10年先のあるべき社会の姿から、バックキャストで必要要件を思考する

▲公共・社会基盤事業推進部 スマートシティ推進室 宮澤 宗平

「人や社会にインパクトを与える仕事がしたい」。就職活動時、自分が本当にやりたいことはまだ漠然としていた宮澤でしたが、仕事選びの唯一の条件がこれでした。

宮澤 「自分の子供たちに、『コレ、父ちゃんがやったんや』と自慢できるような仕事に就きたいと思っていました」

多くの企業の中から、世界を変える大きな要素である“IT”×インフラの構築等で社会に影響力を与え得るNTTグループから、NTTデータを選び入社。現在は、公共・社会基盤事業推進部スマートシティ推進室で、スマートシティ構想を推進しています。

スマートシティとは、様々なデータを収集し、連携・活用することで、都市インフラを最適化したり、企業・生活者の利便性・快適性を向上させた都市。さまざまな事業領域の会社がスマートシティ市場に参入し、取り組みが進められていますが、スマートシティの明確な価値も、ビジネスモデルも確立されていないのが現状です。

そんなスマートシティ市場で、NTTデータ流スマートシティを実現すべく、現在宮澤が取り組んでいることとは。

宮澤 「10年先にこんな社会を実現したいというのを、過去の延長線上ではなく、『あんなこといいな、できたらいいな』とドラえもん的に発想していく。その目指したい理想の姿からバックキャストして、必要な技術要素、パートナーなどを整理し、具体的な案件や事業へと落とし込んでいきます」

10年先の目指したい理想の姿からバックキャストするのと同時に、ボトムアップ的なアプローチも行っています。

宮澤 「NTTデータには、各事業部の素晴らしい技術があります。そしてNTTグループ全体、さらには他社を含めた世の中には、優れた技術がたくさんあります。せっかくある素晴らしい技術やデータ、人などが個別最適で点在しているのを、レゴブロックみたいに組み合わせて、ただの正方形から巨大なお城を作るように、大きな価値を創出していきたいと考えています」

ただ、もちろんそれは容易なことではありません。

宮澤 「これまで経験のないことを思考するので、日々悩みながらやっています。ただ仕事自体はすごく楽しいですね」

“楽しさ”の理由は、宮澤が物事を進める上で大切にしているある基軸にありました。

新人時代にトラウマレベルの失敗。“人任せ”をやめ、全てを“自分ごと化”

宮澤はもともと、人に言われたことをやるよりも、自分で考え行動する子供だったといいます。

宮澤 「幼稚園の授業参観で、みんなが先生の指示通り折り紙を折る中、一人でどんどん先に進め、好きな折り紙をおっていたらしいです。それを見たおかんは、『この子は自分で考える力がある』と思ったらしいです(笑)」

その後の学生生活も、宿題や必修科目は毛嫌いし、自分が興味のある授業を勝手に受けるなど、のびのびとその長所を伸ばした宮澤。しかし社会人になり、そんな自分と社会とのギャップに苦しむことになりました。

宮澤 「社会人になって最初の頃は、求められることが多く、どう工夫すればよいかも分からず、そこに自分がいないような感覚を持っていました。入社から2~3年は、言われたことをただこなすことに必死で、『これが社会の歯車かぁ』と考えていたこともあります」

しかしある日、そんな宮澤が変わらざるを得ない出来事が起こります。

先輩が進めるプロジェクトで、多忙なリーダー層を集めた会議がありました。直前に先輩が体調を崩し、急遽代役として宮澤がファシリテートを担当することに。先輩に言われた通りに会議を始め、資料を読んでいると、参加者から口々に「この会議の趣旨は!?」と疑問の声が上がり始めたのです。

宮澤 「パニック状態でしどろもどろになっていると、参加者の方たちが自分たちで議論を進めだしたのです。私はただ座っているだけで、せめて最後のまとめぐらいしようと話し出すのですが、参加者から『どうせ理解できていないからいいよ、あとでメールで送るから』と一蹴されておしまい。自分が情けなくて、涙をこらえるのに必死でしたね」

この出来事は、宮澤に大きな気づきを与えます。

宮澤 「いくら先輩が進めるプロジェクトとはいえ、結局人任せで、やらされ仕事ばかりしていたからこうなったんだと、強く反省しました。とにかく、人任せにするのはやめようと、心に決めました」

誰かにやらされるのではなく、自分で考え、自分がやる――“自分ごと化”が、この時から宮澤の基軸となりました。

「自分はこう考えます」と直球を投げるところから、合意形成は始まる

それからの宮澤の仕事への姿勢は、一変します。象徴的なのは、キャリアアップへの意思表示。

過渡期を迎えたプロジェクトへ、管理チームとして支援に出るも「本当に支援が欲しいのは、お客様の要望に応える開発チームですよ」と、開発チームへの参画を志願します。開発経験を積んだ後、案件を作る側に行きたいと志願し、企画チームへ。そこでお客様の中期経営計画を一緒に考えるなど上位戦略から携わる経験をしました。

その後もどんどん欲が出てきて、よりエンドユーザーの価値をつきつめたいと考えるようになり、現在のスマートシティ推進室に辿り着きました。

スマートシティ推進室の役割は、スマートシティという世界的にも確立された正解のない領域で、関係各所を巻き込み、合意形成を図りながらプロジェクトを前進させていくことです。

宮澤 「関係者との話し合いのときに、私は相手が考えていることに対して答えを持っていくというアプローチではなく、誰かが喜ぶことを想像した上で、『自分はこうしたい』と自分を主軸に考えることを大切にしています」

一見、合意形成からは遠いアプローチに見えますが、その裏には、宮澤の明確な意図があります。

宮澤 「『自分はこう考えています』と投げかけると、『いやそれは違う』『これが足りない』など、明確なリアクションが返ってきます。そうなれば、『確かにそっちの考え方のほうがいいですね』『間をとってこうしましょうか』など、皆が納得して前に進んでいくことができます」

自ら直球を投げかけ、その反応から意見を交わし合い、進むべき道を切り拓いていく。それが宮澤のやり方です。

だからこそ、新規ビジネスの合意形成というチャレンジにも、「思ったより苦戦していない」と宮澤は言います。

宮澤 「ただ、周りからは、打ち合わせで僕がボコボコにされているように見えるらしいですが(笑)。でも僕の中では、ちゃんと意見を引き出せたという成功体験なのです」

仕事が楽しいと言い切る、宮澤らしい逸話です。

自分から会社へと主語を拡大し、社会を変えるプロジェクトにしていく

▼NTTデータ流スマートシティ ~START! SMART CITY~ コンセプトムービー

宮澤が今後進んでいく道とは。

宮澤「スマートシティ推進室で、新しいビジネスを設計することに取り組んでいきますが、ビジネスとは何なのか。『自分』が何かをして誰かが喜んでくれて、喜びの対価としてお金が発生すれば、それがビジネスだと思っています。その主語を、『自分』から『スマートシティ推進室』、さらには『NTTデータ』へとどんどん拡大して考え実行していけば、結果的にそれが大きなビジネスになると考えています。そういった観点から、これからも“自分ごと化”を大事にしていきます」

“自分ごと化”の基軸は、これからも揺らぐことはありません。

宮澤 「そうはいっても時々、これは誰かに任せちゃえば楽になるな、知らないふりしちゃおうか、といった考えがよぎることもあります(笑)。でも逃げずに、自分ごと化を貫くことが、目標に繋がる唯一の道だと思っているので、その軸はぶらさずにやっていきたいですね」

“自分ごと化”は、NTTデータのスマートシティ構想のキーワードにもなっています。コンセプトムービー「START! SMART CITY」では、最初に「自分ごと化」のメッセージが訴求されています。

そこには、スマートシティを作るのは、誰かではなく自分から、さらにはNTTデータから、という想いが込められています。

その上で、今後の取り組みについて、宮澤は次のように説明します。

宮澤 「スマートシティは、様々なインダストリーの組み合わせが重要になります。スマートシティ推進室が橋渡し役となり、各事業部が培ってきたソリューション、知識、技術を組み合わせてシナジーを最大化していければ、すごいことができるはずです。そういう想いを込めて、SocietyOSという統一ブランドを創設しました。

SocietyOSを軸にNTTデータのスマートシティとしての付加価値をどんどん高めていき、社会を変えていけるようなプロジェクトにしていくことを目指していきます」

コンセプトムービーではまた、「システムではなく、街や社会を創る」挑戦が描かれています。「人や社会にインパクトを与える仕事がしたい」という宮澤の夢が、宮澤自身が描くストーリーによって、今まさに実現に向けて走り出しています。


スマートシティの実現に向けた新ブランド「SocietyOS™」