8カ月間の育休を経て復帰するも、時短勤務でのタスク管理に苦戦

▲NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 嶋谷 望

2012年にNTTデータに入社した嶋谷 望。現在は、ふたりの子育てと仕事を両立しています。二度の育休を経る中で、嶋谷の働く場所や働き方は何度も変化してきました。

第一子を出産したのは、入社3年目の夏。出産というライフステージの大きな変化に直面し、まず考えたのはロールモデルとなる先輩社員を見つけることでした。しかし、自身が比較的若くしての結婚・出産だったこともあり、近しい経験をしている先輩女性社員は嶋谷の周囲にはいなかったといいます。

嶋谷 「それならば、今後同じような経験をする女性社員にとってのロールモデルに私がなろう、と意気込みましたね」

そして8カ月の産休を経て、いざ職場復帰。嶋谷は、グローバルでビジネスを展開する製造小売業のお客様の、ECシステム保守運用業務に従事することになりました。

しかし、子どもを0歳児保育に預けながらの職場復帰のハードルは、思っていた以上に高かったといいます。時短勤務の制約もある中、どうにか自分の力で結果を出そうと必死になるあまり、手痛い失敗をしたことも。

嶋谷 「部内の誰もが『温厚』と評するチームリーダーが思わず声を荒げるほど、リカバリーが難しい事態を招いてしまいました。その一件を機に、日々のタスク管理を真剣に考えるようになりました」

それ以降、さまざまなタスク管理の方法をトライアル&エラーで試すように。現在も、日々改善を図っているといいます。

そして、時短勤務を続け1年半が経ったころ、嶋谷は部内で立ち上がった新たなプロジェクトに立候補します。

自己研鑽が引き寄せたチャンスと、怯まずに手を挙げるチャレンジ精神

嶋谷が立候補した新プロジェクト。

それは、お客様のイギリスの拠点で運用していたECサイトを、海外の他ベンダーに移管するというプロジェクトでした。“公用語”は、当然英語であるため、メンバーをアサインする際も、重視されたのは「英語で業務を遂行できる」こと。ここですかさず、嶋谷は手を挙げました。 

嶋谷 「社会人になってからずっと、自己研さんのため英語の勉強を続けていました。実際に業務で使ったことはありませんでしたが、『なんとかなるだろう』と飛び込んでみたんです(笑)。海外プロジェクトもリーダーポジションも初めてでしたが、上司も快諾してくれました」

イギリスのお客様や、移管先の海外ベンダーとのやりとりは、メールも打ち合わせもすべてが英語。また、海外出張する機会もありました。いずれも、コツコツと勉強を続けて身につけた英語力と、まずは飛び込んでみようという持ち前のチャレンジ精神によってつかみ取った、得がたい経験でした。

嶋谷 「思った以上に大変ではありましたが、コミュニケーションのとり方や、プロジェクトの進行といったあらゆる面で、実用的なスキルが身についた感覚がありました。一歩踏み出して良かったなと心から思います」

実は、プロジェクト中に第二子の妊娠が判明します。上司もそれを踏まえた上で、必要なバックアップをしてくれたといいます。

そして、およそ半年間でシステムの移管は無事に完了。プロジェクト終了後、2度目の育休に入ることになります。

2度目の育休中の苦悩を救った新たな学び。そしてフルタイム勤務へ

▲密なコミュニケーションを図り、チームメンバーと良好な関係を築く

いざ育休期間に突入してからは、「この期間にできることを少しでもやってみよう」という心持ちで日々を送りました。育児はもちろん、ずっと続けてきた英語の勉強や、自己研さんのための読書、さらに外に出かけて息抜きする時間も大切にしたといいます。

ただ、慣れないふたり育児が思うようにいかず、ときに追い詰められた気持ちになってしまうことも……。

嶋谷 「ついつい子どもをワーッと叱ってしまい、後から落ち込むことがよくありました。そんなときに、たまたまアドラー心理学に触れる機会があったんです。これを子育てにも生かせたらいいなと思い、自分で本を買って読んだり、講座に参加して勉強したりしていました」

アドラー心理学とは、オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーが創始した心理学の一体系です。その内容を解説した書籍『嫌われる勇気』(ダイヤモンド社)がヒットしたことで、日本でも広く知られるところとなりました。

そんな育休期間を終え、2019年4月に再びの職場復帰。

参画したのは、お客様の拠点があるフィリピンで、新たにECサイトを立ち上げるためのプロジェクトです。時短勤務ながらお客様先に常駐することになり、不安は感じながらも、「きっとなんとかなるはず」。そう考え飛び込んだといいます。

嶋谷 「これはもう、いつもの思考のパターンですね(笑)。実際飛び込んでみると、お客様のメンバー内にも子育て中の方がいて、共通の話題が多いせいかコミュニケーションもとりやすく恵まれた環境でした」

以前、ひとりで業務を抱え込んでしまい失敗してしまった経験もあり、タスク管理には人一倍気を配るようにしている嶋谷。今度は、自らが踏ん張るべきところは踏ん張りつつも、サポートが必要であればすぐに声を上げるようにしました。

そうしてお客様からの信頼を確かなものとし、プロジェクト参画から8カ月目にはフルタイム勤務に移行。このときの決心は、かつてイギリスのプロジェクトに立候補したときと同じくらい、自身にとってはチャレンジングなものだったといいます。

嶋谷 「ずいぶん悩みもしましたが、『できるかな』より『やりたい』気持ちの方が上回りました」

大切にしたのは、自らの希望をかなえるためには「じゃあ何をするべきか?」という発想。夫とはあらためて家事・育児の役割分担を相談し、職場の仲間にも「フルタイムで頑張りたいと思っていますが、まだまだサポートいただくことも多いと思います」という自分の気持ちを率直に伝え、フルタイム勤務のための道筋を自らつけていったのです。

仕事の幅を着実に広げながら、「子育て中の母親」への共感を胸に──

▲「母親だから」と諦めない。“自分らしい”等身大のチャレンジは続きます!

フィリピンのECサイト立ち上げプロジェクトが一段落した後は、新規の提案活動にも取り組みました。

嶋谷 「常駐というお客様との距離が非常に近かったこれまでとは違い、『はじめまして、NTTデータです』というところからスタートなので、どうやって信頼関係を築いていこうか、どんなアプローチをしていこうか、と考えを巡らせましたね。営業の仕事も、私にとってはチャレンジングなことで、楽しかったです」

その後、お客様からお声がかかり、2020年夏からは、新たなプロジェクトにジョインすることとなった嶋谷。お客様のPMをサポートする立ち位置でのアサインとなり、強みである英語を使っての業務となります。

今後は、国内にとどまらずグローバルな視点で、お客様や社会のニーズを充足したり、社会のより良い変化を後押したりするような提案活動に注力していきたい。そう考えているといいます。

そして、育休中に壁にぶつかった経験と、新たな知識を獲得することで状況を好転させる経験。その両方をしてきているからこそ、世の「子育て中の母親」に対して抱いている想いがあります。

嶋谷 「自分の中の“野望”レベルのお話ですが、子育てに奮闘する世のお母さんたちが、少しでも肩の力を抜いて育児に向き合うことができるような情報やメッセージを、発信していけたらと考えています。そのためには、アドラー心理学ももう1回しっかり復習しないといけませんね(笑)」

「子育て中だから」「母親だから」。その一言で、たくさんのことを無意識のうちに諦めてしまう女性は少なくありません。けれども嶋谷自身は、「やりたいと思ったことにチャレンジする自分」でいたい、といいます。

嶋谷 「仕事のことだけではなくて、たとえばおいしいものを食べに行くとか。ひとりで外出するとか。ちゃんと睡眠をとるとか(笑)。「仕方がない」と諦めるよりも前に、周囲にサポートを願い出てみるなど、何かしら行動することで結果は変わってくるはずだと思っています。私自身、「自分で勝手に諦めない」を心がけることで、たくさんの人の理解や協力が得られ、納得できる今を過ごすことができています」

──いつか、私がロールモデルに。

ときに悩み、失敗し、壁にぶつかりながらも、かつて誓った想いを貫くようにここまでキャリアを歩んできた嶋谷。その姿は、「自分らしく生きたい」と願うすべての人に、何かしらの励ましを運んでくれるはずです。