金融系プロジェクトで5年。「武器」を求めてデータサイエンティストに

▲NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 中山忠明

学生時代から「ものづくり」志向があったという中山 忠明。大学では、電子・物理工学を専攻していました。 

中山 「研究室では、かかとで骨密度を計測する小型MRIの開発に取り組んでいて、電子コイルを設計したり、実測データを分析したり、ということをしていました。

就職活動も“ものづくり”の軸でメーカーを中心に見ていましたが、より多くの業界と関わる幅広い仕事がしたいという想いもあり、IT業界を選びました」

2011年、NTTデータに入社。金融系のシステムを扱う事業部に配属されます。 

最初に参画したのは、金融系システムの保守運用チーム。ミッションクリティカルなシステム開発の上流から下流までをひと通り経験します。次いで参画したのが、同じく金融系の大規模なシステム更改プロジェクト。入社3年目ながら、協力会社のメンバーも含めた共通チームのリーダーポジションを任されました。

中山 「大規模プロジェクトだったので、複数ある機能別にチームが編成されておりメンバーも多数。各チームの進捗や課題をまとめ上げるのは大変でしたね。ただ、先輩や経験豊富な協力会社の方々が支えてくださったおかげで、乗り越えることができました」

自身の経験の浅さを認識していたからこそ、配属当初からメンバーとたくさん会話をして距離を縮めることを意識していたという中山。そうしたスタンスが、おのずとメンバーからの支持につながりました。

その後もプロジェクト経験を積んだ中山は、入社5年目を迎えるころ、社内異動を考え始めます。 

中山 「事業部の特性上、マネジメント寄りの立ち位置が主だったため、入社動機でもあった“ものづくり”とのギャップを感じるようになったんです。また、自分らしい武器を獲得したいなという想いも強くなっていました」

そんな中山を引きつけたのが、現在所属するTwitterデータを活用したデジタルマーケティングを手がける組織でした。

データ分析の入り口にある「課題設定」からお客様に寄り添う

▲「NTTデータ - Twitter Innovation Contest」にて。Twitterデータを活用した新たなサービスの開発やビジネスモデルの創発を目指し開催している。

NTTデータは、2012に米国Twitter社とTwitterデータの再販契約を結んでおり、日本で唯一、Twitterの全量データを保持し、さまざまな用途に活用する権利を所有しています。

中山 「2008年、Twitterの日本語版がリリースされた初日にアカウントをつくって、以来ずっとTwitterに触れていました。どんなユーザーがいて、どんな使われ方をしているプラットフォームなのかということもよく知っていましたし、とても身近な存在だったんです。『ソーシャルを軸にしたデータ分析』を自分の武器にしたいと直観的に思いました」

「データ分析」という武器があれば、入社前に思い描いていたように幅広い業界のビジネスに携わることができるはず。そんな考えもあったといいます。 

そして中山は、分析チームに参画。データサイエンティストとして新たなキャリアをスタートさせたのです。組織の中には、Twitterデータを解析するためのシステム開発を行うチームや、データそのものの販売を担当するチームなど、複数のチームが存在します。

このうち分析チームのミッションは、お客様が抱える課題やニーズに応じてTwitterデータの分析を行い、その結果をふまえた戦略や施策の立案までをサポートすること。お客様は、メーカーや金融業界、官公庁など多岐にわたります。

そして、お客様との一連の関わりの中で最も難しいのは、「課題設定」だと中山はいいます。

中山 「SNSが普及したことで、人の購買行動そのものが変化したと言われています。かつては、企業のアプローチとしては、まずは情報を広めることから始めて、認知してもらい、検討してもらい、手にとってもらう、という流れでしたが、今は、そうしたセオリーに当てはまらないケースが非常に多くなっています。だから企業の想いとしては『まず消費者を理解したい』という漠然としたところに留まっていて、具体的な課題に落とし込む前段階でお声掛けいただくことがとても多いです」

それゆえ、データ分析を行って実現したいことはなんなのか? それを実現するためには何に取り組まなければいけないのか? という課題設定から入り込む。言わば、コンサルティングのようなアプローチをしているのです。 

中山 「当然、お客様の業界に関する知識が求められます。個人として情報のインプットに励むのはもちろん、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが集まっているので、案件ごとに得意領域を持つメンバーが舵を取りつつ、足りない部分は互いにカバーしながらお客様への理解を深めています」

大切なのは、「ニュートラル」な思考と「ワクワク」する心

▲中山の“ワクワク”のひとつである、趣味の登山。

SNSのデータを分析するためのツールは、ソーシャル・リスニング・ツールと呼ばれ、世の中に多数存在しています。つまり、それらのツールを利用すれば企業が独自にデータ分析を行うことも可能ということ。それにもかかわらず、NTTデータに依頼が寄せられるのには理由があります。

中山 「ツールを使えば、確かにブランド名や商品名を検索キーに設定して、話題量の推移を調べたり、コメントを抽出したりすることができます。でもそこから、自社のブランドを話題にしている人の傾向を調べたり、その前後でどのような発言をしているかを見たりするためには、全量データを持っていること、そして分析のためにAIを活用する技術が不可欠です。だからこそ、その両方を備えた当社が依頼をいただけるのです」

実際、中山がチームに加わってから5年余りの間に、AIの学習技術である機械学習とディープラーニングの分野は大幅な進歩を遂げています。とくに、機械学習の進歩は目覚しく、中山のチームも最新の機械学習技術の活用を強みにしているといいます。

中山 「データサイエンティストには3つの素養が必要だと言われています。ビジネスについての知見、統計などのサイエンスに関する知識、そしてエンジニアリング技術です。このうちひとつでも欠けていると、データ分析のプロフェッショナルにはなれない。個人としてもチームとしても、この3つを高いレベルで兼ね備えた存在でありたいと、常に意識しています」

そんな中山が、仕事において大切にしていることはふたつあります。

ひとつが、ニュートラルな思考でいること。分析の課題に向き合う際も、メンバーの意見に耳を傾ける際も、自身の考えをいったん脇にどけて、そのままを受け止めるように心掛けているといいます。

中山 「Twitterデータを扱うチームなので、課題解決のアプローチとしてつい『Twitterデータで』という発想に陥りがちですが、課題ファーストで考えれば、別の最適解がある場合だってあるわけです。置かれた状況や諸々の条件を、ニュートラルに考える必要があると思っています。メンバーと対話をする際も同様です。議論することで前進していく仕事なので、互いを尊敬しながらフラットに意見交換ができる空気を大切にしたいと思っています」

そしてもうひとつが、ワクワクすること。

中山 「お客様の事業ドメインにワクワクできるかどうか、分析に対してワクワクできるかどうか。望ましい仕事をするためには、前のめりな姿勢が大切だと思っています」

データサイエンティストとして社内の各事業領域との架け橋に

▲日頃からチーム内のコミュニケーションを大切にし、理想のチームづくりを。

ワクワクすること。それは、中山が現在の組織に異動する際にもカギとなった視点でした。

中山 「ここから先、何か自分の武器が欲しいなと思ったとき、自分がやりたいこと、ワクワクすることを自分なりに見つめ直してみました。私の場合はそれが、データ分析だったわけです。一歩踏み出したいけど、向かう先を決めあぐねている人がいるとしたら、自分の普段の生活や行動を振り返って、自然とワクワクするポイントや関心を持って日々情報を集めているテーマに着目してみると、展望が開けるんじゃないかなと思います」

現在は、総勢8名の分析チームのメンバーをまとめ上げるミッションも持っているという中山。チームとして目指す姿を「竹」にたとえます。 

中山 「竹のようなしなやかさと強さをあわせ持ったチームを思い描いています。どんな課題にも柔軟に取り組んでいきたいですね。また、データ分析と並行して、サービス開発やSIビジネスへの展開の可能性も模索して、ビジネスをより大きなものにしていきたいと考えています」

個人として目指す姿も明確です。「データサイエンティスト」としてのキャリアステップを思い描いています。 

中山 「データサイエンティストを軸足にこれからもやっていきたいと考えています。また、5年間のシステム開発プロジェクトでのマネジメント業務経験を生かし、社内のデータサイエンティストをまとめ上げつつ、当社のコアでもあるSIの組織の人たちとの架け橋になれたら、という思いもあります。その部分で力を発揮できれば、全社としてのビジネス拡大にも貢献できるはずだと考えています」

自らの“ワクワク”に正直に進み、「データ分析」という武器を手に入れた中山。何事にも、また誰に対してもニュートラルなスタンスで向き合うからこそ得られる広い視野を持って、この先もお客様の課題に解を示し続けていきます。