「かざすだけ」で通れる!?交通系ICカードがもたらした衝撃

▲NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 関藤 大貴

関藤 大貴がITを初めて意識したのは、中学3年生のころ。

関藤 「通学のため毎日使っていた鉄道会社の定期券が、非接触のICカードに切り替わったんです。財布に入れたまま“ピッ”とかざすだけで済む。その便利さが、当時の自分にとってはものすごく驚きでした」

「なんて便利なんだろう!」という驚嘆は、すぐに「なぜこんなことが可能に?」という好奇心へと転じます。

高校卒業後は、大学の情報系学部に進学。AR(Augmented Reality:拡張現実)やMR(Mixed Reality:複合現実)関連の技術を学ぶ中で、ITへの関心をさらに強めていきました。

そして、2015年にNTTデータに入社。

関藤 「IC定期券を初めて手にしたときに感じたような、『便利だな』『すごいな』という驚きと体験を、広く社会に届けられるような仕事をしたい。そんな想いで就職先を選びました」

新たなサービス創出に関わる、いわゆる「企画」の仕事への憧れを抱いての入社でした。

そんな関藤が配属されたのは、 NTTデータが提供する国内最大のキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」を扱う事業部。

CAFISは、1984年にクレジットカード決済を対象として誕生したサービスです。その後、時代に即してサービスの裾野を広げ、今日では電子マネー決済やインバウンド決済、QRコード決済といったあらゆる決済手段に対応し、 35年にわたり日本の決済シーンを支えてきています。

入社1年目の関藤のミッションは、流通業のお客様を対象に、CAFIS関連のソリューションを提案すること。思い描いていた新規サービスの「企画」ではなく、CAFISの「営業」に取り組む日々が幕を開けたのです。

地道な営業活動に苦戦。しかし諦めずに手に入れた確かなリレーションシップ

流通業のお客様向けの営業活動を開始した関藤を待っていたのは、現場の厳しい洗礼でした。

関藤 「CAFISは歴史も実績もあるサービスですが、お客様からすれば複数ある選択肢のひとつにすぎません。『初めまして』と訪問をして、じっくりと話を聞いていただけるはずもありません」

用意した提案書をすぐに突き返されたり、アポイントを取ろうと思っても電話を取り次いでもらえなかったり……。

地道な営業活動がなかなか実を結ばない日々。しかし、関藤がそこでくじけることはありませんでした。

関藤 「当初は、『一体どうしたら話を聞いていただけるようになるんだろう』と、正直かなりつらかったです。ただ、周囲の先輩から、同じような厳しい経験を乗り越えてきたという話も聞いていたので、必ず乗り越えられるはずだと信じることができました」

お客様の反応がどんなにつれなくても、とにかく足しげく通い続ける。そんなことを続けたある日、ついにお客様の方から問い合わせの電話が舞い込みます。

ペイメントに関する最新の情報を届け続けたことで、いつしか、お客様にとって関藤の位置づけが「何かあったときに真っ先に相談できる相手」になっていたのでした。

関藤 「CAFISはサービスの裾野も広いですし、ペイメントに関する知見という意味では、当社はさまざまな情報を持っています。その強みを認知していただけるようにと、自分なりに工夫しながら諦めずに情報発信をしていたのが実を結んだのかと思うと、嬉しかったですね」 

こうして、苦心の末にお客様とのリレーションを構築する術を学んだ関藤。入社1、2年目まではスーパーマーケットや空港免税店、ドラッグストアなど、流通業の幅広いお客様を対象としていましたが、3年目からはドラッグストア業界のお客様を中心に活動するようになります。

そして、営業活動にさらに磨きをかけていく中で、お客様の中には適時適切な商談ができるようにと、関藤に対してスケジュール表を共有するまで心を許してくださる方も。入社当初には想像すらできなかったような、確かなリレーションを築くに至ったのです。

営業に軸足を置きつつも、広がる職域、深まる知見

2019年4月、当社はQRコード決済向けのゲートウェイ機能の提供を開始しました。

関藤は、この機能の立ち上げに関わっていたひとり。自身と同じくドラッグストア業界を担当していた先輩社員の呼びかけで、事業部に対して上申を行うところから携わり、決済事業者とのアライアンスの締結にも関与しました。2017年から2018年にかけてのことです。

関藤 「ドラッグストア業界は、コンビニ業界と並び、ペイメントの変化に対する対応がとても速い業界です。一部のお客様からも、QRコード決済への対応について声が上がっていたこともあり、早期に道筋をつけようという話になったのです」

関藤自身はこの新機能の立ち上げを通じて、ある気づきを得ます。

関藤 「私自身がそれまで担当してきたのは小売業のお客様でしたが、ゲートウェイは他のさまざまな業界も念頭においた仕様でなければなりません。あらためて、ペイメントを取り巻く多種多様なニーズに気づかされました。

そして、それらのニーズを念頭に置きながらいかに共通化を図っていくべきかを突き詰めて考える、貴重な経験になりました」

入社5年目の2019年。関藤は、クラウド型の決済総合プラットフォーム「CAFIS Arch®」のチームに参画します。

ここでは新たに、海外のベンダーから調達した決済端末をお客様のもとへ納入するまでのデリバリー体制の整備を担当。並行して、従来から担当していたお客様にCAFIS Arch®を提案する営業も続けていました。

入社1年目からずっと続けてきた営業の仕事。お客様に提案活動を行う際に、関藤が自社のソリューションありきでPRすることはありません。

関藤 「商談で一番大切にしているのは、正直な気持ちで発言することです。そして、お客様がどんな情報を欲しているのかということを常に考えています。他社のソリューションであっても良いと思う点は褒めるし、自社のソリューションについても率直に自分の考えを伝えます」

お客様と「同じ目線」に立って営業することの大切さ。それは、これまでに出会ったPOSのベンダーやクレジットカード会社といった、ペイメント市場のさまざまなプレイヤーが気づかせてくれたことでした。立場が異なる彼らの話から、「お客様の目から見たNTTデータ像」を客観的に認識でき、以来、一方的な営業活動に陥ることがないよう人一倍配慮するようになったのです。

あの日の幸福な“衝撃”をいつか、この手で送り出したい

▲誰もが喜ぶ“便利”を生み出すため、関藤の挑戦は続きます(右から2番目)

2020年春に入社6年目を迎えた関藤。現在は、CAFIS Arch®に関する中長期的な戦略の検討に軸足を置いています。

戦略策定という新たな視点から自社のサービスを眺めるようになったことで、新たな気づきがありました。

関藤 「お客様のニーズはもちろん、競合の概況やお客様の業界を取り巻く環境、さらに戦略を推進していくための自社の組織やパートナーの状況まで、これまで意識していない新たな視点が求められると気づきました」

そのため今は、事業運営に関するさまざまな書籍を読み、必要な知識の吸収に努めているといいます。

入社当初に抱いていた「『便利だな』『すごいな』という驚きを、広く社会に届けたい」という想い。その実現は道半ばではあるものの、少しずつそこに近づけているという確かな手ごたえを関藤は感じています。

関藤 「ひたすら営業をしていた1~2年目を経て、徐々に企画の領域にも携わるようになりました。ただし、これまで関わった『企画』は、あくまで既存のものを活用した“派生系”のサービスです。成熟化したペイメント市場でゼロから何かを生み出すのは難しいとしても、NTTデータとして『新たなサービス』と胸を張れるようなものをつくり出したいと考えています」

仕事をしていてもっとも嬉しい瞬間は、自らが関わったサービスを利用する店舗スタッフやエンドユーザーが、「便利になった」と喜ぶ様子を目にするとき。いつかゼロから生み出したサービスを世の中へ届けることができたなら、その喜びはまた、格別であるに違いありません。