──NTTデータとネットイヤーグループ(以下NGC)では、デジタル技術とUXデザインアプローチを組み合わせたサービス創出をミッションとする「デジタル&UXデザインチーム」を新たに立ち上げました。UXデザインがマーケティング領域をはじめ、様々な分野で注目されるなか、どのような思いをもってこのチームが生まれたのか、デジタル技術を組み合わせることでどんな取り組みができるのか、チームのリーダーであるNTTデータの門馬と、チームのメンバーで、NGCのUXデザイナーである信田と仙崎がご紹介します。
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▼INDEX
・新生・デジタル&UXデザインチームの誕生
・やってみて分かる、デジタル&UXデザインの魅力と難しさ
・NTTデータ×ネットイヤーグループのワンチームの良さ
・デジタル&UXデザインチームがめざすところ
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▼Profile
門馬 智幸/株式会社NTTデータ ITサービス・ペイメント事業本部 SDDX事業部 マーケティングデザイン統括部 デジタルマーケティング担当 課長代理
2010年にNTTデータ入社後、決済関連システムの維持・開発、公営競技業界の新規サービス提案などに従事。現在は、デジタルを活用したマーケティング高度化の企画立案に取り組んでおり、UXデザインアプローチの活用を主テーマに活動中。LINEスタンプ作りを趣味の一つとしており、自身の写真を利用した「もんまスタンプ」シリーズの拡散を密かに狙っている。
信田大登/ネットイヤーグループ株式会社 カスタマーエクスペリエンス事業部 第2プランニング&マネジメントチーム
UXデザイナー、IA(Information Architect)としてサービスとユーザーについて考えたり、情報をわかりやすく整理してお届けしたりする仕事を頑張っている。趣味は料理とギター。モテるために始めたが全く効果は出ておらず、麻婆豆腐が日々おいしくなるばかり。
仙崎萌絵/ネットイヤーグループ株式会社 カスタマーエクスペリエンス事業部 UXデザイン部
ネットイヤーグループにて、UXデザイン・情報設計を担当。企業のWebサイトリニューアルにおける情報設計やUXデザインを用いた課題解決を行い、「ユーザーが笑顔になれる」をモットーにより良い体験を描けるように日々向き合っている。コロッケそばに並並ならぬ憧れを抱いているが、蕎麦をすすることができないため、立ち食い蕎麦に挑戦できない日々が続く。
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新生・デジタル&UXデザインチームの誕生
門馬:デジタル&UXデザインチームはUXデザインアプローチを用いて、クライアントと一緒に顧客接点領域のサービス創出やビジネス成長方法を考え、デジタル技術で解決していくべく立ち上がりました。
NTTデータはもともと、クライアントが抱えるビジネス課題を分析し、テクノロジーで解決することは得意でした。しかし、近年テクノロジーだけに頼った差別化が難しくなっている一方で、より良い体験が重要視される時代となってきました。特に、顧客接点領域においては、エンドユーザーが何を考え行動しているのかという「顧客の視点」を考えることが大切です。
そこで、この「顧客の視点」をとらえることに長けている、NGCと一緒にサービスを作りたいと考え、このチームを立ち上げました。
チームにジョインしてくれたNGCのUXデザイナー信田と仙崎は、UXデザインを熟知したプロフェッショナルでしたので、ぜひ力になっていただきたいとお願いしました。
仙崎:UXデザインは、UX=User Experience(ユーザーの体験)を軸に、ユーザーにとって心地良い体験をつきつめていく手法です。サービス開発のプロセスは、課題の洗い出し→解決策の検討→サービスの実装となるのが一般的ですが、UXデザインのアプローチでは、それぞれのフェーズにおけるユーザーの理想の体験やそこに至るためのサービスアイデアを考えていきます。
NGCは、このUXデザインをはじめとしたユーザー視点の課題分析は得意な一方、提案できる解決策は限られてしまう、という悩みがありました。解決策となるデジタルマーケティング施策はNGCの得意とするところですが、デジタル技術が進展する昨今、それだけではユーザーの体験の全体をカバーできず、歯がゆさを感じることもありました。そのため、NTTデータとチームを組むことで、お互いを補完しあう関係になれると思いました。
信田:UXデザイン自体は得意分野ではあるのですが、初めてこのプロジェクトの全貌を聞いたときは、非常にチャレンジングな内容だと感じました。いままでは主に、サービスを実装する段階でかかわることが多く、WEBサイトやアプリなどの最終的なアウトプットのイメージができていました。それに対して今回は、まずどこにビジネスの課題があるかを考えるところからUXデザインアプローチを活用することが求められていたので、裁量が大きくプレッシャーもありました。
やってみて分かる、デジタル&UXデザインの魅力と難しさ
門馬:2019年4月にチームを立ち上げ、まもなく1年が経とうとしていますが、現在はNTTデータが昔からお付き合いさせていただいている、エンターテインメント・スポーツ領域のお客様に対して提案を行なっています。
立ち上げ当初は、まずは我々がUXデザインについて深く理解するため、チーム内で何度もデモンストレーションを行いました。
こうした実践を通じて、UXデザインアプローチのメリットは、お客さま目線でサービスやソリューションの有用性を感じられることだと体感しました。
これまで、サービスを形にしている最中に、我々のアイデアは本当にエンドユーザーが求めていることと合致しているのだろうか、と疑問に立ち返ることがしばしばありました。
しかし、UXデザインアプローチを用いることで、エンドユーザーの体験の中でどのような不満や不安を感じるのかを丁寧に洗い出し、サービスやソリューションの効果を具体的にイメージできるのです。
仙崎:UXデザインは、実際にやってみるとその有用性を理解することができますが、提案の段階では、クライアントが懐疑的なことも多いもの。「ユーザー理解から始めることが大切」という前提をご理解頂けているクライアントには、より馴染みやすいのですが、UXデザインの概念に初めて触れるクライアントの場合、特に難しさを感じます。
こうした不安を取り除くためにも提案段階からできるだけ具体的なプロジェクト設計を行って、アウトプットのイメージをつかんでもらうようにしています。
また、「生まれたアウトプットが実際の施策にどう活きるか?それにより課題を解決することができるのか?」の全体像を細かく伝えることも大切だと思っています。
門馬:一方で、このようなUXデザインアプローチによる定性的な理解・共感だけでなく、定量的な納得感がないと、ビジネスとして取り組みに踏み切るのは難しいのが現状です。例えば、クライアントの持つ顧客データから取組の重要性や想定効果を定量的に示したり、ユーザー課題がクライアントのビジネスにどう繋がるのかを示したりといった、クライアントの事業運営の視点でも評価が必要です。こうした点はNTTデータが得意とする部分でもあるので、NGCと補完し合いながらクライアントへ価値を提供できると考えています。
信田:提案に共感していただき、取り組みを始めてからも、本当にアイデアがまとまるのだろうか、どのようなアウトプットが生まれるのだろうか、という不安は何度も生まれますね。そのような反応をされるのは珍しいことではなく、私たちもとても理解できます。そのため、「今後こんなアウトプットにまとめて行けそうですよね」と、ある程度先回りしながら着地点を提示していくことで、不安を払拭しつつ、クライアント含めたチームの意思疎通を図り、モチベーションを高めるように心がけています。
門馬:最終的な着地点は本当に難しいところです。課題をテクノロジーで解決するのが本分であるNTTデータが一緒に取り組むからこそ 、実現可能な解決策をきちんと提示し、実際に動かすことのできる設計図を一緒に作ることが大事だと思っています。
信田:そもそもUXデザインは、このような制約があってこそ成り立つもの。なぜなら、なんの制約もなく、理想論だけでUXデザインを突き詰めると、「まったくお金払わないで生活できるのが至高の顧客体験だ」というような、社会福祉サービスになってしまうんです。ですから、まずはエンドユーザーの課題とクライアントの魅力や課題感をマッチさせ、そこに、私たちが実現可能な解決方法を提示する必要があります。これらがぴったりと合致して初めて、持続可能なサービスとなります。これらは一見足かせとして、可能性の幅を狭めてしまうようにも思えますが、実はその制約こそが、未来設計図をより強固なものにすると思っています。
NTTデータ×ネットイヤーグループのワンチームの良さ
門馬:NGCは我々とは異なる視点があることが、チームとして心強いです。ディスカッションの落としどころが違ったり、想像のつかないところにフォローが入ったりするので、頼もしく感じています。
あとは、我々が無意識に持ちがちな先入観が、NGCの方には無いですね。例えば、クライアント内の事情を先読みしてしまうNTTデータに対して、NGCはどんどんチャレンジしていきます。
そうすると、意外とすんなりと乗り越えられることもあって、新しい気づきがありますね。フットワークが軽く、社内のコミュニケーションも、フランクかつスピーディであることも見習いたいところです。
信田:NTTデータは、本当に責任感が強いですね。特に長くお付き合いしているクライアントとは、これまでのプロジェクトで強い信頼関係を築いてきたのだなと感じます。そのため、今回のような新しい企画を持っていく際は、とても慎重かつ多角的に影響を吟味しているように見えますね。率直に言うと、もっとラフな状態でもぶつけていけばいいのに、と思うこともあります。日ごろから温めているアイデアもたくさんあるようなので、もったいない気持ちになることもあります。
今回の取り組みは、まさにこうした違いを本音でざっくばらんにぶつけ合い、クライアントのためにより良いものを提供していくための良い機会だと捉えています。
仙崎:私も、NTTデータは、クライアントに真摯に向き合って、丁寧に関係を構築されている印象を強く感じました。それから、みなさん優しい方ばかりで、困ったときに助けていただくことも多かったです。
NTTデータの丁寧なプロセスと、NGCのフランクにまずはやってみよう!という姿勢がかけ合わさり、「丁寧かつスピーディに進める」という長所と欠点を補い合えるチームを作れたことは強みだと思いました。今まで、異なる領域で異なるプロジェクトの進め方を行ってきた者同士、進め方やディスカッションなどで、時には齟齬を感じることもありましたが、この取り組みの中で築けた関係性は非常に大きいと思っています。
デジタル&UXデザインチームがめざすとこと
門馬:サービスは、「ビジネス」「テクノロジー」「カスタマー」の3つの要素の相互作用によって成り立っています。
NTTデータはこれまで、高い技術力で問題解決に導く「テクノロジー」の部分に強みを持っていました。そしてNGCとタッグを組むことで、NGCの得意領域であるUXデザイン、つまり「カスタマー」の視点をより深く探ることができるようになりました。
我々がチームを組み、さらにここに、「ビジネス」領域の当事者である、クライアントに加わっていただき「三位一体」となってサービスを作っていくことで、さらなるシナジーを生み出していくことができるようになると考えています。
クライアントも含めた三者で長期的に良い関係を築き、サービスもっとより良いものにしていきたいですね。