こんにちは。
NTTデータ ビジネスソリューション事業本部ネットワーク運用サービスマネージャの津田 宗宜です。

24時間365日休むことなくオペレーションを行い、お客様のインフラやシステムの正常稼働を支えている運用センタ。地震や台風といった災害等が発生し、従来の形でのサービス提供が困難になるなどの不測の事態に備え、運用サービスの継続性についてのプロセスを整備しています。

昨今の新型コロナウィルスの感染に対する懸念から、このコンティンジェンシープラン(予期せぬ事態に備えた緊急時の対応計画)の見直しを行った、あるいは今も行っているサービスマネージャの方も多かったのではないでしょうか。

業務継続という観点でこれまで想定されていたのは、地域的な被害による設備利用不可や交通機関のマヒなどによる要員の不足といった事態でした。“行政からの指示によるビル閉鎖”や、”従業員が感染している可能性があるため全員が自宅待機を命じられる”といった状況は、これまでのコンティンジェンシープランでは対応できないケースであり、私自身もプロセスの再検討と対応の準備に追われていました。

ビジネス環境が変わっていく中、今後どうなっていくのかという次世代運用を考え実現するのももちろん大事ですが、現状の運用サービスを安定的にお客様に提供し続けるために足元をキチンと固めることも変わらず重要で、これらを両輪で進めていくことが必要だと改めて感じました。

さて、前回の記事ではサービスマネージャの役割の変遷と、今必要とされるサービス提供者としての考え方についてお話ししました。

営業/設計が作ったインフラやシステムを、運用フェーズの中で何年も維持し、お客様と長くつきあっていくのがサービスマネージャの仕事です。その中で、新しい運用サービスを創り提供するという次世代運用を実現するにあたっては、意識を変えていく必要があります。

そこで、サービスマネージャにも馴染み深い「データ活用」「自動化」「顧客接点」の3つの言葉について、これまでとこれからの考え方の違いに着目しながら、書いてみたいと思います。

(1)データ活用

~今あるデータを活用する~

“データ活用”という言葉自体は目新しいモノではありません。

昔から運用の現場では、長い運用の中で蓄積された情報を活用し、お客様対応品質を高めてきました。わかりやすい例で言うと、故障対応時間やその対応品質にKPIを設定し、目標と実測値の比較から、改善が必要なポイントを分析し、是正策を打つといった具合です。

こういった営みは変わらず実施していきますが、加えてこれから必要となってくるのは、集めたデータを自分達で活用するだけではなく、営業/設計といった他のプロセスで収集したデータと組み合わせて活用する(さらには、他のプロセスでも活用してもらう)という考え方です。

例えば、下記のような2つの活用が考えられます。

1.新規提案への活用
単に回線キャリアや保守ベンダの対応品質向上のためだけに、故障率や復旧時間を取得するのではなく、営業の価格データと組み合わせて、「品質が一番高いわけではないが、値段の割に品質がよい(リーズナブルな)回線サービス」の情報を営業に提供して新規提案に活用する。

2.スムーズな故障対応への活用
SEが構築した際に把握した拠点特性情報や拠点の写真、営業担当者が蓄積したお客様担当者の情報をスムーズな故障対応のために活用する。

“これからのデータ活用”というと、膨大な量のデータを集めAIで分析するようなことをイメージしてしまいます。しかし新たなデータを取得しなくても、これまでのデータを組み合わせて見方を変えるだけで新しい情報となり、ビジネスの色々なプロセスで活用することができると考えています。

 ~新たなデータを取得して活用するために必要な準備とは~

今あるデータ活用の次のステップとして、”新たなデータ取得と分析で意外な発見をしたり、お客様毎に最適なサービスをプロアクティブに提案できたりする”といった営みを進めていきます。これにもキチンとした準備が必要です。取得方法の整備、データの正規化や定義を行わないと、分析に足るデータを集めることができません。

まずは、様々なデータをとりあえず集めて分析してみる、というよりは、どういったデータがどのような場面で活用できるかを考えて、取得するデータやその取り方を考えてみましょう。また、データ収集で大事なのは、「負担なくデータを集められること」「入力されるデータの解釈に誤解や差異が無いこと」です。

運用の現場は忙しく、トラブル対応においてはお客様から常に最速の対応を求められます。そういった状況でオペレータに「今度からAとBのデータも正確に記録しておいてください」「AとBはこういう意味のデータなので、入れ間違いが無いように」とお願いをしても、対応は難しく混乱を招くだけです。

例えば、故障対応時間の分析のために「検知の時間」「初報の時間」「切り分けの時間」「手配の時間」「復旧の時間」といった情報を収集したいのであれば、故障対応履歴の中で、自動でデータが蓄積されるようなオペレータのデータ入力をサポートする仕組みが必要です。

自動でデータが収集されれば、入力すべきデータの解釈に誤認が出る事もありません。データ活用の第一歩として、自動でデータが集まる環境を作りましょう。

(2)自動化 

~自動化に手間がかかる部分を、まずは人で代替する~

「自動化」も「データ活用」と同様、サービスマネージャにとっては馴染み深い言葉であり、日々の業務の中で積極的に推進してきたものです。自分達の業務を分析し、時間がかかっている作業や実施頻度が高い作業を自動化することで効率化したり、対応ミスが多く発生する複雑な手順を自動化することで品質向上をしたりしてきました。

これらは引き続き行っていきますが、これから追加で必要となってくるのは、現在の複雑な運用フローや手順のどこを自動化するのかということではなく、最初から自動化を前提とした運用プロセスを組み立てることです。

 “全部自動化”が理想ですが、一足飛びにそこまで行けないことも事実で、実際には”申請対応”とか”お客様連絡”とかの単純作業からブロックごとに自動化を進めていく形になり、間をつなぐ部分や複雑な部分は人手での対応が必要となります。

ただ、それも“人手でやっていたプロセスの一部を自動化する”ではなく、”自動化が難しい部分はしょうがないから人手で対応する”と考えます。将来的には自動化(もしくは不要に)する前提で、自動化に手間がかかる部分をまずは人で代替するという考え方です。

“完全自動運用”と言うとハードルが高いように感じますが、これまで長い間、サービスマネージャが作り上げてきた自動化のツールや仕組みは運用の様々なプロセスに存在しているはずです。まずはそれらのパーツを組み合わせて繋いでみるだけでも、自動化を前提とした運用プロセスのプロトタイプができるのではないでしょうか。

~無人で稼働する運用プロセスに従来の運用を寄せる~

前回の記事で、「運用の現場に、人が集まらなくなってきている」とお話ししました。

その対策として、無人の運用を目指すとします。従来の効率化を押し進めることで、100人から90人、80人と要員を減らしていくことはできるかもしれませんが、どこかで限界にあたり、ゼロにすることはできないと考えています。0人での運用を目指すには、無人で稼働する運用プロセスを作り、お客様の運用をそこに寄せていくことが必要です。

無人運用はこれまでの人手での対応と比較するとできることが限られ、柔軟性にも欠ける部分があるかもしれません。ですが、価格や対応の迅速性等々、圧倒的に優れている点も多々あるはずです。そういったメリットを前面に出して、無人運用に合わせる形にお客様の運用プロセスを作り変えていく営みがサービスマネージャに求められます。

こうなると、逆に人がやることが付加価値になる部分も出てきます。

それは、きめ細かい故障対応フォローや顧客接点の部分、自動化された運用を更に進化させる部分やデータを分析する部分等です。業界特性によっては、完全に自動化された運用が実現したとしても、それを信用せず、人手での対応を望まれるお客様も一定数いらっしゃると考えられます。そのため、しばらくは安価な自動化運用と高価な人手運用の2極化が進むかもしれません。

ただ、そういったお客様(営業担当者や設計担当者かもしれません)についても、今までの運用が”絶対に正しい”と思うのではなく、お客様のビジネスの推進力の一助となり得るような最適化されたプロセスがあるのであれば、そこに実運用を寄せていくよう、働き掛けていきたいです。

(3)顧客接点

~お客様とのコミュニケーション方法を見直す~

長く続く運用の中で、“顧客接点”もまた、サービスマネージャが最も大切にしてきたものの一つです。サービスマネージャはお客様と良好なリレーションを築くことを常に考え、障害発生時の迅速且つ正確な報告や運用実績の月次報告を行ってきました。

これらは変わらず行っていくものですが、これからは今まで以上に様々なチャネルで顧客接点を持つ必要があります。その顧客接点は必ずしも対面である必要は無く、また、一方的な報告ではなく双方向のやり取りであることが望ましいです。

とは言え、お客様自身もトラブルの場以外でサービスマネージャと接する(情報をやり取りする)ことで、どのようなメリットがあるのか、イメージを描けていないと思いますし、チャネルを増やすと言っても、何も無い時にお客様を訪問して世間話をすればいいわけではありません。(そういったオフの接点でお客様と仲良くなることが大事になる場面もありますが)

これには一つの解はなく、障害報告や月次報告といった限られた接点からは見えない、膨大なお客様の業務内容を把握し、それを”蓄積されたデータの活用”や”自動化した運用”からどのように変えていけるかを考えて、新たな顧客接点をお客様と一緒に作っていくといった対応になります。

お客様の業務を理解し、どこがどのようにラクになる(変わる)のかをサービスマネージャが考える、というのは、サービス化と真逆に見えますがそうではありません。お客様の業務プロセスを根本から変えていけるような運用サービスを創り、改善し続けていくために、こういった活動が必要になり、これこそが自動化が進んだ世界で人財が付加価値を出す部分になります。

合わせて、従来のコミュニケーションについても、本当に今のままでいいのかを考えます。自分達が価値があると思っていた部分や、お客様が価値があると言ってくれている部分に、本当に価値があるのか、今後も価値があり続けるのかを今一度振り返ってみましょう。

今回は3つの例を挙げます。

例1)電話
故障発生時にお客様に迅速に架電し状況の詳細を報告し、お客様からの電話には3コール以内に応答し質問に答えています。

例2)メール
誤字脱字に注意し、ダブルチェックをしてお客様に失礼の無い文言でメールでの報告を実施しています。

例3)故障対応終了後の報告文書
故障の原因や行った対処、対応の経緯を記載し、お客様側の対応の記録のためにPDF化して送付します。

一方、皆さんが普段、プライベートで正確な情報を把握しようとしたり、誰かに依頼をしたり際に、どの程度電話やメールを使っていますでしょうか。検索性が無い状態でドキュメントを蓄積して、その後の業務にどのように役立てられるのでしょうか。

これは、従来のやり方を否定しているわけではありません。運用のやり方を急に変えるのは難しいことですし、お客様の内部説明やその先のお客様説明のためにドキュメントが必要なこともあるでしょう。

ただ、お客様ニーズが多様化する中、従来のやり方を望まれるお客様ももちろんいますが、その顧客接点に価値を見出さないお客様がいる可能性も考慮する必要がありますし、そこに対応することで、昔からのお客様にとっても価値あるサービスを新たに創り出すことができると考えています。

運用のデジタル化にむけて

いかがでしたでしょうか。

「データ活用」「自動化」「顧客接点」という言葉は、どれもサービスマネージャの方々が最も得意としていることだとは思いますが、その考え方を少し変えると今までとは違った未来が見えてきます。

次回は、これらを推進していくために必要な社内/社外連携、またこれらが実現した次世代運用センタのイメージ像について、書いてみたいと思います。

次回予告:「運用のデジタル化」を実現する次世代運用センタ像とは