Web制作がきっかけでITの世界へ。幅広い可能性を求めてSIerへ

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▲NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 奥村 康晃

奥村 康晃が初めてITの世界に踏み込んだのは、大学2年生の時。Web制作会社のアルバイトで企業のHP制作に携わったのがきっかけです。

奥村 「未経験ながら実際にコードを書いたりWeb周辺の技術に触れたりするうち、ITの面白さに惹かれていきました」

その後、大学3年になると情報系の研究室へ。音の周波数を元にユーザーの嗜好を分析し、それに似た波形を持つ楽曲をおすすめするシステムを独自に開発。トライアルで公開もしたといいます。

奥村 「通学の電車内でいつも音楽を聴いていたのですが、車内が混んでいると曲を自由に探すことができず不自由だなぁと。そこからひらめいたアイデアです」

「こうだったらいいのに」を実現する行動力。その後のキャリア形成にも大きく影響する特質は、学生時代から発揮されていました。

そして2009年、NTTデータへ入社。

奥村 「ITへの興味はあるものの、具体的に自分がどんなことをしていきたいかを見極めることはできていなかったので、幅広い経験ができそうなSIerを志望しました」

最初の配属は、アプリの開発チームでした。インドや中国のオフショア先のメンバーと協働するプロジェクトで、現地への出張も経験します。

カルチャーが異なる海外のメンバーとのコミュニケーションに、時に四苦八苦しながらも、ここで2年間の開発経験を積みます。

そして、入社3年目。最初の転機が訪れます。それまで携わっていたアプリ開発とはまったく別の領域への異動が決まったのです。

クラウドサービスをもっと便利に。理想を具現化することで利用者拡大

奥村が新たに飛び込んだのは、自社のクラウドサービスBizXaaS®を扱うインフラ寄りの領域でした。

お客様のプライベートクラウド活用支援に取り組む中で、異動から2年が経った頃には新たなチャレンジに乗り出します。それは、プライベートクラウドの「自動化」を実現すること。

奥村 「今ではインフラ領域でも自動化が普通に取り入れられていますが、その頃はほとんどありませんでした。ワンクリックでサーバ構築だけでなく、バックアップや監視設定などのインフラ構築に必要な処理を実現できれば便利だろうな、と以前から考えていたので、草の根的に取り組んでいくことにしました」

この取り組みが上司の目にとまり、社内の複数の部署への横展開が始まります。アプローチを開始して分かったのは、自動化機能付のプライベートクラウドの必要性を感じながらも、リソースが足りず実際に形にすることができずにいたり、満足がいく形に仕上げることができないまま放置されていたりする部署の多さ。

奥村 「それならば、と社内の様々な部署に自動化機能付プライベートクラウドを積極的に提供するようになりました」

こうして、奥村がプライベートクラウドのエキスパートとして様々な案件に携わった数年の間に、クラウドサービスの潮流にも変化が起こり始めます。

パブリッククラウドに対するニーズの高まりです。

これを受けて奥村の所属する部門では、上述の自動化ソリューションを従来から対応してきたプライベートクラウドに加え、パブリッククラウドにも対応可能なサービスとして再定義し、大々的に展開していく方針を設定。

奥村は、そのサービスオーナーを任されることになります。

ワーキング立ち上げ。クラウド利用のナレッジを共有し、新たな潮流の起点に

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▲息子と野球の練習風景。キャッチボールするのが夢だという

サービスオーナーは、サービスの拡販を行い、複数のメンバーからなるチームの収支を維持する役割を担います。

それまで開発業務ひと筋だった奥村ですが、ここで初めて営業に挑むことになり、社内外問わず営業活動に注力しました。しかし、数十件の商談で受注に至るのはほんの1~2件。慣れない業務で成果を出すのは、想像以上の困難を伴ったといいます。

一方で、様々なお客様に向き合うことで得られたものもありました。

奥村 「開発だった頃は、自分が作ったものについて一生懸命説明することが求められましたが、営業となるとそうはいきません。相手の関心度を推しはかったり、表情を見ながら説明の仕方を臨機応変に変えたり。そういったことを意識できるようになりました」

また、サービスオーナーとしての活動を通して、奥村は新たな「こうだったらいいのに」に直面します。

社内の複数部署で、クラウドを活用したプロジェクトの知見があるにもかかわらず、それが組織内部に留まったまま、ナレッジとしての展開が図られていないことに気づいたのです。

組織内には、情報共有のためのクラウドストレージを契約済みでしたが、さらなる情報交換の必要性を感じた奥村は、自らワーキンググループを立ち上げ。組織を超えた情報交換と、クラウド活用のアイデアを実際にプロトタイプ化する場づくりを行ったのです。

ワーキンググループは、完全にバーチャルな組織。普段は異なる拠点で仕事をするメンバー6名ほどが、オンラインミーティングで定期的に集まっています。

奥村 「アイデアレベルで終わらせずにプロトタイプまで作ることが多いです。それをもとにクラウドサービスのベンダーの方とも意見交換していて、実用化しそうなものもいくつか出始めています。せっかくなら、自分たちがワクワクするものを作ろう、という想いで活動しています」

ワーキンググループの取り組みは、社内でも広く注目されるところとなり、組織内での情報共有に役立っています。

自身のWillを叶えるためのキャリア選択で、高まる充実感

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▲ワーキングメンバーと議論の様子。組織を超えた情報共有を図る

一方、現在の奥村は、自身のキャリアの面でも重要な転換点にさしかかっています。

NTTデータは2020年に、マネジメントではなく専門性を軸にしたキャリア形成を目指す社員向けに、新たな人事プログラム「テクニカルグレード制度」を導入。本制度は、業務上必要かつ高度な専門性を有する職務に、高い専門スキルをもって職務を遂行し事業貢献することを期待する社員を配置・処遇する制度です。奥村は社内でもまだ数少ない本制度の対象社員となったのです。

この制度の適用にあたっては、自ら上司に面談を申し込んでキャリア展望を伝え、上司からの推薦を取り付けました。

奥村が描くキャリア。ずばりそれは、「後進育成」。

入社から10年余りが経過し、この先のキャリアについて考えるなかで、自分がもっともやりたいことが、若手のコーチングや自身の経験をわかりやすく伝え広めることだと気づいたのだといいます。

奥村 「自分が仕事をする上で、何に一番喜びを見出しているのかをふり返ってみたんです。その中で、セミナーの講師やプロジェクトの事例紹介をするために、自分が手にしている情報を噛み砕いて表現する瞬間だと気づきました。そこから、育成の領域でのキャリア形成を意識するようになりました」

現在、業務の上ではサービスオーナーからサービス企画に軸足を移している奥村。デジタル活用において先進的なお客様に対してサービスの活用支援を行いながら、新たな企画のヒントを収集しています。

奥村 「テクニカルグレードの対象になったことで、仕事に対する取り組みも変化しました。自ら『仕事をつくる』スタンスを求められるようになり、事業部長とこれからの技術戦略について会話をする機会が増えるなど、これまでよりも広い視野を持ってプロアクティブに仕事に取り組むことができています。すごく楽しいです」

前例のないポジションだからこそ、その先の道の作り方は自分次第。

いつか皆が目指したいと思えるようなキャリアパスに──そんな想いを抱きながら、奥村は自らの進む道を切り拓き始めました。