「新たな挑戦」のために。建築系企業での経験を武器にNTTデータへ転職

▲NTTデータ ビジネスソリューション事業本部 ファシリティマネジメント事業部 下田 昇

一般的にはSIerと称されるNTTデータですが、実は国内有数のデータセンター(DC)事業者としての顔も持っています。DCの建設・運用・維持、ならびに自社が保有する土地や建物、設備といったファシリティ全般の管理を行っているのがファシリティマネジメント(FM)事業部です。 

FM事業部のメンバーの大半は、建築系と電力系のプロフェッショナル。IT系部門とは異なる専門性を備えたメンバーが集結しています。

下田 昇は、FM事業部に所属する建築系のプロフェッショナルです。大学卒業後、空調設備に強みを持つ建設会社で現場監督を3年間経験。次いで、「より上流の業務を」との想いで都市開発系の企業に転職。機械設備の設計や建設のコンサルティング業務に約6年間携わってきました。

下田 「元来、ひとつの環境にしばらくいると、新しいことに挑戦したくなるタイプです。以前の職場で、入社から6年がたったころにもやはり『そろそろ新しいことを』という想いに駆られていました。そんな折、不動産事業を切り離して子会社する企業が多い中、CRE(Corporate Real Estate:企業内不動産)に関する部門を社内に抱えている企業が存在すると知り、おもしろいなと思ったんです」

当時、そうした企業は国内に数社しかなく、そのうちの1社が、ほかでもないNTTデータでした。

そうして2016年、NTTデータに中途入社。最初に携わったのは、最新鋭のDCとして計画された「三鷹データセンターEAST」の新築工事プロジェクトでした。DCの新築は、そう頻繁にあるわけではありません。そのため、事業部内でも新築工事の経験があるメンバーはある程度限られています。入社間もない下田に白羽の矢が立ったのは、それまでの豊富な経験を見込まれてのことでした。

下田 「工事の内容について戸惑うことはあまりありませんでした。ただ、慣れ親しんだ建築用語に混ざって頻繁に出くわすIT用語が耳慣れないものばかりで、初めは面食らいましたね。アルファベット3文字略語を聞く度に、IT企業に入社したことを実感しました(笑)」

「働く場所」をつくる新サービス立ち上げのチームに立候補

▲数々のオフィスづくりに携わり、快適な働く場をつくりあげる。

新築工事が一段落した後は、既存のDCやオフィスビルの改修に関する小規模な案件を、短いスパンで複数経験した下田。

そして、入社から3年目を迎えた2018年。事業部内で立ちあがった新規サービスの企画・運用チームに自ら手を挙げて加わります。

下田 「ちょうど、そろそろ何か新しいことをやってみたいなと考えていたタイミングで、別のチームで新規サービスを構想している方がいるらしいという話を耳にして、それだ!と。すぐに話を聞きに行って、チームに加えてもらえるようお願いしました」

その新規サービスとは、「ICT Work Site®」。

オフィス物件、各種什器、そしてICTツールをオールインワンで提供することで、お客様の働き方改革を後押しするサービスです。オフィスの居住性や機能性を高める空間デザインから、組織内のデジタルコミュニケーション施策の導入支援まで。サービスが対象とする範囲は、多様性を前提とした「働き方」全般におよびます。

サービス立ち上げから1年余りの間に、複数の本社オフィスや、システム開発のためのプロジェクトオフィス、またデジタルビジネスのデザインスタジオなどを誕生させてきました。

下田 「これまで手掛けた中で一番思い入れがあるのは、あるグループ会社の本社オフィスですね。不動産を探すところから足掛け1年半くらい携わったプロジェクトです。当初、お客様との関係は、いわゆる発注者と請負業者といった感じでしたが、徐々に『一緒にいいものをつくりましょう』という雰囲気が生まれていったことがとても印象に残っています」

お客様と「一緒にいいものをつくる」関係性を築けるか。それは、下田にとってモチベーションの源泉です。このプロジェクトは、オフィスの完成後に実施した満足度アンケートの結果も、ハイスコア。実際にそこで働く社員の方々にも喜んでもらえた、と確かな手応えを感じました。

目指すゴールをお客様と共有しながら、意見を交換し合い共につくりあげる。その瞬間が、下田はなによりもワクワクします。

下田 「もちろん、完成した瞬間も嬉しいですけどね(笑)。あとはなんといっても、建築は形が残るものなので、その地に足を運ぶ度に『自分が手掛けたオフィス』の存在を実感できるのも、この仕事の醍醐味かもしれません」

中長期的な協業を可能にする「パートナー」との向き合い方

▲2018年開設したデザインスタジオ「AQUAIR(アクエア)™」居心地の良い空間が、自由な発想を支援する。

一緒にいいものをつくりたい――

下田の想いは、お客様だけでなく事業パートナーに対しても同じように向けられています。なにしろ、ICT Work Site®は、建築会社やデザイン会社など、社外のさまざまな企業との連携によって成り立たっているビジネス。そのため、下田は事業パートナーとの持続的な関係づくりを大切にしているのです。 

下田 「初めて会うパートナーには、A41枚に経歴や家族、趣味の情報も少し盛り込んだ自己紹介シートをお渡ししています。私自身のバックグラウンドやパーソナリティをわかってもらえれば、会話のレベルも自然と合いますし、何より発注者と請負業者としてではなく『パートナー』としての関係を構築していけると思っているからです」

そして、実際に各案件に臨むうえで大切にするのは、中長期的な視点に立った利益配分。お客様のニーズはさまざまで、コスト度外視でデザイン性重視のケースもあれば、デザイン性を妥協してでもコストは抑えたいケースもあります。下田が想定するのは、とくに後者のパターンです。

下田 「予算が限られたプロジェクト。それだとFM事業部の先にいる協力業者さんは、儲からない話になってくるわけです。それだと事業としての持続性も危うい。ゆえにいい仕事ができなくなってしまいます」

そこで、下田がチーム内で常々唱えているのが「レベニューシェア(利益配分)」の考え方。

下田 「真のパートナーになるためには、お金の面でも信頼してもらうことが大切だと思っています。目の前のプロジェクト単体で考えるのではなく、中長期的な関係を前提に、複数のプロジェクトを通して互いにしっかりと利益を上げられるようなコスト管理やリソース配分を行っていく。そんなしくみを徐々に形づくっているところです」

ニューノーマルな世界の「オフィス」を追い求めて

▲お客様と、協力企業と、そしてチームメンバーとともに、「働き方改革」の支援を。

新型コロナウイルスの感染拡大が取り沙汰されてからは、下田の元へもお客様からの相談が数多く寄せられました。一番多いのは、「デスクに間仕切りを設けたい」という相談。「働き方」や「働く場」のあり方が、社会の動きとともにあることを実感したといいます。

また、自ら数カ月間に及ぶリモートワークを経験したからこそ、思うところも。

下田 「首都圏のオフィス規模が縮小に向かうのは間違いないと思います。個人的にも、普段は自宅の近隣で仕事をして、集まる必要が生じた時は参加メンバーが集まりやすい場所に集合、みたいなことができたら幸せだろうなと考えるようになりました。私の事業と相反していますけどね(笑)」

一方で、人と人が顔を突き合せる“密”な空間でこそ、イノベーションは生み出されてきた、レポートもあります。それは、メンバーが一同に介するオフィス空間ならではの価値の裏付けともいえます。

緊急事態宣言の発令以降、オフィスワークのデジタライゼーションは目まぐるしく進んでいきました。さらに今後も、新しい日常に適応した「働き方」の見直しが求められ続けるはず。こうした中、ICT Work Site®の今後について、下田は次のような展望を描いています。

下田 「サービス名を“Work Site”としたのは、広い意味で「働く場=オフィス」をすべて内包できる表現が望ましいと考えたからです。ある人にとっては自宅が、またある人にとってはカフェが、また別のある人にとっては工場が「オフィス」。そのすべてを、ICT活用で快適な働く場にしていきたいです。社内の他の事業部が実際に進めているスマートシティ構想と、ゆくゆくはリンクできたらという想いもあります」

また、ICT Work Site®のビジネスを2年余り展開してきた今、お客様の「働き方改革」の支援アプローチにも思うところがありました。

下田 「社内には、同じ「働き方改革」の切り口で、自社の仮想デスクトップサービス BizXaaS Office®を手掛ける事業部があります。そういったソフトの部分を得意とする事業部と、建築というハードに軸足があるFM事業部の価値をもっと掛け合わせることができれば、よりスケールの大きな仕事に挑戦できると考えています。IT企業でありながら、長年建築にもまじめに取り組んできたNTTデータのユニークな立ち位置を、もっと鮮明に打ち出していきたいですね」

 お客様と、そして協力企業とのパートナーシップで「いいものをつくる」ことに情熱を傾けてきた下田。今後は社内IT部門との連携で、お客様の「働き方改革」を強力に後押ししていきます。