発表にあわせて公開する会員向けWebサイトの構築です。サイトの訪問をきっかけにどれだけ購入に結びつけることができるかが問われる、マーケティング上重要な役割を持つサイトです。

このプロジェクトで、許は初めてプロジェクトリーダーを任されることになりました。

プロジェクトの進行管理と予算管理、さらにA社様の担当者はもちろん、Webサイトの各機能に関わる複数部門との調整まで含めて、すべてに責任を持つ立場です。

なかでもとりわけ難しかったのは、「調整」にかかわるやりとりだと許は言います。

許 「進行管理にしても、自チームの頑張り次第で完結するのであればそれほど悩むことはありませんが、機能ごとに様々な部門とそのパートナー企業が関わっている関係で、何をするにも『調整』が不可欠。自分の意志だけではいかんともしがたい部分も含めて、全体のバランスを考えながらプロジェクトをハンドリングする難しさを痛感しました」

そのため、許が常々意識していたのは、対象となる事柄が「外部依存」のものか否かという点。別チームの作業を必要とする事柄は、後工程の進行にも響きやすいため、優先度を高くして対応にあたるように努めたといいます。

多数の調整事と並行して、メンバーのフォローや、プロジェクトの採算性にも気を配るため、プロジェクトリーダーが見るべき領域は極めて広範に及びます。しかし、許は、自身にとって初のプロジェクトリーダーとしての仕事を完遂。Webサイトは無事に公開に至りました。

許 「やはり、プロダクトが完成して人の目に触れたり、使ってもらえたりする喜びは格別です。アプリ開発の時も、完成して実際に自分たちで試した瞬間の嬉しさは数年経った今でもよく覚えています。今回のWebサイトの公開も、自分にとっては忘れられない瞬間になると思います」

これまでの歩みを礎にして。さらなる「強み」の獲得へ

▲学生時代の初来日から約10年。着実に成長をつづける

許がA社様の仕事に携わるようになって、今年(2021年)で4年目。

入社前に思い描いていた「IT×環境」とは異なるフィールドでの活躍が続いていますが、許自身は当面、自動車業界での経験を深めていきたいと言います。

許 「IT業界で仕事をする上では、IT一般に関する技術的なスキルと、ターゲットとなるお客様の業界に特化した知識・スキル、この2つが問われると思っています。そうなると、私にとって後者はつまり自動車業界。自動車業界のお客様と仕事をしていく上での強みをもっと蓄えたいと考えています」

「強み」の確立について自覚的になったのは、A社様に常駐するようになり、日本以外の拠点のメンバーと関わる中で得たある気付きがきっかけでした。

許 「自己紹介をする際、日本人メンバーは、『○○部の□□です』と名乗るのが一般的ですが、海外のメンバーは『○○の専門家の□□です』というように、自分自身の専門性を明示するケースがほとんどです。どんな強みを持って、このプロジェクトに臨んでいるのか。それをはっきりと示すことができるようになりたいと考えています」

自動車業界に根ざしたスペシャリティ(専門性)の獲得を、目標に据えているのです。

一方で、環境にアプローチできる仕事への興味関心も、失われてはいません。

許 「いずれ機会があればチャレンジしてみたいです。それこそ、幅広い領域への道が開かれているのが、NTTデータを志望した理由でもありますから」

大学時代に初めて日本の地を踏んでから、10年。“アウェイ”な状況にもひるむことなく、しっかりと結果を残し、着実に成長を遂げてきた許。

揺ぎ無いスペシャリティの獲得に向け、今また踏み出そうとしています。