ITが好き。裏方として携わるイベントが好き。そして選んだSIerの道。

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▲ビジネスソリューション事業本部 有光 淳紀

幼少期からゲームが好きで、コンピューターに慣れ親しんで育ったという有光。通っていた高校は、文部科学省による「スーパーサイエンスハイスクール」認定校だったこともあり、同じ県内にある情報系大学の公開講座を通じて、ITの専門的な知識に触れる機会もありました。

大学進学の際も、迷わず情報系の学部を選択しますが、ITの世界に没頭するタイプではなかったといいます。

有光 「もちろんコンピューターやITは好きですが、技術的な専門性を突き詰めていくような将来像を描いてはいませんでした」

就職先にSIerを選んだのも、「チームでものをつくること」に引かれたから。何を隠そう、大学時代は大学生協が主催するイベントや、関西圏の学生有志が立ち上げた「よさこい」イベントの運営に奔走する日々を送っていた有光。

有光 「社内では“お祭り男”で通っています(笑)。昔からチームで何かを成し遂げるのが好きで、そのメンタリティはずっと変わっていないと思います」

2011年NTTデータ入社後は、方式系の業務に約6年間携わることになります。

有光が最初に配属されたのは、通信系のお客様の大規模システム開発プロジェクト。ここで約2年弱、方式に関する課題を取りまとめてお客様と対話する役割を担います。

その後、入社4年目にはユーティリティ系のお客様のプロジェクトに参画。方式担当のアーキテクチャチームを統括するポジションで、設計フェーズから開発に携わりました。

有光 「システムで取得するデータは、30分ごとに約2700万件。これを、エラー時の対応を見越して15分以内で処理する性能が求められました。方式的にも難易度の高い開発でしたね」

有光自身が「チャレンジングな経験」と形容するプロジェクトは、トラブルが相次ぐ厳しい時期もなんとか乗り越え、無事にゴールを迎えます。

こうしてプロジェクトが一段落したとき、有光はある決意を胸に、別の部署への異動に手を挙げたのです。

新たな挑戦への意欲を胸に、異動。最先端のAIソリューション担当へ

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▲イベント企画運営に奔走した大学時代。京都で“よさこい祭” は、地元新聞にも取り上げられたという。

2017年の夏。有光が異動した先は、先端的な技術に根ざした新規ビジネスの創出をミッションに掲げる組織でした。新しいことにチャレンジしたい──このとき、有光の胸にあったのはその一念。

有光 「入社以来、ずっと大規模プロジェクトの方式を担当してきたので、これまで自分が経験したことのないことに挑戦したい、という想いが強くなっていたんです」

有光の異動は、NTTデータが、アメリカのベンチャーDataRobot,Inc.(以下、DataRobot社)と、同社のソリューションである「DataRobot」の販売代理店としてパートナーシップを締結した、まさにそのタイミングでした。こうして、有光は新たなミッションとして、「DataRobotビジネスの拡販」に携わることになりました。 DataRobot とは、1000から2000のAIの設計図が中に入っていて、非常に簡単に高精度な予測モデルを生成することができる機械学習自動化プラットフォーム。現在、金融業の窓口審査や、流通小売業の需要予測、あるいは製造業の故障予知など、幅広い業種とシーンで利用されています。

有光 「実際にお客様に対してアプローチを行うのは、顧客営業担当(CR)が担うことが多いです。私の役割は、DataRobotビジネス全体を統括する立場としてプロモーションを行ったり、CR経由で引き合いのあったお客様のもとへ赴き、社内のデータサイエンティストと協力してデモンストレーションを行ったりすることですね」

当初、有光はプロモーションの一貫としてDataRobotの展示会を企画。そこでの集客を、CR起点ではない顧客へのアプローチにつなげようとします。しかし、有光の所属する組織内にはそのために必要なノウハウがなく、思うように次のアクションへつなげることができませんでした。

有光 「CRからの紹介を待っているだけではなく、対外発信と連動して、自分たちでお客様を獲得できるような動きができないかな、と。そこで、マーケティングを体系的にやってみようと決心したんです」

具体的には、DataRobotをPRする特設サイトの立ち上げに始まり、マーケティングオートメーション(MA)ツールを導入して展示会などでできた顧客接点を段階的にフォローするしくみを確立。

さらに、インサイドセールスが専門の外部スタッフの力を借り、リード獲得のためのヒアリングやテレアポイントを行うなど、それまでチーム内にはなかった「体系的なマーケティングのしくみ」を自力で構築していったのです。

手探りでマーケティングを体系化。そして掴んだ高い成果と組織間連携

有光 「それまで、組織内にマーケティングに関するノウハウはほぼなかったので、文字通りゼロからの構築でした。でも、もともと『新しいことにチャレンジしたい』との想いで異動しましたから、これは自分がやるしかないぞ、と(笑)」

試行錯誤しながら続けたマーケティング活動は、着実にDataRobotの拡販に結びついていきました。そしてその結果、有光はDataRobot社からパートナー企業に贈られるアワードである「Business of the year」を、2018年と2019年の2年連続で受賞する快挙を成し遂げます。

有光の熱意は、やがてNTTデータ社内に伝播していきました。活動に共感する人が増えた結果、DataRobot以外のソリューションの特設サイトが立ち上がったり、他部署がマーケティング施策の新たな試みとして立ち上げたMAツールとの連携が実現したりといった、新たな取り組みに結びついたのです。

有光 「当初、DataRobotのプロモーションサイトは私ひとりで立ち上げて運営していましたが、そういった地道な活動も含め、こつこつとやり続けたからこそ今があると思っています。2年余り『やり続けた』こと自体が、私にとってはチャレンジングな経験だったと感じます」

2020年現在は、「営業」という肩書で直接お客様とやりとりする機会が増えたという有光。営業としての新たな「チャレンジ」と向き合う日々を送っています。

有光 「これまでは、プロモーションやマーケティング活動を通じてお客様との接点を持っていましたが、営業担当になってからは、個々のお客様とダイレクトに対面する機会が多くなりました。お客様のビジネスに貢献する方法を、いかにご提案していくかという観点で動くようになったのは、これまでとの大きな違いですね」

また、業務のかたわらでは、社内にデジタルツールを浸透・定着させるためのワークグループに参加し、自部門のDX推進にも力を入れています。目下のテーマは、SlackやBoxといったクラウド型のサービスの導入と利用促進です。

有光 「業務外でこうした活動に参加する理由はふたつあります。ひとつは、組織貢献がしたいから。もうひとつは、お客様のDXの実現をミッションに掲げる当事業部には、社内の他部署に対してデジタルビジネスの範を示す役目があると考えているから。どちらも根っこにあるのは、『新しいことをやりたい』という想いかもしれませんね(笑)」

もし、今いる場所に改善すべき点があるのなら、それを改善してより良い環境をつくることに意識が向く──

自身の性分を、有光はそのように分析します。そして、自分が整えた環境で、誰かが活躍したり、輝いたりすることが嬉しい。イベントの裏方として奮闘していた学生時代から持ち続けているそんな価値観が、「組織貢献」に取り組むモチベーションの源泉になっています。


培った経験を土台に、さらなる挑戦と変化をとめない

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▲チームメンバーと、AIソリューションのイベントにて

有光が異動してから、もうすぐ3年がたちます。DataRobotをはじめとするソリューションを、チームのメンバーと協働しながら拡販していく現在の業務が「楽しい」と有光は言い切ります。その上で、これからの展望として思い描いている道筋はふたつ。ひとつは、自社の新規ソリューションを立ち上げ、ビジネスを創造する役割へのシフト。

有光 「DataRobotの担当として、新たなソリューションを事業化していく一連のプロセスを経験することができました。ただ、DataRobotは自社のソリューションではないため、展開にあたり相応の制約があったことも事実です。だからこそ、今度は自社のソリューションを立ち上げるところから携わって、それを事業化する経験ができればと考えています。デジタル分野には間違いなく、新しい芽がまだまだ眠っていると思っています」

そしてもうひとつは、お客様のマーケティング領域でのデータ活用を直接支援できるようなポジションへのシフト。

有光 「これまでやってきたマーケティングの取り組みを生かして、データ分析に裏打ちされたマーケティング支援のようなことができないかと考えています。しかも、営業としてではなく、自らデータ分析のノウハウを備えたデータサイエンティストのような立ち位置で。これもまたゼロからのスタートにはなりますが、それができたらおもしろいだろうな、と」

新たなチャレンジに対し、常に前向き。そうした自身のスタンスを下支えてしているものとして、有光はNTTデータの社風を理由にあげます。

有光 「対外的には『堅そう』というイメージで見られることもありますが、社員のチャレンジを後押しする度量がものすごくある会社だと思っています。なんと言っても、これだけの事業規模がありますから、体力がある。
『新しいことをやってみたい』『前例のないチャレンジがしてみたい』と考えている人には、望ましい環境だと思います」

「新しいことをしたい」という自身の想いに忠実に。そして、個人として、あるいは単独の組織としての成功を越えたところにある、さらなる成功を追い求めて。

有光のチャレンジは、この先も続いていきます。